HigterFrequency パーティーレポート

ENGLISH PARTY REPORT

TRI-BUTE 777 feat PIG&DAN @ ageHa, TOKYO

奄美皆既日食音楽祭-Countdown2008-

DATE : 19th〜21st July, 2008

ARTISTS : 朝崎郁恵×ヨシダダイキチ, DJ NORI, JUZU a.k.a. MOOCHY, 高城 剛
FULLMOON MONDO, REE.K&MASA, 奄美道の島太鼓, 大笠利里前地区八月踊り, 六調・いっちゃりょん会, カサリンチュ, 吉原まりか, AMAMJAUBB, DJ KING, CORAL SOUND, KITOSHI YASUDA, SHOU-KEI & Miyazaki DJ Team, KATSUMI a.k.a. 三連勝, Sinkichi, PANAWASTA, SINN, CINN, RYO TSUTSUI, DJ AISA, BAMBOO, JIJI, SLINKY,
VJ : M.M.DELIGHT, REALROCKDESIGN
Sound : MMU 
TEXT : Ryo Tsutsui
PHOTOGRAPHER : PHOTO : Munehide Ida

月が太陽を隠してしまう皆既日食。昼が夜へと変わり、星空が一斉に現れるというこの非常に神秘的な自然現象はダンスミュージック・ファンにとってもなじみが深い。数年に一度観測されるこの皆既日食には世界中から人々が集まり、文字通り世界規模のダンスミュージックフェスティバルが開催されてきた。そして2009年7月22日には21世紀最長の皆既日食がインド、中国そして日本で観測される。なんと皆既日食がここ日本で見られるのだ!多くのクラバーの間でも話題となっている2009年の皆既日食。筆者はこのビッグイベントを控え、2006年から開催されているカウントダウンパーティへ今年初めて参加させていただいた。

TRI-BUTE 777 feat PIG&DAN @ ageHa, TOKYO
amami amami
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日本の島を体験するのが初めての筆者は前日から高鳴る期待を抑えつつ、朝早くから東京の自宅を出て羽田へ。直行便が取れなかったので鹿児島経由で奄美大島へ向いつつ、機上からの景色を楽しんでいると、晴天の穏やかな海に浮かぶ奄美大島が見えてきた。ここがこれから3日間過ごすことになる場所なのだと思うと胸が高鳴る。飛行機を降りるとまさにそこは南国、これ以上ぴったり来る言葉がないほど、南国という言葉が似合う雰囲気だ。迎えに来てくれていた友人からの、車は絶対に必要とのアドバイスを受け、自分も車を借りる。そして空港の前を通る一本道をまっすぐ進み、会場へ。会場は芝生が心地よく生え、バーや屋台に囲まれたメインフロアと、坂を下ったビーチにしつらえたサブフロア、日中はさすがに暑いが夕方以降は暑さも柔らぎそうだ。一旦ホテルへ戻り、シャワーを浴び、リラックス。その後海鮮居酒屋で地魚とこれまた地元で取れたゴーヤを使ったゴーヤチャンプル、そして地元の名産、黒糖焼酎の晩御飯に舌鼓を打ちつつ店員さんの焼酎ウンチクに耳を傾ける。この店員さんもそうだが奄美の人は誰もがとても話やすい。奄美の言葉が柔らかいからなのか、人柄そのものがいいのか、おそらくその両方だろうと思いながらいよいよイベント会場へ。

TRI-BUTE 777 feat PIG&DAN @ ageHa, TOKYO
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17:00からスタートし、奄美の3ピースジャムバンドAMAMJAUBBやレゲエのCORAL SOUND、奄美道の島太鼓など、地元のミュージシャンによる多彩な演目からリラックスした雰囲気でスタートしたイベントは夕暮れ時の雰囲気とあいまってマイナスイオン全開な雰囲気。ビーチサイドのフロアにも足を向けてみると月明かりが映える海に向って開放的なダンスビートがプレイされていた。この海側のステージは特筆すべき雰囲気の良さで、見渡す限りの海に月明かり、さわやかな海風の中、砂浜を裸足で踊る開放感は最高に気持ちがいい。トランス寄りのテッキーなサウンドから、ダブハウス、テックハウスとサウンドも徐々に深みを増していき、気持ちよく踊った後はサウンドも徐々にチルアウトな雰囲気へと移行していった。このビーチサイドのフロアは踊らせている時間帯も気持ちよかったが、チルアウトなサウンドの中、横になって見上げる星空もまたすばらしく心地よく、あちらこちらで横になったまま、寝入っている人たちが続出。 筆者もついつい一時間ほどの快眠を楽しんだことは言うまでもない。

