IBIZA 2004

ENGLISH IBIZA2004

Andy Daniell Interview

イギリスのハウスレーベルDefectedが今年も夏のIbizaにカムバックし、昨年、大成功を収めたEl Divinoにおける日曜日のレジデントパーティーに続いて、今年は金曜日のピークタイム・パーティーを毎週開催する事となった。

Dimitri from ParisやMartin Solveig、Brian Tappertと言った錚々たるメンツが揃うこのDefected主宰のパーティーに今年から新たに名前を連ねる事になったのが、若干19歳にして抜擢されたイギリス出身の若きDJ、Andy Daniell。多くの若いDJ達が抱える夢を実現し、そのファンキーなハウス・ミックスでIbizaの温度を更に上昇させつつあるDefectedの新星に、HigherFrequencyが話を聞いた。

> interview & photo : matt cheetham (HigherFrequency) / translation : h.nakamura (HigherFrequency)

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HigherFrequency (HRFQ) : 今年のシーズンは今のところどんな感じですか?

Andy Daniell : メチャメチャうまく行っているよ。今日までに2回パーティーをやったんだけど、かかっている音楽もアートワークもクールだし、クラブ自体も本当に素晴らしいしね。あと、Bora BoraやBase Bar、それにKube and ZooやTangoでプレ・パーティーもやったんだけど、こっちの方もすごく良かったよ。

HRFQ : Ibizaでプレイするのは今年が初めてですよね??

Andy : 実は、Ibizaに来たこと自体、全くの初めてなんだ。だから、ついつい色んな事に目を奪われてしまうね。すごく熱狂的なんだけど、同時にリラックスしているとでも言うか、みんなパーティーに夢中になっていて、何時間でも遊んでいるんだけど、同時にみんなとってもチルアウトしているって感じがするんだ。決して攻撃的な雰囲気や悪いバイブもないし、みんなどこかリラックスしていて、喧嘩をしたり悪態をついたりする奴もいないしね。みんなハッピーに過ごしているって感じかな。

HRFQ : 今回のレジデントはどうやって獲得したのですか?

Andy : イギリスのSouthendでDJの仕事を幾つかやっていたんだけど、その内の一つのパーティー「Funk You」がDefectedと関わるようになって、Simon (Defectedのボス)がそのパーティーでDJをやる時に僕がオープニングDJとして回すことになったんだ。で、それがきっかけで彼と話をするようになって、Defectedが「テロリスト・スキーム」と呼んでいる「若いDJ達が自分の地元でDefectedのプロモーションを手助けする代わりに、レーベルからは全てのDefected関連のプロモ盤が送られてくる」というスキームに関わるようになったんだ。おかげで色んな音楽業界の人と知り合うチャンスも出来て、やがて僕のプレイを気に入ってくれたDefectedの人から、Ibizaでレジデントをやってみないか、と声をかけられたというわけ。それで、彼らが僕をDJのロスターに加えてくれる事になって、今まで自分がその人のレコードを買っていたような人たちと一緒にプレイする事になったんだ。みんな僕が憧れていた人ばかりだし、彼らのCDを聞いたり作品を買ったりしていたのが、今では実際に会って、一緒にプレイをしているんだから、これはすごい事だよ。本当に夢が叶ったとしか言いようがないし、まだどうもしっくり来ていないところもあるかな。

Andy Daniell Interview

HRFQ : ここに来る前は、イギリスで何をしていたんですか?

Andy : 16歳で学校を卒業したんだけど、その前からDJをしながらずっと音楽に関わっていたんだ。学校にいた頃は、DJ機材のお店で働いていて、ターンテーブルやミキサー、それにスピーカーなんかを修理していた。それに、時々ウエディング・パーティーなんかでコマーシャルなポップソングを回したりもしていたかな。17歳くらいまではそんな感じのことをやっていたんだけど、その後クラブミュージックも回すようになって、Southendのパーティーで時々DJをするようになったんだ。で、しばらくしてMetroレコードって言うSouthendのレコード店で2年ほど働く事になったんだけど、そこで一緒に働いていたCosmicっていう音楽業界に顔の聞く奴でね。彼から紹介されて、DefectedのSimonに出会うことになったんだ。Metroで働いている時には、地元のシーンに関わっている人間ほぼ全員と知り合いになる事が出来て、DJ活動もどんどん広がっていったんだけど、そうこうするうちにMetroが潰れてオーナーが変わってしまって。そこを辞めたあと、数ヶ月間はDJだけをやって暮らして、やがてDefectedで働くようになったというわけ。最初はゆっくりと進んでいたんだけど、ある時から突然物事が進むスピードが速くなって、気がつくとEl Divinoにいて、何年もこのクラブでプレイしてきたような人たちと一緒にプレイしているって感じかな。

HRFQ : パーティーでDJをやる以外には、ここで何をしているんですか?

