HigterFrequency パーティーレポート

ENGLISH PARTY REPORT

HigterFrequency パーティーレポート

ARIA04 feat. MATHEW JONSON @ AIR, TOKYO

DATE : 10 July 2009 (Fri)
LIVE : Mathew Jonson (Wagon Repair)
DJ : DJ Sodeyama (Archipel, No:More Rec), Takuya (Riot, BLiNKBLiTZ, The Barcelona), Kikiorix (LadiesA & Gentlemen, Redbox)
VJ : M.M.M
VISUAL PRODUCTION : Chimaera Craft
PHOTOGRAPHER : Gaku Maeda
TEXT : Hiroki.K


ダンスミュージックのメッカであるヨーロッパやアメリカに負けず劣らず良質なアーティスト/レーベルが密集する事で知られるカナダより、若くしてその才能をエレクトロニックミュージックの分野で開花させ、日本でも高い人気を誇る Mathew Jonson が初夏の東京にやってきた。招致したのは DJ Sodeyama 率いる 「ARIA」 。毎回ハズレなしのアーティストをブッキングしてくるあたり、安心して遊びに行けるパーティーだな、と毎度ながら頷いてしまう。

初夏特有の蒸すような暑さの中 AIR に到着すると、今回は何かが違う、という事をかぎつけたであろう人々でフロアは満員御礼状態。回を増すごとに動員数が伸びているらしいが、今回はそれが如実にわかる。暑さに負けて買ったビールを片手に、湧き上がる歓声と人ごみを掻き分けてフロアへ。

HigterFrequency パーティーレポート
HigterFrequency パーティーレポート HigterFrequency パーティーレポート

DJ Sodeyama のプレイが今まさに絶頂を迎えんとばかりにフロア中を煽りに煽っていた。緻密に配置された野太いボトムと、歌うような上モノが組み合わさる彼特有のプレイが、人々のテンションを自在にコントロールする様は野性と知性を兼ね合わせ、見ているものすら巻き込んでしまう魅力がある。

フロア前部に目をやると、Mathew Jonson のライブセットが特設ブース内に組まれており、本人登場前にも関わらず筆者も思わずまじまじと覗き込んでしまった。近年の傾向としてソフトウェア化されたシンセサイザー、リズムマシン、サンプラーなどを1台のラップトップマシンに集約し、事前に仕込んだシーケンスをベースにライブを披露する手法をとるアーティストが多く見られるなか、古くから実機をバリバリ使ってトラックメイキングをこなしてきた彼らしく、ブース内にはまさに “ライブ” と呼ぶに相応しい機材がところ狭しとセッティングされている。近年のトレンドを汲んでいるためか、センターにはラップトップマシンが鎮座しているものの、ツマミをひねりパッドを叩くであろう機材郡を目の当たりにするとライブへの期待が高まる。

HigterFrequency パーティーレポート

DJ Sodeyama のプレイが終り一瞬の沈黙の後、アナログシンセらしき柔らかなサウンドスケープが響き渡りはじめた。待ってましたの歓声に応え笑顔で手を挙げる Mathew Jonson。そこから角の取れたハイハットとドラムを丁寧に重ねて紡ぎだされるサウンドは、最先端のテックハウス/テクノをメインコンテンツに掲げる 「ARIA」 のゲストにありながら一線を画す意外性を備えており、非常にフレッシュに感じる。こういった意外性のあるイントロをもってくるあたり、ジャズやファンク等ダンス以外のジャンルも通過してきている彼の引き出しの多さを物語っているのではなかろうか。

HigterFrequency パーティーレポート HigterFrequency パーティーレポート
HigterFrequency パーティーレポート HigterFrequency パーティーレポート
HigterFrequency パーティーレポート
HigterFrequency パーティーレポート

時間が深まるにつれ、量感に富んだベースフレーズとエッジーなキックラインを備えたトラックへシフトしていく。人々の熱気も最高潮に引っ張り上げられ、ブース前でかぶりつく様にプレイを観察する人、一心不乱に踊る人、いずれも笑顔なのが印象的だ。ふとブース上に目をやると、彼自身も心から楽しんでいる様がプレイからビシビシ伝わってくる。テックハウス/テクノというジャンルの場合、ピークから同じ曲調でパーティ終了時間まで収束していく場合が多く見られるが、彼の場合いわゆる4つ打ちの合間に、ブレイクスやファンクの要素を含んだ転調を違和感なく組み込んでくる。さらにブース裏から手元をじっくり見ていると展開作りは即興で行っているようだ。エレクトロニックミュージックの括りで考えると、非常にライブらしいライブで、見ているだけで本当に楽しい。多感な時期をロック畑で過ごしてきた筆者としては、ダンスミュージックのライブに食い足りない印象を持つ事もしばしばあるが、彼のライブにはロックのライブにも似た高揚感と、ライブハウスのほこりっぽさにも似た空気を感じ、終始飽きること無く彼がフロア上に描く世界を楽しむ事ができた。

次回、ARIA05 は盛夏を過ぎた9月11日(金)に開催とのこと。
果たしてどのような演出で我々を楽しませくれるのか。「ARIA」 の次の一手を心待ちにしたい。

HigterFrequency パーティーレポート HigterFrequency パーティーレポート
HigterFrequency パーティーレポート
HigterFrequency パーティーレポート
HigterFrequency パーティーレポート


関連記事


関連リンク