HigterFrequency パーティーレポート

ENGLISH PARTY REPORT

HOLIC 3rd Birthday with DJ DEEP, JUSTIN DRAKE
LONDON REPORT

DATE : 26 February 2010 (Fri)
VENUE : THE CAMP
LINE UP : DJ DEEP, JUSTIN DRAKE, DOM&JAY, JUNKBOXX and TOMOKI TAMURA

Photo by High Chee's (Sou)
Text by Takahiro Nakayama




OLD STREET の地下鉄の駅前にあるクラブ THE CAMP、secretsundaze の James Priestley が去年末にオープンさせ話題となっているイーストロンドンの新しいクラブである。1階はカフェバーとギャラリースペースになっており、地下のフロアは週末だけクラブとしてオープンし、Mulletover を主宰する Gedes によるレーベル "murmur" のレーベルパーティーや、James 自身が新規気鋭のアーティストを招待しオーガナイズするパーティーなどが開催されている。ロンドンのローカルシーンとヨーロッパの若手DJにフォーカスしたアンダーグラウンドな雰囲気が遊びなれた玄人クラバーを虜にしている。内装も大きな地下室にスピーカーとDJブースを置いただけという殺風景なデザインが、室内をキレイに装飾したクラブとは一線を画し斬新だ。イギリスではウェアハウス(空いている倉庫)でサウンドシステムを持ち込み違法にパーティーを行うという文化が定着しているだけに、ここまで潔いとウェアハウスのパーティーに来た気分に浸る事ができる。

そんな THE CAMP で HOLIC の3周年パーティーが行われた。HOLIC はロンドン在住のプロデューサー/DJである Tomoki Tamura と現在は日本で活躍している kikiorix の二人を中心に THE END/AKA で2007年に始まったパーティーである。筆者も HOLIC 開始当時からオーガナイズに携わり、THE END がクローズした後も Ministry of Sound、EAST VILLAGE、cafe 1001 などでクラブを転々としながら毎月ロンドンで開催している。 過去に X-Press2、Andrew Weatherall、Damian Lazarus、A Guy Called Gerald などの大御所から、Glimpse、Mountain People, Jimpstar, Milton Jackson などの中堅アーティスト、さらには Dan Berkson&James What、Tim Green (TG)、ITALOBOYZ、Jay Shepheard と新規気鋭のアーティストが HOLIC のゲストDJとしてプレイしている。日本からは、Studio Apartment の森田氏、Hideo Kobayashi、Osamu M、Satoshi Otsuki などが過去に参戦。日本人がロンドンで主宰するパーティーとしては異例の旋風をイギリスのクラブシーンに巻き起こしている。


HOLIC が3周年を祝うゲストDJに選んだのは、フランスのハウスシーンに Laurent Garnier と並んで君臨する DJ DEEP と、ロンドンのトップユニット Peace Devision から JUSTIN DRAKE の二人。満を持してオープンした30分以内の出来事である、いきなりカウンシル(区)のクラブ営業ライセンスを確認する人が現れパーティーがストップ。突然の出来事に戸惑うも、全員フロアから出され1階のカフェバーで暫く待機させられた。結局、クラブ側が持っている営業ライセンス開始時間が深夜12時だった事を告げられ、強制的にオープン時間が12時に繰り上げ。4時クローズの予定が6時クローズに突然変更、波乱の幕開けである。
営業ライセンスの時間を無視して毎週末パーティーを開催していたというクラブ側の根性も恐ろしいが、ロンドンらしいトラブルで文句を言っても始まらないので、大人しく12時を待ちパーティーが再開。


いきなりのトラブルで出鼻をくじかれた感は否めないが、再オープンと同時に表に出来た長蛇の列を見た時はまさに安堵の瞬間であった。オープンが遅くなった影響で12時から2時頃までは列が止まず、続々とフロアには人が流れ続けた。フロアが人で埋まり始めた1時に JUSTIN DARAKE が登場。一時的流行やトレンドに影響を受ける事なく、ダークエッジでトライバルなドラムにダビーなグルーヴがトレードマークである彼のDJセットはフロアに起爆剤的な要因をドロップ。目立って盛り上げる事もなく、ミニマルな展開でフロアに安定感と一体感を同時に与える彼のプレイは、プロモーターや他のアーティストから多大な支持を得ている。Peace Division での相方 Clive Henry より硬派で職人気質のイメージ。

そして2時半になると DJ DEEP にバトンタッチ、DJ DEEP が始まると同時にBPMは少し早くなり、それに答えるかのようにオーディエンスの反応も絶頂に。
DJ DEEP と言えばディープハウスのイメージが強いが、最近は音楽の裾の尾をテクノへ広げ Ben Klock やA rgy などの新規気鋭のアーティストと共に楽曲制作を手掛け、ベルリンを代表するクラブ 「Berghain」 などでも多数のギグを行っている。今回は、HOLIC の周年の為にSpecial Techno setを依頼していたので、期待どうりのアップテンポなドラムと洗練されたベースーライン、さらに卓越したmixスキルでフロアを完全にロック。
彼のDJプレイを語るうえで特記すべき点は、彼のmixに対するこだわりと、その技術力の高さだと筆者は考える。フランス人エンジニアと共に DJ DEEP が開発した ミキサー 「DJR400」 の評価がそれを裏付けている。とにかく彼のmixは曲が変わるごとに感動の連続である。


4時をまわるとフロアの人も少し減り、踊り易くなった時間帯にHOLICのレジデントDJである Tomoki Tamura が登場。今回の HOLIC は周年というとこで、「EAST VILLAGE」 のミュージックダイレクターである Stuart Patterson をはじめ、secretsundaze の Giles と James、さらにロンドンで活躍する多くプロモーターやDJ達が遊びに来てくれていた。そんな彼等の前でプレイを始めた Tomoki Tamura。DJ DEEP が作り上げた現場の空気感を紐解くように解放し、2、3曲の間に彼のアグレッシブであらゆるハウスミュージックを自由自在にmixする独自のプレイスタイルにフロアが引きずり込まれた。このまま音が止まるまでビールを片手に踊り続けたかったが、DJ DEEP をホテルに送るという大役を任されていたので5時頃にクラブを一旦後にする。
30分ほど経ってクラブに帰って来ると、フロアの人はかなり減っていたが逆に盛り上がりは本日の最高潮に達していた。過去3年の HOLIC で毎回最後のDJを務めるレジデントDJのプレイには説得力を感じる。最後は TOMOKI の必殺ワザとも言える、女性Vo.モノのハウスクラシックで HOLIC の3周年は無事に終了。

パーティー終了後は最後の曲で完全にテンションがあがった Mr secretsundaze こと Giles Smith の家に TOMOKI と一緒に移動して、アフターパーティー。彼の家の膨大なレコードの量にかなり驚かされたが、さらに驚いたのは彼のアフターアワーズでのタフさである。Mr secretsundaze の恐ろしさを教えられた土曜日のお昼だった。

最後に今後の HOLIC の予定は、4月にシカゴからアシッドハウスのパイオニアである DJ PIERRE とベルリンで活躍するギリシャ人プロデューサー ARGY を招いて EAST VILlAGE で開催され、5月にはロンドンを代表するクラブ fabric で開催される事が決定している。

 




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