HigterFrequency パーティーレポート

ENGLISH PARTY REPORT

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NOVEN presents blue source 01 @ club axxcis, TOKYO

DATE : 26 June 2009 (Fri)
【blue room】
GUEST LIVE : Bodycode aka Portable (Spectral Sound, Sud Electronic, Perlon), Miskate (foundsound records)
PRODUCE & DJ : Kiyoshi Inoue (Noven)
RESIDENT DJ : yoshiki (Runch, op.disc)
【white room】
DJ : yone-ko Dream Sequence Set (Runch, Caberet), Lyoma (abend), ya'man (Agahrta), mitchelrock(freebase)
PHOTOGRAPHER : Naoko Maeda
TEXT : Mitoki Nakano


私が、このパーティーで得たものは、「素晴らしい音楽さえあれば、それだけでいい。」 その一言に尽きると思う。今回、このパーティーは初めて開催され、場所も比較的新しくオープンした箱で、普段はテクノのパーティーはほとんどやっていない所。新しい場所で新しいことを始めるとき、どうなるかわからないという不安を抱きながらも、どうなっていくのだろうという期待に胸を躍らせるものだ。パーティーには予測不可能な未知の可能性が詰まっている。 そんなモンスターのような計り知れないパワーが満ちている。この日、手に負えなくなる程の膨れ上がる、フロアの熱気を肌に残したまま、家路に着いたことを覚えている。

今回のゲストは、Bodycode aka Portable と Miskate (Kate Iwanowicz)。Bodycode aka Partable は南アフリカ出身、ベルリンを拠点に活躍するアーティスト。Spectral Sounds や Perlon、Sud Electronic、Yore Records などのレーベルから優れた作品をリリースし、6月には満を持して Spectral Sounds からフルアルバム "Immune" をリリースした。そんなタイムリーなタイミングで来日を迎えた。さらに、Miskate は Einmaleins や Microcosm Music、Karloff、Roman、Photo レーベルなどで先鋭的な作品を発表している女性クリエイターで、夫である Sean O'Neal (Someone Else) と foundsound というレーベルを立ち上げプロデュース活動も行っている。今回が待望の初来日、初披露となった。そんな素晴らしいアーティストをゲストに迎え、新しいパーティーの華やかな幕開けとなった。


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このクラブは大きく2フロアーに分かれており、まず会場に入ると、サブフロアでは yone-ko (Cabaret) が Dream Sequence Set を披露。今回、サブフロアには落合にある、多目的イベントスペース soup のサウンドシステムが組み込まれ、迫力のある、魅力的なサウンドになっていた。Dream Sequence という名の通り、とってもドリーミーでリリカルな雰囲気のあるセットで、野外レイヴの朝方のチルアウトタイムを想起させる。全体的にはハウシーな柔らかい音が中心となり、桃源郷を思わせるような幽玄な音から、パーカッシブな音まで、美しい中にも踊らせるような内容になっていて、そこにはないはずの空の移り変わりが目に映るようだった。

一方、メインフロアでは Kiyoshi Inoue が骨太なサウンドでフロアを盛り上げる。早めのBPMに分厚い低音のハードめなテクノでがっちりとした音を鳴らす。サブフロアとは対照的な攻撃的なテクノで攻めてくる。終盤になってくると、がつがつと踊る人たちも現れて、いい雰囲気になってきた。

そろそろ、サブフロアは ya'man (Agahrta) にバトンタッチされる。玄人好みな渋めな選曲で、自由自在にグルーブを紡いでいく。どんどん繰り出される音にまんまとはめられている自分に驚く。初めは枠の外で見ていたのに、いつのまにか枠の中へ。そんな感覚を覚えていると、いつのまにかフロアがかなり賑やかな状態になっていて、あちらこちらで叫び声が聞こえるように。