Andy :クラブ・プロモーション全般をやっているよ。今後リリースする予定の作品をDJにプレイしてもらって、ちょっとした話題を作っていくって感じかな。だから基本的には色んな場所を回って、僕らの新しいレコードをDJに渡して、気に入ればかけてもらうようにしているにしているんだ。そうすることで、リリースされた時には、よりたくさんの人たちが買ってくれるようになるからね。

HRFQ : あなたのスタイルについて教えてもらっていいですか?

Andy : う〜ん、今まで自分をスタイルを説明した事はないからなぁ・・・。ただハウスミュージックをプレイしているって事だけかな。ディスコミュージックが好きだから、ディスコ系のサウンドトラックはよくプレイするけどね。ドラム・ビートにも興味があって、そう言った曲もプレイするし、歌ものやハードな曲、それにミニマルも時々プレイするかな。あと、あんまり自分自身を一つのカテゴリーに縛り付けたくはないんだけど、Defectedのサウンドはずっと好きだね。Simonがピックアップする作品は本当に素晴らしいものばかりで、別に僕はDefectedのレコードを極力プレイしなければならないわけでもないんだけど、あまりに素晴らしいレコードが多いので、いつもプレイせずにはいられなくなってしまうんだ。まぁ、もし、自分のスタイルを分かりやすく言うとすれば、ファンキーハウスって事になるのかな。この呼び方は嫌いなんだけどね。僕は音楽に名前をつけるのが大嫌いで、音楽はあくまで音楽であって、ファンキーハウスやボーカルハウス、ディスコハウスなんてものじゃないと思うんだ。だから僕がプレイしているのはハウスミュージックで、ひょっとしたら「Defectedサウンド」と呼ぶのが一番良いのかもしれないね。まぁ、僕のセットを聞いてもらえば、どんな感じかは分かってもらえるんじゃないかな。

Andy Daniell Interview

HRFQ : 制作活動はやっているんですか?

Andy : やっているよ。最初に曲を作ったのは16歳の時で、驚いた事に、その曲がいきなりLee BurridgeがGlobal UndergroundからリリースしたミックスCD「24:7」に収録される事になったんだ。週末に他の二人の奴らと作った、ミニマル系のテックハウスだったんだけどね。2作目は、Metroレコードで一緒に働いていたCosmicと作った曲。彼がサンプルを持ってきてトータルの方向性を提示して、僕が実際にリズムを打ち込んだり、ベースラインを考えたりしてトラック制作を担当しながら作業をしていったんだ。この曲は今、いろんな人がプレイしてくれているみたいで、Ibizaに来る前にもBBC Radio 1のDreem Teemショウで3回くらいかかっていたかな。だから、早くスタジオに戻りたいね。今の段階で既に、全てのアイデアは頭の中にあって、どんな曲にしたいかって言うのは明確になっているから、あとはそれを実際にトラックに落とし込む作業をしてくれる人に伝えるだけだし。あと、いつかは自分の作品をDefectedからリリースしてみたいな。この間、Defectedのイベントで配るプロモCDのミックスを担当したんだけど、やっぱり自分の名前がDefectedのCDに載っているっていうのはたまらないものだからね。。

HRFQ : ここIbizaでは制作作業はしないんですか?

Andy : いや、是非やってみたいと思っているんだ。スタジオを持っている何人かとは知り合いになったから、後は自分の頭のアイデアをまとめるだけかな。まぁ、アイデア無しでスタジオに入っても、たまに良いものが出てきたりする事もあるんだけど、あらかじめアイデアをキチッと固めておけば、まず良い作品が出来るのは間違いないでしょ、だから今はそのアイデアをまとめているんだけど、でも、ここにいる間には絶対制作をやりたいと思っているんだ。出来上がった自分の曲を何曲かかけてみたり、自分だけのバージョンをつくってみたり。あと、他の人のレコードに、ちょっとしたリエディットを加えて、周りの3、4人に渡すってのも結構好きかな。まぁ、みんな高いお金を払ってここへ来てくれているわけだし、何か違ったものを聞かせてあげたいからね。

HRFQ : 誰と競演するのが一番楽しみですか?

