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Dr.Shingo's Electronic X

Dr.Shingo's Electronic X


Text : Dr. Shingo

みなさんこんにちは、ドクターシンゴです。

以前から話をしている通り曲のプロダクションに力を入れている日々が続いていますが、
新しいアルバム完成まであと少し、という所まで来ました。。そんな冬のプロダクションに集中しやすい季節から、暖かく世の中が活動的になる季節がやって来ました。

・・・と言いながら、あっという間に4月も過ぎてしまったわけですが、4月もおかげさまでまた面白いパーティーにいくつか出演する事ができました。1つ目は4月15日、代官山AIRで行われたパーティー「K-SWISS presents K-SOUNDS Vol.2」。なんと、"Blue Monday"等のヒット曲でお馴染みの、ニューウェーブバンドの代表格NEW ORDERのベーシストであるPETER HOOK(ピーター・フック)が来日し、僕もDJとして出演してきました。NEW ORDER と言えば、マンチェスターロックのブームの火付け役としてシーンに多大な貢献をし…などと言う肩書きはWEBで検索すれば幾らでも出て来ますので、皆さんで勉強してみて下さい。


1976年にイギリスのマンチェスターでセックス・ピストルズのステージを見ていたバーナード・サムナーとピーター・フックが出会い、ニューオーダー結成のきっかけになる。僕が生まれたのも1976年。何か出会う縁があったのかな、などと思いますが、実は僕自身ニューオーダーのリスナー暦は浅く、バンドのCDも本当に代表的な物しか持っていません。"Blue Monday"を彼らがリリースしたのが80年中期。その頃の僕はまだ小学生で、彼らの音楽がリアルタイムな世代ではありません。中学、高校でロックに出会いそこからは音楽漬けの毎日でしたが、正直な所、パンク、ニューウェーブといった音楽に余り魅力を感じませんでした。

その頃の自分は正統派なロックと言いましょうか(笑)、高校生の癖にジミ・ヘンドリックス、エリック・クラプトン、レッド・ツェッペリン、ジェフ・ベック…みたいな70年代〜80年代のちょっと古めのロック、特にギターを弾いていたのでギターが前面に出ているロックを聴いていました。だから、「ギターソロ」の挿入度が低いバンドの音楽には余り興味が沸きませんでした。そういったロックを通った後もフュージョン、ブルース、ジャズと渋い音楽に没頭してしまったので、知識としては知っていましたがニューオーダーの魅力を体験する事はありませんでした。まともに彼らのCDを買って聞くようになったのは僕たちの年代の青春ド真ん中、グランジを聞き始めた頃だったと思います(これも20歳ぐらいですからちょっと遅かったですが)。もっとギターがうまくなりたい、その一心でアメリカに渡り、ギターの演奏テクニックと音楽理論を究極までに突き詰めようとしていましたが、とある難解な音楽理論を勉強した時に

”なんだ、結局音楽なんてどうでもいいじゃないか”

という事を感じてしまい、一気に譜面と睨めっこしながらギターの練習をしている事が馬鹿馬鹿しく思えて来たのです。その時にすんなり耳に入って来た音楽はグランジやテクノでした。そこで初めて音楽はソウルだ(ジャンルじゃないですよ)、グルーブだという体感的な物を大事にする様になりました。そうなると、今まで敬遠していたジャンルの音楽でもとても新鮮に聞こえ、それらを純粋に楽しむ事が出来る様になったのです。ニューオーダーに出会ったのもその時期でした。

僕がニューオーダーに出会うまでの遍歴をご紹介しましたが、皆さんにもそれぞれニューオーダーに対する思い入れがある事でしょう。中には彼らに影響を受けて学生時代バンドを始めた、なんて音楽の原体験となるような衝撃を受けた方も多数いらっしゃると思います。そんな大勢のファンが詰め掛けたAIRのパーティーは、僕にとっても4月の目玉イベントだったと言えるでしょう。

そしてもう一本、4月21日にWOMBで開催された「Cross Mountain Nights」も素晴らしいパーティーでした。ゲストDJに、ジャンルレスに活躍し多大な支持を集めているJames Holden(ジェームス・ホールデン)が再来日。既にageHaでDJプレイを披露している彼ですが、まだ若いのでそのDJセットはどんどん変化しているみたいで僕自身プレイを聞くのを楽しみにしていました。感想を先に述べると、ここ数年聞いたDJの中でもっとも衝撃的なDJでした。はっきり言ってビックリしました。言葉で説明するのが難しいのですが、その場の空気をDJで捻じ曲げる、時間の感覚を狂わせると言いましょうか…。テクニック、選曲と共に文句無しでした。そして終わってみれば1400人の方々にご来場頂いたと聞きこれにも仰天。Jamesも僕のライブセットをかなり気に入ってもらえたみたいでその後の話も弾み、またまた音楽を通して新しい仲間が増えたりととても有意義な一夜でした。

