Miami 2005

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Chris Fortier


プログレッシブ系の DJ としては珍しいアメリカ出身である Chris は、号泣系トランス・アンセムとして知られる Delerium "Silence" のリミックスなどで大いに名を挙げたユニット"Fade"の片割れであり、また彼自身も2002年に Bedrock Records からリリースした2枚組ミックスCD "Chris Fortier: Compiled And Mixed"などで日本のファンにもお馴染みの存在である。

最近ではオーストラリアのプログレ系レーベル EQ Records がドロップする人気コンピレーション"Balance"のコンパイラーとして起用されるなど、更にトップDJとしてのステイタスを築きつつある Chris。93年から運営している自身のレーベル Fade Records も快調にヒットを飛ばしており、彼が90年代の後期に発掘した Steve Porter がシーンの中で頭角を現わすなど、レーベル・オーナーとしてのキャリアも申し分ない。そんな Chris に マイアミ Winter Music Conference の場で直接話を聞くことが出来た。

> Interview & Photo : Matt Cheetham (HigherFrequency) _ Translation : Kei Tajima (HigherFrequency) _ Introduction : H.Nakamura (HigherFrequency)

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HigherFrequency (HRFQ) : WMC はどうですか?

Chris Fortier : すごくいい感じだよ。楽しいね。忙しいけど。特に昨夜はニュー・アルバムのラウンチ・パーティーがあったから…

HRFQ : Balance のですね。

Chris : そう。それで今日も引き続き忙しいって感じなんだ。

HRFQ : WMC は今年で何回目ですか?

Chris : 今年で13回目くらいかな。

HRFQ : 13年間毎年来ているんですか??

Chris : もちろん。WMC は絶対に見逃せないイベントだよ。しかも僕はフロリダで生まれ育ったからね。5年前からNYに住んでるけど、ずっとオーランドの近くに住んでたんだ。そこでDJも始めたし…94年のことだったかな。だから WMC は僕にとって欠かせないイベントなのさ。

HRFQ : WMC 自体は今年で何年目なんでしょうね?

Chris : 今年で20年目だと思うよ。

HRFQ : 本当ですか?WMC はスタート当時からダンス・ミュージック中心のイベントだったんでしょうか?

Chris : そうだよ。ただ、もともとはアメリカのレコード会社の共同イベントとしてスタートしたんじゃないかな。メジャー・レーベルがお金を使わずにプロモーションをしたり、シーンを良くするためのディスカッションを行っていた場所が発展して、今のようなかたちになったみたいだよ。

HRFQ : どうしてマイアミという場所が選ばれたんでしょうか?なぜNYではなかったんでしょうか?

Chris : 一番初めにアイデアを思いついた人たちがマイアミ出身だったからだと思うよ。彼らのオフィスは Fort Lauderdale にあったんだ。だから雪が降っているNYより、太陽の光が降り注ぐマイアミに人を呼んでイベントをやろうってことになったんじゃないかな。最近だと「WMC の会場がマイアミから移される」なんてことも言われてるみたいだけど、所詮ただの噂だと思うよ。ラス・ベガスに会場を移したいっていう人もいるみだいだけど、僕はやっぱりマイアミがいいな。

HRFQ : プロとして、また観客という立場から見て、今までで一番の WMC は?

Chris : う〜ん。難しい質問だな。毎年素晴らしいからね。大きいパーティーも何度かやってきたし、常にいいパーティーでプレイしてきたし…。初めて WMC に来た時、あれは確か10年前だったけど、僕はデビュー作品をリリースしたばかりで、活動当初からサポートしてくれてた人たちに直接会ったり、素晴らしいパーティーに行ったりして、感動したことを覚えてるよ。4年前にみた Danny Tenaglia もすごく良かったし…あと、Sasha と John Digweed のギグには何度も感動させられたし。ただ、正直、覚えていないことの方が多いんだけどね (笑)。

HRFQ : では、WMC は音楽好きや音楽業界に携わる人にとって、絶対に欠かせないイベントだと思いますか?

Chris : そうだね。絶対に来た方がいいと思うよ。特に作品を宣伝しようと思っている人たちにとっては欠かせないんじゃないかな。最近では、電話でやりとりをすることさえも少なくなって、ほとんどの人がメールでやりとりをしてるでしょ?だから、WMC はそういう人々が、お互いのことを知り合うチャンスなんだ。たくさんの人が「WMC は仕事にならない」なんて言ってるらしいけど、直接会って話をすることは、お互いの繋がり合いを強くすることになるはずだからね。その場では契約が決まらないかもしれないけど、顔と顔を合わせてのミーティングはやっぱり大切で、業界の人たちとの繋がりを強くして、これから1年後に達成しようと思っていることに向かってきちんとした土台を作るということが大事なんだと思うよ。

Chris Fortier Interview

HRFQ : 一年を通して、WMC の他にあなたにとって重要なイベントはありますか?