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メインフロアに戻ってみると、次はいよいよ Bodycode aka Portable が始まるようだ。ミニマルな構造の上に、トライバルなリズムが加わった、肉感的なグルーブのあるライブ。多層的なパーカッションや怪しげなボイスがアフリカンルーツならではの土着的な雰囲気を醸し出している。Portable 名義よりもっとダンスフロアライクな内容で、Bodycode 自身も前のめりな姿勢でぐいぐいと引っ張っていく。うねりのある、腰にくるドープな空間にクラウドも反応するように、激しく踊る。身体が直に感じるビートはやっぱり心地いい。この頃から、フロアは身動きができないくらいパンパンの状態になっている。フロアに渦巻く熱気がどんどんとうねりをあげて大きくなってくる。

そのまま Miskate へと交代すると、待ってましたとばかりに拍手や歓声が沸き起こる。ライブが始まるやいなや、クラウドが狂ったように踊り始める。来たことのない、馴染みのない場所で、皆初めはどこか居場所がないような気持ちになって戸惑っていた様子が嘘のようだった。「素晴らしい音楽があれば、それ だけでいいんだ」 そう思えた瞬間だった。そう思うと同時に、この瞬間まで持って行くことができたのは、出演したアーティストだけではなく、それを支える人達や、パーティーを一緒に作り上げていくクラウド達の力であって、すべてが相互作用することによって、こういう胸を熱くするような一瞬が生まれてくるんだと瞬時に理解することができた。Miskate のライブは、かなり先鋭的で独創的なものだった。サウンドコラージュ的な複雑な音作りで、グリッチでマイクロなサウンドが特徴的。淡々としているようで、さりげなく奇怪なサウンドを挟んで、心をくすぐってくる。音数は抑えながら、アブストラクトで変態的なグルーブで彼女の音の世界へどんどんと引き込まれる。先鋭的ながらも、根っこは図太い音でクラウドの足が止むことはない。「Kateー!」 という歓声が、何度も何度もフロアにこだまして、私もただただ 「すごい。やばい。」 と繰り返し思うばかりで、一時間のライブはあっという間に終わってしまった。まさに、あの一時間は 「熱狂」 という言葉が一番ふさわしく、皆が皆、ダンスすることに夢中になって、笑顔で踊り続けていた。アーティストもオーディエンスも同じ立場で、鑑賞するのではなく、体感すること。2つの間で行き来するパワーを何倍にも膨らませて、爆発させる。それがパーティーであって、やっぱりそういう空間があるから毎週毎週、クラブへと足を向けてしまう自分がいるんだろうなとしみじみと思ってしまう。

その頃、サブフロアでは Lyoma (abend) がハードミニマルな選曲で好戦的な展開のセットを繰り広げていた。修行のような畳み掛ける音の流れで、立ち向かうような姿勢でがしがしと黙々と踊っているクラウドの姿が見られた。 もう一度、メインに戻ると、今度は yoshiki (op.disc)。重くて、低くて、ダーク。淡々としたミニマルハウスやクリックテクノを独自の世界観で悪い感じに染め上げていく。その中に時々垣間見えるトリッキーな音で心をわしづかみにされる。音の形や色を追って行って、気づいたら音と戯れて、遊んでいるような感覚になっていて、音楽って楽しいなあと思わせてくれる。まだまだ踊り足りないクラウド達をがっちりとフロアにロックしていた。

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今回のパーティーの最後を務めるのは、Mitchelrock (freebase)。いつもラディカルな態度で挑む彼のDJは、本当に別の世界へ連れてってくれる。このサブフロアはすべて真っ白なホワイトルームだけど、彼が音を鳴らし始めるとたちまちそこは暗黒空間に。ロウでルーディーなグルーブをどこまでもどこまでも引き延ばしていく。壮大でスペーシーな、何か大きなものを感じる空間へとシフトしていく。音楽で感じることのできる、一種のコスモロジーみたいなものを見たような気がする。身体が昔から知っていたことを、もう一度音楽で甦らせてもらったような、そんな感覚になってしまった。 いよいよ、これでパーティーも終焉を迎え、盛況に終わった。ひとつひとつのパーティーは終わっても、「次の週末はどこ行こう?」 「次はあのパーティー!」 なんて、パーティーのグルーブは途切れることはないでしょう。「もっと、もっと」 と音楽を求める人たちがいれば。そんな欲張りなクラウドを満足させてくれる、そんなパーティーがここに新しく誕生した。そんな記念日に私は立ち会ってきたのだなと嬉しく思った。

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