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international news_2010.03.31

DJ Bone がデトロイトを語る

Text by Jonty Skrufff (Skrufff.com) _ Translation by Shogo Yuzen

デトロイトのアンダーグラウンド・テクノDJである DJ Bone は、Skrufff とのインタビューで、彼の拠点とするデトロイトに世界同時不況が持たらした影響について語った。また、最近メディアにより囁かれているデトロイトの崩壊の可能性についても、彼は楽観的な意見を述べている。

「もちろんデトロイトは今、相当悲惨な状況だよ。けど、僕が覚えてる限り、デトロイトのスラムは昔からこんなもんさ。けど、議員達が理解していないのは、街は中から外に向けて改善されていかなけりゃいけないってことなんだよ。ガン患者の治療をする時に医者が患者に良い服を着せたり、ヘアメイクをしたりすることから始めないだろう?まず一番悪い部位にメスを入れて、そこから治すところから始めなきゃ。」

レーベル ・The Subject Detroit の経営者でもある彼は、90年代後半にはデトロイトでも有名なDJの一人となり、ハムトラムク地区の Motor Lounge で毎週1000人ものオーディエンスを集めていた。また、彼はデトロイトの支援者としても知られている。自伝にも 「妥協はせず、誇大広告を嫌う、自立した本物のデトロイト人」 と語っているだけあり、彼が最近ケンタッキー州のルイスビルへと引っ越したことに関しても、デトロイトの経済状況の悪化が原因では無いと語っている。

「正直な話をすれば、引っ越した理由は自分のフィアンセと一緒にいたかったからだよ。未だにデトロイトにたくさんの物件や土地を持ってるし、僕がデトロイトを拠点にしなくなったって考えてる人は間違いだね。僕はあんまり自分の家について話したりしないけど、もしみんなが僕のことを見かけなくなっても常にデトロイトにいるってことはわかっていて欲しいな。ただ遊びに行ったりするのをやめたんだよ。今自分にとって大切なのはビジネスと家族だからね。」

また、ドキュメンタリー映画監督の Michael Moore や、投資アナリストの Marc Faber といった有名コメンテーターによる 『アメリカの破産』 の可能性に対する指摘も彼は楽観視しており、

「関心は寄せているが、心配はしていないよ。アメリカ政府は実際に破産するにはプライドが高すぎるんだ。だけど、都市の中心で国民達は長い間苦しむ続けている。別にアメリカの貧困は新しいものではないよ。ただ、それが富裕層にまで影響を及ぼし始めたから、今になってやっと、政府やメディアが動き出しただけの話さ。こんな話は常に家族や友達と話しているよ。裕福な環境に育ったわけじゃないから、僕らはいつもお金の使い方には気をつけてきた。何かに投資したり、株を買ったりするような余分なお金なんてなかったからね。
アメリカは、富裕層がお金を失い始めた時にしか関心を抱かないのさ。だけど、実際にアメリカが破産するとしたら、富裕層と貧困層の階級争いが生まれるだろうね。金銭的な豊かさを基準に人間を区別している人達の間ではこの二つの層ははっきりと分かれてくると思うよ。そして、人件費の安い国を求めて、アメリカの会社は他の国へと移っていくだろうね。」

そして、Marc Faber の持論であるインターネット崩壊の可能性について尋ねると、彼はこのように語っていた。

「これだけのテクノロジーがあっても、常に固定電話とファックスを持つようにしてるよ。停電やインターネットが繋がらなくなった時のためにね。アウトドアで言うところのサバイバルとは違うけど、インナーシティー・サバイバルって感じかな?デトロイトでは今でもたまに停電がおこったりするからね。それもあって、僕らはヴァイナルの販売もきちんと行っているんだ。そうすれば、ネットが無くなった時に僕の音楽を誰もダウンロードできなくなっても、僕のレーベルが収入を失うことはないからね。もちろん、インターネットを素晴らしいツールとしては使っているけど、僕の人生の全てをネットに委ねることはないね。インターネットが無くなったら消えていくDJやレーベルは多いだろうね。だけど、僕や Subject Detroit はそんな風にはならないよ。」



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