HigterFrequency パーティーレポート

Exit Festival 2004







EXIT FESTIVAL 09
    EXIT FESTIVAL 09

    今年は 「今週どこ行く?」 という会話をいつになく頻繁にしていた人が多いのではないだろうか?もちろん、クラブ仲間同士の定番会話の一つではあるが、『○と○と○、どのパーティーに行くか迷ってる』 『今週はどこに行くのが一番面白いんだろう?』 という背景がそこにあるように感じている。当サイトが発足した2004年頃、たとえば海外の大物DJが来るビッグ・パーティーは東京であっても月に2、3イベントがせいぜいで、黙っていても仲間同士が全員集合…という夜があった。今はどうだろう?先週末も、今週末も、そして来週に迫る大晦日に至っては、世界中でも稀な程の有名アクトが東京に勢ぞろいする。パーティー好きにとっては身がいくつあっても足りない!そんな嬉しいはずの悲鳴があまりに続きすぎ、次第に前述したような、誰もが今日の夜の選択に迷ってしまう状況が生まれている。 ただ有名DJが来ればそれだけでパーティーが完結する時代は明らかに過去のものとなった。

    この状況は、実は日本のクラブミュージックシーンにとってはチャンスでもある。ローカルのDJ達がパーティーを継続することで、そこに遊びに来るクラバーを含めた確固としたローカルシーンが出来上がり、そうしたゆるぎない基盤を得た後、それをバネにして一気に飛躍するといったチャレンジが可能になったのだ。明確なスターがいないということは、逆に言えば誰もに次のスターになるチャンスがあるということ。日本だけではなく、世界中のローカルシーンがそのチャンスをつかむべく、水面下で蠢いている。昔であれば採算の問題で躊躇していたような、まだあまり知られていないアクト同士が国境を越えて共演し、互いに刺激しあうような、とてもクリエイティブで健全な空気が確実に生まれている。

    EXIT FESTIVAL 09

    パーティーの数に対してパーティーに来る人が足りない中、「今日ここでしか見られない」 というプレミア感で注目を集める必要が出てきた。そこでまず台頭してきたのが 『ライブ』 だ。ラップトップや最新のハイテク機材を積み上げて行うライブはもちろん、生の楽器を用いたバンド形式のライブもこの一年でクラブ界に確実に増えたものの一つだろう。アコースティックとも、エレクトロニックとも取れない新しいバンドが続々と台頭してきている。

    また、パーティー自体のユニークさ、スペシャル感で言えば、野外でのパーティーの魅力に叶うものはないだろう。しかし、世間でのドラッグがらみの事件の多発や、一部の人々の逸脱行為をきっかけに、一般マスコミからクラブミュージック文化があまりに安易にドラッグ・カルチャーと結びつけられてしまったため、野外パーティーを締め出す自治体が発生したり、クラブミュージックが好きであること自体が白眼視されるという状況が現在ある。ただし、そんな2009年も、多くの人々が素晴らしいパーティー、素晴らしい音楽を通して、素晴らしい体験を共有できたことを、我々も、そして当サイト読者の方々も確信していることだろう。

    EXIT FESTIVAL 09

    さて、今年のシーンを改めて振り返って、今後につながりそうな動きがいくつか発見できた。まず、しばしば言及される 「クラブ界の閉鎖性」 に一石を投じるものとして代官山UNITがスタートした "UNIT presents 2000" が挙げられる。閉鎖性の象徴ともいえるゲストリストを廃し、フライヤーを持って入れば誰でも2000円という破格の値段で遊べ、なんとこの大晦日にも開催される当企画には今後も是非注目していきたい。DJ自身が運営することの多いローカルパーティーの世界では、ゲストリストは集客力という面でのDJの実力を計るステータスともなっているが、Tommie Sunshine が こちらのニュース で言及していたように、音楽を選ぶDJと、お客を集めるプロモーターの役割を明確に分けたプロフェッショナルな運営体制をとることは一つのアイデアといえるだろう。

    また、音楽自体の面でいえば、先述のエレクトロニックとライブミュージックの融合などに加え、UKのアンダーグラウンドから生まれ、ベルリンのシーンと接近した新しいベース・ミュージックの登場も見逃せないところだろう。すでにヨーロッパでは一大ムーブメントとなりつつあるダブステップは、なかでも要注目だ。

    当サイトでの新たな企画としては、今年夏から実験的にスタートした Twitter でのニュースやライブ実況レポートの配信 (TAICOCLUB、The LABYRINTH で実施) がある。
    このようなメディアを利用した面白い試み、また音楽だけに留まらず、新しいもの・格好いいものをどんどん取り上げ、発信していくことに来年も積極的に取り組んでいく所存だ。

    HigherFrequency を2010年もよろしくお願いします!