HigterFrequency パーティーレポート

Exit Festival 2004

FUJI ROCK FESTIVAL 09

FUJI ROCK FESTIVAL 09 REPORT

DATE : 24-26 July 2009 @ NAEBA / DAY 02
PHOTOGRAPHER : Masanori Naruse, Yasuyuki Kasagi, 宇宙大使☆スター

TEXT : Motoki Tanaka a.k.a Shame

DAY 02 - 25 July (Sat), 2009
LINEUP : Ben Harper And Relentless7, 忌野清志郎 スペシャル・メッセージ・ オーケストラ Nice Middle With New Blue Day Horns, Franz Ferdinand, Bad Brains, Public Enemy, Dinosaur JR., Funky Meters, Priscilla Ahn and more





サウナ状態のテントで目を覚ましたのは午前9時頃。終始雨が降り続いた前日から一転、二日目の朝は快晴で幕を開けた。 午前中はこれといった目当てもなかったため、苗場から田代へと繋ぐドラゴンドラに初挑戦してみることに。気持も軽快にマリンシューズを履いてテントを飛び出した。 いつもは朝から混雑を見せるドラゴンドラだが、タイミングがよかったのかほとんど並ぶことなく乗車に成功。アップダウンを繰り返すジェットコースターのような高揚感に満ちた空中散歩を経て山頂に到着した。 乗り場を出ると、心地よい風と共に芯の太いキックの音が聞こえてくる。 音に誘われるままに行ってみると、Daydreaming では東京のパーティシーンを賑わす Takuya と The Samos のメンバーとしても知られる DJ Raymond のコンビがプレー中。 夏らしさを感じさせるパーカッシヴなサウンドで朝一番を爽やかに演出していた。

高原地帯ではライオン、カラス、クマをはじめとしたぬいぐるみ達が人々と戯れ、だるまさんが転んだに興じたりと下界の雰囲気が嘘のよう。 アイスを頬張りながら丘や展望台に登ったり、怪しい三人組の脱力系ライブを見たりと、ゆるい雰囲気を存分に楽しむことができた。

EXIT FESTIVAL 09
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一通りあたりを散策して下山し、Green Stage を通りかかるとワールドミュージックの巨匠、Fela Kuti の末っ子である Seun Kuti がライブ中。 スウェットのような衣装と後退気味の頭という一見くたびれた様相ながら、独特の動きで体をくねらせながらステージ上を闊歩する姿には威厳さえ感じさせる。野性的で力強い父親譲りののアフロファンクをベースに、どこか現代的で洗練された趣きで真昼の Green Stage を異郷へと導いていた。

続いて前夜祭で評判の良かった The Inspector Cluzo を見に Orange Court 向かうが、ボードウォークを進んで程なくすると何やら前が閊えている様子。 わけもわからずただ流れに沿って進んでいると、木道亭でのライブをしていたのは Juana Molina。静寂の中に響き渡る歌声に歩行者が足を止めてしまうのも無理はない。 後ろ髪を引かれつつも渋滞を抜けて前進。漸く Orange Court 到着すると、Inspector Cluzo がベースレスの二人組とは思えないブルース仕立ての骨太なサウンドを響かせている。 客の煽り方も手慣れたものだが、どこか間の抜けた感じもまた魅力的。 最後の曲の前にはオーディエンスをステージに上げようとするが、予想外に人が集まってしまい慌てる姿が笑いを誘っていた。 ところが演奏を開始するなり雰囲気は一転、へヴィでファンキーなグルーヴで会場を熱狂の渦へと陥れる。 集まったオーディエンスは泥沼化した地面をものともせず楽しそうに飛び跳ねていた。

空いた時間に秘境探索とばかりに奥地へと進み、Stone Circle へ。 自由参加型のドラムセッションが響く中、新設された Cafe de Paris にて話題のジプシーブラスバンド、Rafven のステージを覗いてみた。 ドタバタとステージを駆け回るオーケストラの弾ずるサウンドは、パンキッシュで小気味よいビートにお国柄を感じさせるフォークの要素を融合させ、時折宮廷音楽のような優雅さも顔を覗かせる。インスト中心かと思えばメンバー総出で合唱団のようなコーラスを響かせたりと、圧倒的な立ち回りでとにかく楽しいの一言に尽きるライブ。フジ開催中、あちこちの舞台で二桁に到達しようかという回数のライブをこなす彼らだが、この内容ならリピーターがついて回るのも納得。北欧からの刺客は最果ての小部屋にさえも混沌をもたらしていた。