TRI-BUTE 777 feat PIG&DAN @ ageHa, TOKYO
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再びメインフロアに戻るとREE.Kが熱の入ったプレイを展開中。メインフロアではVJの演出もすばらしくおなじみの四角いスクリーンと共に丸いスクリーンも効果的に配置され、存在感のある演出となっていた。REE.Kが放つテックやトランスの要素が絶妙に交じり合う独特のサウンドに、トランス的なテイストを微妙に混ぜつつも下品になり過ぎないこれまた絶妙のバランス感覚で映し出されるREALROCKDESIGNの映像とのコンビネーションにどっぷりハマリつつ、地元奄美の人たちと黒糖焼酎を酌み交わし、パーティはますます熱を帯びていった。続いて登場したのはDJ NORI、日本のハウスシーンを黎明期から牽引してきた彼だけにそれまでのサウンドにあわせ、イメージよりもテックな雰囲気の楽曲から徐々にハウスよりの楽曲へと絶妙のさじ加減で場をまとめていくゆとりのあるプレイを展開し、貫禄を感じさせた。筆者もほろ酔いのまま朝の海風を感じながら漂うように音楽を楽しみ心地よい疲労感の中、一日目は終了した。

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二日目は早々に目を覚まし、プールで遊び、散歩を楽しみ、会場へと続く一本道をまっすぐ走り、鶏飯を食べに。鶏飯は奄美大島の名物的な料理で、ご飯にほぐした鶏の身と錦糸卵、漬物、のり、かんきつ類の粉末などをのせて、鶏を煮込んだ濃厚な出汁をお茶づけのようにしてかけて食べる郷土料理。筆者は奄美大島滞在中一日に一回はこの鶏飯を口にしたぐらいおいしい一品だ。奄美大島では是非試してみて欲しい。その後せっかくの南の島だからということでシュノーケリングにも初挑戦。澄んだ海は沖まで出なくてもそこら中に魚が泳いでいて、普段味わうことのできない別世界を味わうことができる。筆者も生まれて初めて魚と並んでの泳ぎを体験。なんともいえない楽しさを味わうことができた。昼間南の島を楽しみ夕方からパーティを楽しむ。ダンスミュージック好きにはたまらない生活である。

すっかり満足しつつ夕暮れ時に会場へと足を運ぶと前日同様地元ミュージシャンを中心とした構成でいい感じにレイドバックした雰囲気の中、奄美大島を代表する島唄者、朝崎郁恵とシタール奏者ヨシダダイキチが登場。朝崎郁恵が歌い上げる島唄は味わい深く、奄美大島で島出身の島唄の第一人者の生唄にゆったり耳を傾けるという贅沢を存分に楽しんだ。その後、大笠利里前地区八月踊り保存会による八月踊りと、いっちゃりょん会による六調の時帯へ。八月踊りと六調は東京でいう、盆踊りのように皆が参加できる踊りで、会場中が参加してのお祭りさわぎへ。奄美大島では地元産の焼酎を囲んで三日三晩踊り明かすという風習があるそうで、それに習い焼酎を囲んでの踊りの輪が作られ、地元の人々と各地から今回のイベントへ参加した人たちが入り乱れて、踊り、焼酎、焼酎、踊りと、これを三日三晩続けたら一体どうなってしまうんだろう、、、と思うほどの盛り上がりを見せた。

amami amami
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TRI-BUTE 777 feat PIG&DAN @ ageHa, TOKYO