Chris : そうだね、1月と2月は特に重要かな。僕にとってのオフの期間だからね。忙しい夏の期間が終わると、フェスのシーズンが始まって、UKやヨーロッパを回ったりして…だいたい毎年こんな感じかな。

でも、今年はロンドンで 'London Calling'っていう新しいカンファレンスが始まるみたいだね。とにかく、さっきも言ったように、もちろんマイアミに来ることも大切だし、アムステルダムのダンス・フェスティバルもシーンにとってすごく重要なイベントに成長したと思う。その今度始まるロンドンのカンファレンスも、業界の人々がネットワークを強めたり、知名度を広げることに役立つイベントに成長するといいよね。こういうイベントは、ビックになろうとしているDJや、プロモーションを成功させようと思っている業界の人間にはきわめて重要なイベントだから。

HRFQ : あなたのレーベル Fade Records では最近どんな動きがありましたか?

Chris : すごく上手くいってるよ。最近ではデジタル・ダウンロードに重点をおいているんだ。それがすごく上手くいっていて、今後レーベル的には、もう一段階上を目指して新人アーティストの発掘なんかにも力を入れていくつもりだよ。今まで通り、ただ単にシングルをリリースしていくだけじゃなくて、アーティスト・アルバムをリリースしていくんだ。現状はほぼ Steve 一人って感じだけど、今後はもっと力を入れていくよ。

とにかく、レーベルは最近すごくいい方向に向かっていて、まさに言うことなしだね。すごくエキサイティングだし、今の状況を楽しんでるって感じかな。レーベル業は言うなれば僕のクリエイティヴィティーのはけ口であって、決してお金のためにやっているわけじゃない。いつもクリエイティヴなことを実践できて、常にフレッシュな音楽に出会える状況に自分を置いておくためにやっているのさ。

HRFQ : 最近ではデジタル・ダウンロードがレーベルの売り上げの大半を占めているのですか?

Chris :メインとは言えないけど…順調に行ってるよ。音楽ビジネスを行う上で、デジタル・ダウンロードは絶対にやっていくべきものだと思うし、普段違法ダウンロードをしている奴らから少しでもお金がもらえるだけでもマシだと思うんだ。それに、違法にダウンロードしたものではなく、きちんと音楽を買ってアーティストをサポートしたいという人は山ほどいるしね。だから、こちら側も音楽を提供していかなきゃならない。それに、デジタル・ダウンロードが一般的になれば、物事はもっと簡単になると思うし、世界中がそういうレベルに向かって動き出してると思うんだ。まぁ、デジタル・ダウンロードが中心のマーケットになるかはまだ分からないけどね…僕の個人的な意見としては、あまり喜ばしくないことなんだけど…

HRFQ : あなたは根っからのアナログ・ジャンキーということですが…

Chris : CDが大嫌いなんだ。CDでDJするのも嫌いだし…

HRFQ : Final Scratch などのニュー・テクノロジーは使われるんですか?

Chris : Final Scratch はトライしたことあるよ。Ableton はスタジオで使ってるけど、DJする時は使わないな。

HRFQ : Ableton Live 4 ですか?

Chris : そうだよ

HRFQ : 今度のバージョンは技術的にすごく進歩したと思いませんか?

Chris : そうだね、すごく進化したね。今回のバージョンには MIDI が付いてるでしょ。僕も、毎日どんなことが出来るか学びながら使ってる感じさ。でも、まだバージョン4なのに、単なるバージョン・アップを超えてしまった感じだね。しかも、最近ではAbeltonも全く予想していなかったような使い方をして、音楽をつくっている人がたくさんいるみたいだし…。僕の使い方は、どちらかと言うとメモ帳替わりみたいなもので、エディットしたりプリプロに使ったりと、最終的に Pro Tools に取り込む前の作業で重宝しているんだ。

HRFQ : 他に、今年のプランされていることを教えてください。

Chris : アルバム'Balance'がリリースされるよ。

HRFQ : いつリリースされるんですか?

Chris : まず4月19日にオーストラリアで発売される。アジアもそれと同じなのかは分からないな。5月にはヨーロッパ、そしてアメリカで発売される予定だよ。それからツアーが始まるんだ。まずはオーストラリアから始まって、夏にはアメリカを回る。9月にアジアを回って…今のところ決まっているのはそんなところかな。で、ツアーが終わったらまた楽曲制作やリミックス業をスタートさせるつもりだよ。

HRFQ : どんなリミックスを手がけているんですか?

Chris : ほとんどが Fade Recording や FDS Recording のものだけど、小さいインディー・レーベルの作品で、自分が気に入ったものをリミックスすることもあるよ。

HRFQ : Steve Porter にも先程聞いたのですが、WMC に来たら絶対に見逃せないものは何ですか?

Chris : そうだね、初めて WMC に来たら…どんな音楽が好きかにもよるけど、Danny Tenaglia のプレイは絶対に見逃せないと思うよ!

End of the interview

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