Andy : Sandy Riveraとのプレイは本当に楽しんでいるね。彼は本当にクレージーだけど、とてもクールでいい人なんだ。あと、Dimitri from Paris。彼はついこの間、Defectedナイトでプレイしたばかりなんだけど、キャリアも実績も申し分ない人で、僕的にはすごく尊敬している人なんだ。彼が手がけたDefectedのミックスCDはホントに度肝を抜かれる内容だったしね。それから勿論、Martin Solveig。彼のプレイからも目が離せない。あと、来週はSashaのプレイを見に行こうと思っているんだ。僕がDJになるきっかけを与えてくれた人でもあるし、彼のプレイを見て、色んな技をチェックしておきたいからね。いずれにしても、みんな僕よりずっと長いDJ経験を持っているわけだし、彼らの持っている間を自分のスタイルに取り込めんでいったら、自分のプレイもちょっといい感じになるんじゃないかと思うんだ。James ZabileaのCDJのスキルや、Brian Tappetのアカペラの使い方といった感じでね。

Andy Daniell Interview

HRFQ : Ibizaは自分のキャリアにどのような影響を与えることになると思いますか?

Andy : 良い影響を与えてくれるといいね。ここに来るまでは、僕は全くの無名の存在だったけど、ここへ来て毎週プレイするようになってからは、みんな僕の名前を耳にしたり、僕のプレイを好きになったりしてくれているんだ。やっぱり名前を広めるのって時間のかかる事だと思うし、今は僕も単なるDefectedから出てきた奴っていう感じでしかないと思うけど、これから何年か一生懸命働いて、たくさんのライブをこなしていけば、4〜5年先にはみんな僕のことを認識してくれるようになるんじゃないかな、と思う。

HRFQ : これまでにプレイしてきたパーティーの雰囲気はどんな感じですか?

Andy : とてもいいよ。Defectedのパーティーに来る人たちって、音楽を聴くために集まっているって感じで、Hed KandiやMoneypennysといった他のパーティーみたいに、豪華絢爛でグラマラスな感じを売りにしてお客を引きつけているところとは違うと思うんだ。僕らのパーティーでも、カッコ良いビジュアルやダンサー、それにバナーやライティングなんかも用意されてはいるんだけど、あくまでメインは「音」に置かれているからね。それに、他の多くのパーティーでは、セレブなDJが出演しているのを聞きつけた人たちが、自分の持っているCDにサインをしてもらう為に出かけて行くようなものだから、音楽は別にどうでもよかったりするわけでしょ。でも、Defectedのパーティーでは、DJもお客さんもみんな音楽が大好きで、踊るのが好きで集まっている人が多いからね。この雰囲気に勝つのはなかなか難しいと思うよ。

HRFQ : Defectedのパーティーのほかに、どのパーティーが今年の夏、ブレイクすると思いますか?

Andy : Roger Sanchezの「Release yourself yourself」パーティーだね。この間の月曜日に行ってきたんだけど、マジでぶっ飛んだよ。彼のCDは以前にも何回か聞いたことがあって、その時は特に何も感じなかったんだけど、彼のライブを見た時は本当にヤバかった。だから、今年が彼にとって良いシーズンであってくれるといいなぁと願っているんだ。

HRFQ : あなたのいるポジションに憧れている他のDJ達に何かアドバイスはありますか?

Andy : どうすれば気に入ってもらえるかを勉強すべし!実際に僕がどうやったかはあまり覚えていないんだけど、ただ場所とタイミングが良かったのは確かだね。でもやっぱり、何かが起こるのを期待して待っているんじゃなくて、出来るだけ自分から業界に関わっていくようにしないとだめと思うんだ。出来るだけ大勢の人たちに会って、自分自身のプロモーションを続けていけば、結果としてきっと何かが起こると思う。レーベルやクラブと出来る限り一緒に仕事をする経験を積んで、まず最初はオープニングDJとしてのポジションを獲得できるように努力するんだ。最初からヘッドライナーを狙うなんて事は期待しても無理だから、まずは空っぽのダンスフロアーから始めないとね。

Andy Daniell Interview

HRFQ : 来年もIbizaに戻ってこれると思いますか?

Andy : 絶対に戻って来たいね。今回のレジデントが上手く行って、冬の間に一生懸命頑張れば、来年の夏には、ここへ連れ戻してくれるようにDefectedに頼み込めると思うんだ。

HRFQ : 夏が終わった後はどのような予定になっていますか?

Andy : Defectedが10月から12月にかけてUKツアーを予定しているから、出来ればそれに参加できるといいな、と思っているんだ。たくさんライブをこなして、自分の名前を広めて行きたいからね。あと、スタジオにも戻りたいと思っていて、もっとたくさんの作品を作ってみたいとも考えている。

HRFQ : 今年のIbizaにおけるトップ5チューンを挙げてもらっていいですか?

Andy :
1. Soul Central Soul Central - Strings of Life (Ith Records)
2. Deep Dish - Flashdance (YoshiToshi)
3. Martin Solveig - Destiny (Defected)
4. Simon Aston Sentimento (Mainline Music)
5. DJ Gregory - Joberg Theme (Faya Combo)

End of the interview

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