HigterFrequency パーティーレポート

ENGLISH PARTY REPORT

ELECTRONIC TRIBE - YEBISU NEW YEAR'S PARTY
@ ザ・ガーデンホール/ルーム(恵比寿ガーデンプレイス), TOKYO

DATE : 31 December 2009 (Thu)

LINE UP :
LAURENT GARNIER (FRA), MIXMASTER MORRIS a.k.a. THE IRRESISTIBLE FORCE (Ninja Tune/UK), DJ KRUSH (JPN), 80KIDZ (Kidz Rec./KSR/JPN), DJ BAKU (POPGROUP/JPN), DANIEL WANG (Balihu/GER), KENJI TAKIMI (CRUE-L/LUGER E-GO/JPN), CALM -Moonage Electronic Set- (Music Conception/JPN), DJ KYOKO (XXX/JPN), AMETSUB (PROGRESSIVE FOrM/nothings66/JPN)

VJ : SO IN THE HOUSE (JPN), SAKOTA HARUKA (JPN), 100LDK (JPN)

text by Yuki Murai (HigherFrequency)




2009年、東京の大晦日は例年以上に良質なパーティーが揃い、新たな情報が入るにつれ、どこへ行こうかという迷いが増え続けた。おそらく、どのパーティーでも素晴らしい新年は迎えられるのだろうけど…『ひとつづつのアクトを小間切れに楽しむのではなく、分け隔てなく連なるエレクトロニック・グルーヴを一晩かけて楽しむ。』 という、この新星ニューイヤーズ・パーティーのテーマをきいた時、筆者の心はこのパーティーに完全に向かうことになった。

年末の忙しさが残っていた自宅を一気に新年仕様にすべく、慌しく片付けを終えてガーデンホールへ駆けつける。エントランスには多少列も出来ていたが、クロークまでも非常にスムーズに進み、一時間外で待たされる覚悟で来ていたのに嬉しい誤算であった。
周囲にはいつも以上にドレスアップした人達が見受けられ、フロアに入る前から否応なく気持ちが上がってくる。ひとまずドリンクを買いにいくと、現地で連絡をとってから合流する予定だった友人達が目の前にいたりなど、なにやら今日は物事が非常にさくさくと進んでいく。こうなるといよいよ今日のパーティーが祝福されているような気がしてきてしまう。


Mixmaster Morris のプレイは残念ながら見逃してしまったのだが、後日、他の友人に尋ねたところ、いかに素敵なセットであったかを切々と語ってくれた。さて、友人達と連れ立って、下の階のホールへ。。
皆で連れ立って下の階に向かうと、ちょうどエレクトロ界の新星フィメール、DJ KYOKO がスピンしている現場の真っ最中。今回初めて彼女のDJを聞いたのだが、キャッチーなイメージとは裏腹に、インストゥルメンタル中心のエレクトロで硬派に攻めていく感じが非常にクール。今まさにという勢いを感じさせるものだった。そのまま続いて 80Kids のライブでは一気に場が盛り上がり、前向きな元気さとグルーヴ感が腹の底から伝わってきた。あとで知ったことだが、このライブを最後に紅一点の mayu の脱退が決まっており、集まったファン達の気合も並みならず、非常に良い雰囲気が出来上がっていた。


2010年へのカウントダウンも間近に迫り、上階のホールへ戻ると、何と DJ KRUSH がテックハウス風のトラックをプレイ中。年末のパーティーならではのエクスクルーシブさに場内はかなり沸きあがっている。
このあとに Laurent Garnier というタイムテーブル、ディープな DJ KRUSH スタイルから Garnier への繋ぎというのもちょっと見てみたかったが、こんな予想外の展開にもつい顔がにやけてしまう。

いよいよDJブースうしろの壁面に広がる巨大スクリーンに数字が映し出され、カウントダウンスタート。筆者ももちろんカウントダウンに声を上げ、2010年最初の乾杯と抱擁を友達と交し合った(カウントダウンコールに合わせた DJ KRUSH のサウンド演出も非常に格好よかった)。


さていよいよ一年半振りの来日となる Laurent Garnier がブースin。自他共に認める Garnier ファンの筆者、新年の晴れやかさと、久々に見る Garnier の姿で脳内のアガり計測計は確実に振り切れていた。そして期待の一曲目、Donna Summer の 'I Feel Love'。早くも絶妙としか言いようのない Garnier ワールドが、笑えるやら、懐かしいやら…(かなりズッコケ気味になってる人もいたが)。ヴォーカル・ハウスやディスコ調の曲を中心にスタートし、最後のアンコール近くで出るだろうと思っていた名曲 'Man In the Red Face' も早めの時間にドロップ。
まずは一つ目の山を越えたこのあたりでちょっとモダンめ、テクノ寄りの選曲に切り替わり、すっかりワールドに取り込まれた人々が一心不乱に踊り続ける。ふと我に返るまで疲れやら時間経過すら忘れさせるマジックは相変わらず健在であった。

今回はVJがモニターで出している映像をDJも見られるようにセッティングされていたため、オリエンタルなサウンドの曲にスーフィー教団の回転ダンスの映像が入ったりなど、映像とのシンクロぶりもかなり見ものであった。
ピアノの音が入ったトラックをドロップ中に鍵盤の映像が出た時には Garnier もさすがに驚いたのか、笑いながらマイクで皆に映像を見るように呼びかけるというワンシーンもあった。

最新アルバム "Tales Of A Kleptomaniac" からの新しいアンセム・チューン 'Gnanmankoudji' が二つ目のピークを作り出し、そこから怒涛のドラムンベース・セットに突入。昨年のラジオショーなどで見られ、今回個人的に楽しみにしていたドラムンベースからダブステップへの展開こそ無かったものの、どこまでも踊れてしまうようなマジックにかかっている間、ここで根こそぎ体力を持っていかれてしまった。

一旦下のホールに引き上げ、ディスコマスター・Daniel Wang の様子を見にいくことに。


昨年の TAICOCLUB でも爆笑トークと愛ある選曲で会場を和ませ盛り上げていた Daniel Wang は、今回も実に楽しそうにDJをしていた。筆者が目撃したのは、曲に合わせてエアギターならぬエアベースとエアバイオリンを披露していたところだったが、他にも色々と名・珍場面があったとのこと。

そして筆者が会場を後にしたのは朝の7時前。Garnier ワールドはタンゴのような、ジャズのようなところへ到達し、まだまだ終わる気配もなかったが、気持ち以上にマジックがぷっつりと切れ、疲れが一気に身体に戻ってきてしまった。後ろ髪をひかれる思いでホールを後にしたが、1月1日、2010年初日から全身に感じた充実感は何事にも代えがたい体験だった。

 





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