HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

ジャズを基調としたトラックと、ポップなヴォーカルで彩られた作品の数々で知られる KOOP。キーボーディストである Oscar Simonsson と、DJとしても活躍する Magnus Zingmark の2人によって構成され、多様なヴォーカリストをフィーチャーするスタイルで多くのヒットを生み出してきている。そんな彼らの魅力を凝縮したベストアルバム "best of KOOP 〜Coup de grâce 1997 - 2007" のリリースが決定。今回のインタビューでは Oscar に KOOP としてのジャズ、そしてサンプリングに対するこだわりを中心に、音楽にかける想いを語ってもらった。まっすぐで、飾り気の無い言葉の数々からは、音楽にかける情熱、そして、ぶれることの無い信念が力強く伝わってくる。

Interview : Hidehiko Takano


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-- 今回リリースとなる "best of KOOP 〜Coup de grâce 1997 - 2007" についてお聞かせください。まず、このアルバムを出すにいたった経緯をお教えください。

O.S (Oscar Simonsson) : Magnus と一緒に、KOOP のスタイルが最も表れている作品を選んだベスト・アルバムなんだ。KOOP の核となっている部分をみんなに見せたかったんだよ。KOOP は僕と Magnus による 「演奏」 であり、「バンド」 なんだ。だから、KOOP の作品のことを、いわゆる 「プロジェクト」 とは呼ばれたくないんだ。
Magnus とお互いに音楽に関して似たようなアイディアを持っていたのがきっかけで、20歳の時に一緒に曲作りを始めて、それから先はそれらのアイディアを実際に形にするために全てを注いできたよ。様々なサンプルを駆使して僕ら独自の音楽を創りたかったんだ。でも、昔は機材なんて持っていなかったから、古びたサンプラーを人から借りたりしていた。僕たちは優れた演奏技術を持ったミュージシャンでもなければ、プロフェッショナルなプロデューサーでもない。でも、アイディアと情熱は誰にも負けないって思ってる。

-- 製作者として、ここは!という見どころ・聴きどころあれば教えてください。

O.S : 一つ一つの曲がそれぞれ見どころ・聴きどころだよ。あれこれ言葉で説明したら、僕らの音楽の価値を下げてしまうことになる。

-- KOOP の作品はジャズとしてカテゴライズされることが多いですが、そのことについてどのようにお感じですか?違和感を感じますか?それとも納得されていますか?

O.S : 僕たちの作品のリズムはスイングしているし、そのことがジャズの根幹にある要素だと思うから構わないよ。ただ、ジャズとしてくくられることは時として制約になる。古臭い人しか気に入らないような小難しいサウンドを期待されてしまうからね。僕たちの作品を聴くことなんてまずなさそうな人達が集まるジャズクラブにブッキングされてしまうことなんかがあるんだ。まあ、とにかくラウンジとしてくくられさえしなければジャズでも何でも構わないよ。

-- ジャズの定義は人それぞれ大きく異なると思うのですが、KOOP にとってのジャズとはどのようなものか、お教えください。影響を受けたジャズミュージシャンや作品、外せない要素、最大の魅力、など。

O.S : 僕たちのサウンドはジャズのように聞こえるけれども、ヴォーカルパートはシンプルなポップスなんだ。ジャズに限らずあらゆる音楽に影響を受けてきたけれど、1970年以前のジャズが好きなんだ。それに、1970年にレコーディングされた Miles Davis の "Bitches brew" はジャズの既成概念を破壊した作品で、それこそファンクとかロックにも通ずる名作だと思う。ジャズで重要なのはスイング、歌詞、それに歌声だよ。まさしく KOOP のようにね。

-- プロフィール等で 「サンプリングに対するこだわり」 が強調されていますが、なぜサンプリングにこだわるのでしょうか?

O.S : たった2人の人間で、オーケストラのようなサウンドを出したかったからさ。そのための唯一の方法がサンプリングだったんだ。そういった音を追究し続ける限り、今のスタイルを続けるよ。それこそ無数のサンプラーを並べて、それらを組み合わせながら演奏してみたいって考えている。サンプルを組み合わせて、生演奏するかのように作品を創るバンドって他に見当たらないからね。誰もやっていないことに挑み続けるからこそ僕らの音楽は常にモダンでいられるんだ。

-- 多様なヴォーカリストと作品を作られていますが、これらの方々とはどのようにして出会われるのでしょうか?

O.S : まず最初に歌を作る。その上で、その歌に最もふさわしいヴォーカルが誰なのかを考えて決める。そこから先は、すでに面識がある人だとか、歌声を聴いたことがあるだけの人だとか関係無しに、電話するんだ。
「歌ってくれるかな?」 ってね。

-- 実際のレコーディング作業はどのようなプロセスで行われるのですか?

O.S : ヴォーカリストが僕らのスタジオに来たら、まずは曲を聞いてもらう。そして、僕たちがどんな感情を表現したいかを説明する。それからは僕らが納得するまでレコーディングを繰り返す。僕らの歌はとても短いし、シンプルだから、大抵は1時間以内に終わるよ。

-- 今後、フィーチャリングしてみたいと思うヴォーカリストはいますか?

O.S : 全ては歌次第だよ。そして、どんな感情を我々が表現したいのか。歌にふさわしいヴォーカルを選ぶことが大事なんだ。あとは、有名なシンガーは避けようと心がけているかな。

-- TOKYO CROSSOVER / JAZZ FESTIVAL 2006 に出演された際の印象・感想をお聞かせください

O.S : 日本はとても気に入ったよ。ただ、あのフェスティバルに出演した時はなんだか妙な気分だったね。僕たちはいわゆるヘッドライナーだったはずなんだけど、他のバンドはハウスが中心だったから、なんだか浮いちゃってたんだ。

-- リリースやツアーなど、今後の活動予定をお教えください。

O.S : 前回のツアー "Koop Islands" から一年たっているけど、新しい作品が完成して、新たなメッセージが出来るまではツアーはしないよ。いつも出演のオファーは受けるけど、断っているんだ。お金のためだけに、古い作品で何度も同じパフォーマンスをしていたら我々のクリエイティビティを殺してしまうからね。

-- 最後に、ファンのみなさんにメッセージをお願いします。

O.S : 僕たち KOOP の音楽は愛そのもなんだ。情熱が溢れているよ。Thank you.

End of the interview




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