HigterFrequency パーティーレポート

ENGLISH PARTY REPORT

TRIANGLE presents D-NOX & BECKERS @ TRIANGLE, OSAKA

DATE : 27 February, 2010 (Sat)
LIVE : D-NOX & BECKERS (SPROUT)
DJS : D-NOX (SPROUT, VAPOUR, ELECTRIBE), Beckers (SPROUT, ELECTRIBE, BAROQUE),
Yasuhisa (Tetralogistics)
VJ : visualogic (TC Recordings)

Photo by High Chee's (SAI)
Photo by Terumi Tsuji





ドイツ・プログレッシブシーンの2大スター、D-Nox と Beckers。個々にDJ/プロデューサーとして活動をしていた彼らが 「D-Nox&Beckers」 としてタグを組み、'07年にデビューアルバム "Left Behind" をリリースした。その後は日本の Ground Beat, S.O.S を筆頭に、世界中のフェスティバルやクラブからのオファーが殺到、今ではプログレッシブファンのみならず、テクノファンをも唸らす人気っぷりだ。年に2、3回は来日するほどの親日家の彼らだが、意外なことに大阪には Beckers が来たことがあるだけで、D-Nox そして D-Nox&Beckers としての来阪は今回が初めて。しかもライブだけではなく、D-Nox そして Beckers それぞれのDJセットが楽しめるとのことで、生憎の悪天候にも関わらず多くのファンが TRIANGLE へ駆けつけた。

12時過ぎにフロアへ着くと、ちょうど Beckers の DJセットがスタート。D-Nox&Beckers 名義のセットが増えてからは、ソロのプレイも多少テクノ寄りにはなってきているが、やはり根底にあるのは生粋のトランス魂。バリバリのサイケデリックでもなく、憂いを帯びたプログレッシブでもない、子宮に響く低音トランス。腰に来るベースとテクノの上音が絶妙なバランスだ。早くもフロアは汗だくの踊り子で溢れており、この日を待ちわびていたオーディエンスの気合いが十分すぎるほど伝わってくる。このペースで行くと最後まで体力が持たないと判断し、一旦5階ルーフトップフロアへ移動。


5階では TRIANGLE の看板テクノパーティーTetralogistics のレジデント、YASUHISA がディープなハウスをスピン中。通常雨天時は、隣接する VIP ルーム内に DJ ブースを組むことが多いのだが、この日は大きなビニールシートで天井部分をカバーし、雨でもオープンエアで音を楽しめるよう工夫がされていた。雨音の中聴くハウスはなかなか気持ちよく、寒さも忘れしばらく新鮮な空気と共に音を楽しんだ。なお、2月中旬から TRIANGLE の3階メインフロアは全面禁煙となった。大阪ではまだまだフロアが禁煙のクラブが少ないため、ノンスモーカーには嬉しいニュースだ。4階のラウンジエリアでの喫煙は可能とのことだが、今後はスモーカーの人たちは是非とも5階に足を運んで欲しい。海外ではクラブの外でタバコを吸うのが当たり前となって来ているし、それより何よりジャクジーのあるラグジュアリーな屋上にスモーカーが集まり、お酒と音を楽しむというのはとてもクールなのではないだろうか?

YASUHISA のバレアリックなセットを堪能した後は、クールダウンした体を再度暖めるためにメインフロアへ。すると D-Nox がステージに現れた。お待ちかねの D-Nox&Beckers のライブがスタートだ。Beckers のトランシーな空気から一転して、ソリッドなテクノへ。いつ聴いてもこの2人の奏でるサウンドは凛としていて気持ちがいい。"Left Behind" をリリースしたての頃は、まだトランス的な要素もあったが、最近はすっかりテクノへ方向性をシフトしたようだ。新曲と思われるトラックや、自分たちが手がけたリミックス・ナンバーなどを中心に疾走感溢れるライブを展開し、少しずつフロアのボルテージを上げて行く。デビューアルバムをリリースしてから約3年が経つため、同じ曲ばかりプレイするのは新鮮味がないとは思うが、D-Nox&Beckers のライブを披露するのは大阪では今回が初めてだっため、出来ればヒットトラックも何曲かプレイして欲しかったというのが正直な感想だ。実際ライブ中も「あの曲プレイしないのかな?」という声がフロアのあちこちから聴こえて来た。次回は是非ともお馴染みの名曲たちも披露して欲しい。


ライブ終了後は、D-Nox のDJタイム開始。アゲ番長にしては珍しく、しばらく大人しいクールなテクノが続く。カッコいいんだけど、D-Nox らしさがあまり感じられない…。調子でも悪いのかしら?と思っているのも束の間。お馴染みの D-Nox パフォーマンスが次々と飛び出してくる。両手を広げてオーディエンスを煽ったり、ヘッドフォンのコードに噛み付いたり、オーディエンスのオモチャを借りて遊んだり(笑)DJ中にパフォーマンスをさせたら、彼の右に出る者はいないんじゃないだろうか?と思わせるほどのはしゃぎっぷり。この憎めないキャラクターこそが、D-Nox の最大の魅力だ。個人的には最近のテクノ寄りなセットよりも、3、4年前に Labyrinth などで見せてくれていたハッピーで底抜けに明るいプログレッシブサウンドの方が好きなのだが、この屈託の無い笑顔とパフォーマンスを見ていると「まぁいっか」と思えてしまう。彼のハッピー・バイブがオーディエンスにも伝わり、気がつけばフロアが笑顔で溢れていた。この一体感こそがクラブに足を運ぶ醍醐味だ。クラブってやっぱり楽しいと再確認させてくれる、そんな貫禄のプレイだった。そして最後は Beckers が再登場、大盛況のうちに D-Nox&Beckers Night は幕を閉じた。

 


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