その盛り上がった空気を引き継いでブースに立ったのがJUZU aka MOOCHY。いきなりGalaxy 2 Galaxy永遠の大名曲 Hi-Tech Jazzをドロップして会場を一気に引き寄せ、そこから徐々に自分の世界へとフロアを引き込んでいく男気溢れるプレイで 終始会場をがっちりとつかみ、ハイライトを演出。懐の深さを見せつけてくれた。ひとしきり盛り上がった後一旦ビーチサイドへ足を運んでみると、こちらは一日目にはなかったミラーボールが棒でつるされ、そこにライトが当てられるという演出がされていて、初日とはまた一味違う雰囲気。サウンドはゆったりしたチルアウトサウンドで、微妙に揺れるミラーボールの光の中寝そべっていたり、数人で固まって話をしていたり、思い思いに過ごしながら音楽に耳を傾けていて、筆者もビーチに腰をかけて何も考えずに音楽を聴きながらリラックスしたひと時を楽しんだ。その後メインフロアへ戻ってみるとSpace GatheringやHYPNODISKの活動でも知られるMASAがドライブ感のあるサウンドで勢いがついたフロアをきっちりと引っ張っている最中だった。トランス的な要素もありながら簡単にトランスとはくくれない独特のサウンドが野外の会場ですごく映えていて、フロアはすっかり安定飛行といった雰囲気に、筆者も安定したビートに気持ちよく踊らされながら、友人や奄美で仲良くなった地元の人たちと焼酎を酌み交わし、すっかり佳境を迎えたパーティのグルーブを楽しんだ。そしてそれを引き継いで登場したのが大阪を拠点に活躍するFULLMOON MONDO。のっけから勢いのあるトランスサウンドでぐいぐいフロアを引っ張り、勢いはいよいよ頂点へ。筆者も勢いに引っ張られるように踊っていたが、焼酎の酔いもだいぶ回ってきたので再度ビーチサイドで休憩へ。ビーチサイドに戻ると先ほどのライトは消され、月明かりとろうそくの炎のみのフロアにノンビートのチルアウトサウンドが鳴り響き、メインフロアとは対照的な雰囲気。筆者も砂浜に横になって、風を感じてリラックスしているうちに、なんと2日続けての爆睡。ぱっと気づいたときには回りがだいぶ明るくなって朝の雰囲気になっていて、しまったという思いと、「まあ、気持ちよかったからしょうがない」というすっかりゆるくなった自分の感情も感じつつ最後に一踊りしようとメインフロアに戻ると、沖縄を拠点に活動しているshinkichiがテックハウスやディープハウスを軸とした朝のフロアにぴったりの気持ちのいいサウンドをプレイ。薄く日の光がさすフロアに鳴り響く温かめのサウンドの中、気持ちよさそうに踊るお客さんの姿がとても開放的で印象深く、筆者もパーティをたっぷり満喫した充実感を感じながら会場を後にした。

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TRI-BUTE 777 feat PIG&DAN @ ageHa, TOKYO
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今回初めて参加させていただいて、イベントはもちろん、奄美大島の自然のすばらしさ、人の温かさ、地物の食材を使った料理のおいしさなど、これまで知らなかった奄美大島の魅力を存分に味わうことができた。またその奄美大島でただ単にワンオフパーティをやるだけではなく、2009年の本番に向けて、皆既日食というのは世界的なビッグイベントで、大きな混乱が予想されるということなどを地元の人々にきちんと説明し、理解を求めつつ、地元の人々と協力して2006年からプレパーティを行ないながら2009年の受け入れ体制を整えようとする主催者の姿勢や努力はすばらしいと感じた。いよいよ来年は本番、特に日本に住む僕らにとっては特別なイベントとなることは必至だし、是非参加してほしい。皆既日食に感動し、フェスティバルを満喫し、人それぞれに何か特別な体験や出会いが待っていることだろう。とにかくすばらしい場所なので、地元の人々や自然に敬意を払いつつ、自分なりの出会いや楽しみを体験して欲しい思う。

 

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