HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Martin Schulte

東京のテクノシーンでもダントツのロング・キャリアを誇り、未だに閉鎖が惜しまれている青山の MANIAC LOVE でのレジデント活動や、そのプロダクションが世界でも高評価を得た Co-Fusion、ATOMといったDJユニットでの活動で知られる DJ WADA。昨年ソロ名義では意外にも初となるアルバム "Final Resolution" をリリースし、そのキャリアに全くあぐらをかかない革新的・実験的なサウンド・コラージュで新境地を開拓、これまでのファンに加えて新たなファン層を得、さらにベテランDJから若手DJまでをも魅了する "DJ's DJ" としての立ち位置をますます不動のものとしている。

今回は "Final Resolution" からわずか一年、先月21日にリリースされたばかりの "ONE" のリリースツアーもいよいよ佳境となるWADA氏に、改めてこれまでのキャリアやシーンに対する考え、そしてアルバム "ONE" に込められた哲学について語ってもらった。

Interview : Musicmine
Introduction : Yuki Murai (HigherFrequency)
Photos : Wataru Umehara (contrapost)

triangle

-- まず、DJ WADAさんといえば日本のクラブ・ミュージックのファンにしてみれば Co-Fusion や ATOM のWADAさん、というイメージがどうしても強いと思うのですが、昨年のアルバム "Final Resolution" を皮切りに、ここに来て近年はソロでのリリースが目立ち始めています。それは、どういった動機からなんでしょうか?

DJ WADA : 僕にとってのひとつの流れの結果として、今のソロがある感じです。Co-Fusion も ATOM も二人組ですが、今までずっとやってきて慣れているその形ではなくて、一度、自分自身の原点に帰っていろいろと見つめ直す必要があったので。

-- 今回の "ONE" は "Final Resolution" のリリースから1年という比較的短いスパンでリリースされたわけですが、そういったことができたのはなぜですか?前作のリリースの段階で、今作のイメージがすでにできていた?

DJ WADA : はい。おおまかなイメージはすでにあって "Final Resolution" から "ONE"へは自分の中では繋がっていました。

-- "ONE"というタイトルの由来は?

DJ WADA : 以前、よく読んでいたリチャード・バックの小説のタイトルからつけました。過去、未来、現在と共に自分が選んだ物、選ばなかった物、無数の多次元宇宙、それと自分の分身達。それらすべてが実はひとつ(=自分自身)であるっていうのを考えるきっかけになった本です。

Martin Schulte

-- "ONE" は、まさにWADAさんのDJプレイにも通じるであろう「繊細さの中に突如現れる狂気」という雰囲気を持ったアルバムだと思います。切り刻まれた女性のボイスのサンプル使いが印象的な曲や、トライバルな雰囲気の曲もあったりしますが、制作において主に使用した機材は何ですか?また、制作中に最も重要視したことはなんでしょうか?

DJ WADA : 機材は Ableton Live と ProTools です。制作中、気にしていた事は、自分の思う並行宇宙のいろいろなイメージと、コラボでのメンバーから受けるフィードバックの降り幅とイメージのバランスです。

-- コラボ・トラックに関して、Shane Berry、A-inc、Heigo Tani と多彩なメンバーを選んでいますが、それぞれどういった経緯でコラボレーションすることになったのでしょうか?また、それぞれどういう作り方をしていきましたか?

DJ WADA : それぞれが自分のいる場所にも近くて、でもまったく違った個性を持っている人たちなので、一緒にやったら面白いかなと思い、今回頼んでみました。作り方のプロセスとしては3人ともほぼ同じでした。あらかじめ用意した僕のパーツをもとに、3人それぞれのスタジオでいろいろ色をつけてもらった感じです。ただアキラ(A-inc)とは、完成に近いところまでメールによるファイルのやり取りでもっていきました。今回お願いした3人全員と楽しく制作できたので、感謝しています。

-- WADAさんはディスコ時代から数えて実に約30年という長い間、DJとして活動されていますが、簡単にそのキャリアの変遷を教えてください。

DJ WADA : DJとしてのスタートは六本木のディスコからでした。その後、東京でもクラブが盛り上がってくるタイミングで、プレイする場所をディスコからクラブへ移行していきました。1993年から、青山にあったマニアック・ラブのレジデントDJを12年間やって、お店のクローズ後の今はフリーでやっています。

-- クラブ・ミュージックのファンのみならず、プロのDJにもWADAさんのDJの大ファンだと公言する人が多くいますが、普段からDJをする上で一番大切に心がけていることは何ですか?

DJ WADA : その場所、そこにいるオーディエンス、その時のムードなどと、自分の感じるイメージとのバランスは気にかけています。

-- 最近の日本のクラブ・シーンの良い部分は何だと思いますか?逆に、悪いところというか、物足りなく感じているところは?

DJ WADA : 今は、あまり日本と海外の違いはないように思う。強いて言うならば、それぞれのパーティによって良かった、あまり良くなかったというのはもちろんありますが…。

-- ツアーやリリースなど、今後の活動予定を教えてください。

DJ WADA : オーストラリアの Hypnotic Room というレーベルからの企画盤 "House of Japan" に 'El Cafe' というトラックを提供しました。収録アーティストはすべて日本人。フォーマットはアナログで、11月中ぐらいにリリースされると思います。

この先のDJのスケジュールは以下。ぜひ遊びに来てください。
11/14(土) KEN ISHII 15TH ANNIVERSARY SPECIAL @ ageHa (新木場)
11/14(土) KILLING JOOKE @ (青山)
11/21(土) DJ Bar Shell (横須賀)
11/27(金) UBIK feat. Jay Haze @ UNIT (代官山)
11/28(土) ignite 〜DJ WADA 『ONE』 Release Party @ Module (渋谷)
12/05(土) MARBLE @ DOOZ (郡山)
12/12(土) DECADENT DELUXE (福岡)

-- 最後に、ファンに向けてメッセージをお願いします。

DJ WADA : アルバム "ONE"、是非聴いてみて下さい!

End of the interview

Martin Schulte

DJ WADA - "ONE" は Sublime Records より好評発売中。

■9月26日の「ignite」で録音したDJ WADAのオープニング3時間セットを ignite Podcast にて配信中。





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