HigterFrequency パーティーレポート

ENGLISH PARTY REPORT

MINILOGUE NIGHT @ TRIANGLE, OSAKA

DATE : 29 November, 2008 (Sat)
LIVE : Minilogue
DJ : Sebastian Mullaert, Marcus Henriksson
PHOTOGRAPHER : Eliu*
TEXT : Terumi Tsuji



Cocoon, Traum, Wagon Repair, Crosstown Rebels などの有名レーベルから数々の作品をリリースし、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのスウェーデン出身のテクノデュオ Minilogue が大阪に戻って来た。今年の5月に Son Kite 名義での来阪は果たしているが、Minilogue 名義の公演は実に1年半ぶり。しかも今回はオープンからラストまで Minilogue オンリーの豪華な一夜ということで、関西のみならず全国各地から Minilogue ファンが駆けつけた。


オープニングはフリースタイル・ダウンビートを得意とする Sebastian こと Seb が担当。海の中を漂っているような心地よいサウンドでフロアをゆっくりと温めていく。チルアウトレーベル Chillosophy Music のA&Rであり、また Ooze 名義でも活動を行っている Seb ならではの幅広い選曲で早くもオーディエンスの心を鷲掴み。スタートして30分も経たないうちにフロアはすでに満員状態。ダウンテンポなセットが多い Seb だが、フロアの盛り上がりを見てビートを少しずつ増やして行き普段の Seb からは想像できないようなフロアーライクなダンストラックの連続でオーディエンスを驚かせた。一方 Marcus は日本にくる前から体調を崩しており一時は大阪行きも危うい状態だったが、前週の東京 UNIT でのギグ終了後から一週間ゆっくりしたことで随分体調も回復したようで、Seb がプレイ中にはフロアに出て来てオーディエンス??と一緒に Seb の音を楽しんでいたようだ。

フロアがすし詰め状態となった2時半頃、Marcus がステージに移動し機材を弄り始める。しかし Seb はDJをストップする気配はゼロ...。「いつライブがスタートするんだろう?」と思いきや、Seb がDJしている傍らで、Marcus がライブ開始というシームレスなテクニックで気がつけば既にライブをスタートさせていた様子。この2人とってはあくまでもライブも長いサウンドジャーニーの通過地点でしかないということなのだろう。繊細なサウンドでフロアを焦らし、さぁ今からが本番!というところで、「ブチッ」という嫌な音が...。ライブ機材の電力が大きすぎて、変圧器がオーバーヒートしてしまったようだ。即座にクラブのスタッフがステージに駆け寄りライブ再開を試みるも、変圧器の修復が不可能なことが判明。急いで新しい変圧器を手配することに。しかしそこで焦りを見せることなく、今度は Marcus がDJをスタート。お得意のアップリフティングなテクノで、ライブの序章だけを見せられ欲求不満状態のオーディエンスをフロアにしっかりロックさせた。先日まで寝込んでいたとは思えないほどパワフルなプレイでフロアはますますヒートアップ、Seb のダンスセットとはまた違った彼特有のグルーブ感たっぷりな世界を作り上げて行く。音の趣向が違うこの2人が一緒に創り出すサウンドだからこそ、Minilogue は幅広い音楽ファンに愛されているのだろう。


そして京都の姉妹クラブから新しい変圧器が到着。すでに5時を回っているにも関わらずフロアは超満員!そして本日2度目のライブがスタート。しかしオーディエンスの期待も空しく、開始10分でまたしても変圧器がオーバーヒート...。合計50キロ以上もあるスウェーデン製の機材には通常の変圧器では荷が重すぎたようだ。流石に落胆の声がフロアに飛び交うと思いきや、聞こえて来たのは「心配しなくて大丈夫!DJ聞かせて!」という励ましの声だった。オーディエンスの熱い声援に応えるべく、Seb がDJブースに戻り Minilogue のトラックを次々とドロップ。悔しさを見せず、ファンを喜ばせようという彼らの姿勢はまさにプロフェッショナルだった。終盤にかかった 'birdsong' から "Animals" の収録曲 'In A Distance' の流れは神業に近いものを覚えた。最後1時間は Marcus が担当、さっ??きとは打って変わったセクシーなハウストラックのオンパレードに著者はフロアーを片時も離れることができなかった。そして7時半、約8時間におよぶ Seb と Marcus のサウンドジャーニーが惜しまれつつ終了。フロアは笑顔と拍手で溢れていた。近い将来この壮大な音旅行の第二章が聴けることを是非とも期待したい。

 



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