お次はステージを端から端まで移動し、Red Marquee にて Trash Can Sinatras。 80年代、ネオアコースティックの潮流から今もなお活動しつづけるスコットランド出身のバンドである。古き良きポップマナーに則ったキラキラとした旋律に、朴訥な風格を携えた Francis の優しいボーカルが織りなす甘いメロディは蒸し暑い外気の中に染み入るかのよう。 暖かな雰囲気の中で自然と一体感が生まれ、雨宿りに入った人々をも惹きつけていた。

FUJI ROCK FESTIVAL 09
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オアシスを徘徊し、Ben Harper を一瞥した後は Bright Eyes を観賞すべく再度 Red に待機。 昨今は Mystic Valley Band を率いた Conor Oberst のソロ活動がメインとなっているだけに、このタイミングで Bright Eyes 名義の出演を意外に思うファンも多かっただろう。 2007年の最新作 'Cassadaga' のリリース時は10人を超えるバンドを率いていたが、今回は Conor の他は中心メンバーの Mike Mogis と Nate Wolcott に、コーラスの女性のみというミニマムな編成。リラックスしたムードの中、ゆったりとライブは進行していく。 持ち味である鬼気迫る雰囲気は控えめ。しかしながら、時に囁くように、時に喚くように、吐息の全てに感情が宿しているかのようなヴォーカリゼーションは聴くものの心を揺さぶっていく。'I’m Wide Awake〜' から 'Lua' や 'At The Bottom Of Everything', そして 'Cassadaga' やソロからの楽曲なども恬淡と奏でられ、まるでホームパーティに参加しているかのような錯覚を起こす贅沢なひと時であった。

今度はニューヨークを拠点に活動するレゲエ/ダブバンドの Easy Star All Stars を見に Heaven に移動。 Pink Floyd, Radiohead, Beatles の名盤を全編レゲエ/ダブアレンジでのカバーが話題となったが、到着して早々始まったのは Beatles の 'Lucy In The Sky With Diamond'。 日の暮れた中でレゲエのルーズなグルーヴに身を任せるのは非常に心地が良い。 ハイライトとなったのは Radiohead のカバーである 'Paranoid Android'。 ギターリフをトランペットで再現し、黒人女性ボーカルが高らかに歌い上げるという、カバーという言葉で片付けてしまうのも無粋なくらいコンセプチュアルな仕上がりだ。 最後もまた Radiohead の 'Karma Police' で締めくくり、集まった人々を夕闇の中にゆらゆらと揺らしていた。

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この日の〆は前回二回目の出演でありながらヘッドライナーに抜擢された Franz Ferdinand。最新アルバム "Tonight" を引っ提げ、Green Stage へ再登場となった。 スタート早々、新作の 'No You Girls' から、代表曲の 'Do You Want To' で確実に盛り上げていく。クールな印象のメンバーだが 「アメ、ヤンダー」 とはしゃぐフロントマンの Alex の姿が何とも可愛らしい。 大舞台にもすっかりこなれた様子で淡々と山場を作り出していき、'This Fire' や 'Take Me Out' といった定番曲では鉄板の大盛り上がり、また、新作からのナンバーのライブにおける完成度の高さも際立っていた。 ところどころライブらしい遊び心も垣間見れ、'Outsiders' ではメンバーがドラム周りに集合し、4人揃って乱れ打ちのセッション。怒涛のリズムで本編ラストを彩った。 歓声の中再びステージに登場し、「もっと踊りたい?」 と観客を煽ると、独特のベースラインから 'Ulysses' をドロップ。続く 'Michael' でフロアは完全に再沸騰。 最後はエレクトロ調のベースラインを更にアシッドにアレンジした 'Lucid Dreams' でメンバーが一人ずつ退場。心憎いほどのスタイリッシュさでヘッドライナーに相応しい存在感を見せつけていた。

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