さて、世の中が入社入学シーズンを迎え、多くの人が新たな人生をスタートさせたばかりのこの時期に、僕も自分のレーベルをスタートさせます。しかも通常のレコード会社がするようなレコード、CD等のハードを売る形態ではなく、mp3の音楽ファイルを配信するインターネットレーベルです!この僕の新しいレーベル"highland"(ハイランド)は、これまた今春よりHigher Frequency.comが運営するmp3ダウンロードショップ、"hrfq.com"上で展開されます。今まで僕がレーベルを自分で持つにはまだ時期が早いと思っていましが、レーベルを運営し多くのアーティストの作品が集まることにより、僕のレーベルがエレクトロニック・ミュージックについてのディスカッションの場になる・・・そんな場所を作りたいと思うようになりました。これから広く"highland"からリリースするデモトラックを募集する訳ですが、皆さんからトラックを送って頂き、それを僕自身聞く事によって新しいアイデアに気付かされたりする事もあるでしょうし、レーベル側からアドバイス等が出た時に、アーティストの方が何かに気付いたりする事もあると思います。そうする事でアーティストが音楽的なアイデアをシェア出来る場になれば良いと思います。

そして何と言っても日本のレーベルなので、多くの日本人アーティストの作品を沢山リリースして行ければと思っています。先程お話した通り、レーベルは"hrfq.com"上で展開され"hrfq.com"の英語版も近い将来に開設される為、全世界のエレクトロニック・ミュージックファンが僕のレーベルの音源をチェック出来る様になります。折角日本でアナログレコードやCDを作っても、海外の流通会社とのコネクションや取引が出来ないと世界規模で商品を流通させる事は非常に困難です。でもウェブショップなら、パソコンとインターネットに接続できる環境さえあればどこの誰でもリリースされたあなたの曲を聴く事が出来る可能性があります。言うなれば、もしhighlandからリリースが決まれば、そのリリース先は全世界であり、世界中の人達があなたの曲を聞くチャンスを獲得する事になります。mp3 での音楽配信の市場は年々右上がりの一途を辿っており、クラブミュージック界も例外ではありません。ジャンルに関係なく世界のトップDJ達も、クラブに標準的に設置してあるCDJやラップトップを持参してDJプレイを行っている事は皆さん周智の事と思います。僕自身もmp3ショップからダウンロードしたトラックをCDに焼いてDJプレイに使用していますし、音楽ファイルを使ってDJをすることは一つの選択肢としてごく常識的な事となっているのです。その意味でもmp3の形態で音楽を配信するという事は、アーティストにとっても大きなアドバンテージがあると思います。

募集するジャンルは、主にはテクノが中心になると思いますが特化はしません。キーワードは「優れたエレクトロニック・ミュージック」です。良い!と思えばアンビエント、ラウンジスタイルのトラックもリリースして行きたいと思います。「優れたエレクトロニック・ミュージック」を言葉で説明するのは非常に難しいですが、良ければこれまたこのサイト内でアップされている"Residents"の僕のDJミックスを聞いてみて下さい。僕のレーベルカラーを表すヒントになるかも知れません。もちろんmp3ファイルに限定することは無く、将来的にはレーベルのコンピレーションCD発売だったり、ダウンロードの件数が多かった作品についてはアナログEPのカットをして行く予定です。
レーベルをスタートさせてからの数ヶ月間は、僕の未発表のトラックをリリースしていきます。その後、募集したデモ作品から優秀な物を随時発表して行く予定です。

レーベルスタッフ一同、皆さんからの力作の応募を心よりお待ちしています!!日本全国のアーティストの皆さんが世界に羽ばたくきっかけを作ることが出来ればと思っています。


デモ曲送付先

〒153-0043 東京都目黒区東山 3-7-3 VIEW 東山 301
hrfq.com 内 ? Dr.Shingo “highland” デモ音源係 まで

デモ曲はCD-RもしくはDVD-Rのメディアに収録してお送り下さい。16bit、44.1kh以上で非圧縮形式のデータフォーマットであれば形式は特に問いません。圧縮されたメディアでの形式はご遠慮ください。圧縮されたデータ形式にはmp3,real audio等があります。またメールでのデモ曲の応募はご遠慮下さい。

以上春のお知らせでした。次回はアーティストのインタビューをお届け出来ればと思っています。



Dr.SHINGO プロフィール

長野県出身。幼少から様々な楽器を演奏し、米国・バークリー音楽院への留学を経て2001年よりデモテープの配布を開始、最終的に故 christian morgenstern のレーベ ル Forte Records よりアルバムリリースのオファーを受ける。2002年デビューシングル「Have you ever seen the blue comet?」でワールドデビューを皮切りにアルバム「Dr Shingo's Space Odd-yssey」をリリースし、一躍その名を世界に轟かす。Sven Vath、石野卓球、等のトップアーティストからも絶大な評価を得、世界各国からリミックスの依頼が舞い込むようになる。 2004年5月にはセカンド・アルバム「ECLIPSE」をドイツの TELEVISION RECORDS よりリ リース (日本盤は先行で3月にMUSIC MINE よりリリース)。約2年間の活動の中で20枚ものシングル、アルバム、リミックスワーク、そしてコンピレーションCDへの楽曲提供を果たし、名実共に日本を代表するエレクトリックミュージック・プロデューサーへ と成長した。幅広い音楽の知識を持ち、それを余す所無く自身のプロダクションに応用する事により、実験的であり、斬新なトラックを発表、常に現在のテクノシーンを前進させようとする姿勢を崩すことは無い。特に類を見ない抜群のメロディセンスが彼のプロダクションに更なる“ポップ”なエッセンスを加えている事により、孤高のエレクトリックミュージックを発信し続けている。


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