HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Tim Deluxe Interview

今さら細かいバイオグラフィーなど必要ないほど、ここ日本でも高い人気と知名度を誇るイギリス人 DJ / プロデューサー Tim Deluxe。 昨年の Electraglide 2004 出演の際に来日し、所属するレーベル Underwater のレーベル・オーナー Darren Emerson と競演、2万人を熱狂させたことが記憶に新しい彼が、イタリアのファッション・ブランド DIESEL が主宰する若手アーティストの支援、発掘を目的としたワールドワイド・アンダーグラウンド・ミュージック・オーディション、DIESEL-U-MUSIC のファイナルとなる DIESEL-U-MUSIC AWARDS 2005 に出演するために再来日を果たした。

そんな Tim に HigherFrequency がビデオ・インタビューを決行 、忙しいスケジュールの合間をぬって行われたインタビューではあったものの、当日が Tim 自身の誕生日であったこともあり、トークは終始和やかなムードで進行、DIESEL-U-MUSICについてや、最近立ち上げたという自身のレーベル AT Records などについて訊くことが出来た。

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> Interview : Matt Cotterill (HigherFrequency) _ Translation & Introduction : Kei Tajima (HigherFrequency)

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HigherFrequency (以下HRFQ) : こんにちは、Tim!

Tim Deluxe : こんにちは

HRFQ : 今日はありがとうございます。

Tim : 全然いいよ。

HRFQ : それから、お誕生日おめでとうございます!今日ですよね?

Tim : ほとんどね。あともうちょっと。

HRFQ : もうプレゼントはもらいましたか?

Tim : まだ何ももらってないんだ。

HRFQ : じゃあ僕がビールでも買いましょうか?

Tim : いいね。キリンがいいな。

HRFQ : 今回で日本は何回目ですか?

Tim : これで5回目だよ。

HRFQ : Electraglide と …

Tim : Electraglide に2回出演して、Fuji Rock に出て、東京の Yellow と名古屋、大阪、札幌を回ったクラブ・ツアーをやったんだ。

HRFQ : 日本はどうですか?

Tim : そうだね。日本が好きだよ。大好きだね。すごく雰囲気がいいと思うんだ。毎回良いギグが出来るし、すごいグレートなヴァイブスを感じるんだ。今、世界中でも僕が気に入っている場所は日本と、東ヨーロッパ、ブラジルかな。それにオーストラリアもいい。まぁ、結局どんな場所でも好きなんだろうけどね。

HRFQ : 今回はDiesel-U-Music というオーディション・イベントの一環として来日されたわけですが、こういったイベント・コンセプトについてどう思われますか?

Tim : 他の洋服ブランドも、若い才能が音楽シーンに入っていけるようにもっとサポートすべきだと思うよ。ファッションと音楽ってすごく相性がいいしね。

Tim Deluxe Interview

HRFQ : Tim 、日本の読者のために、あなたが始めて Ministry Of Sound で CJ Mackintosh の代わりにDJした時の話をしてもらえませんか?

Tim : 音楽業界って、何よりも人とのコネクションが大事だと思うんだ。だからレコード・ショップで働いていたような僕には、大変だったね。CJ Mackintosh にDJのテープを渡していたんだけど,彼から当時のガールフレンドで、MOS のプロモーターだった Lynn にテープが渡っていたみたいで、Bar でDJが出来ることになったんだ。でも、それは66ヶ月くらい先の話でね。とにかく、決まったんだけど始められるのはまだまだ先だったんだ。

ある土曜日の午後、レコードショップで働いていたら Lynn から電話がかかってきたんだ。彼女が「今夜何してるの?」って言うから、「分からない…特に何も … 'Match of the Day' (イギリスのスポーツ番組)を観るくらいかな(笑)」って言ったら、「Todd Terry の前座をやらない?」って聞かれたんだ。「えっ?何??」って感じだったよ。CJ Mackintosh がダブル・ブッキングで、違うハコでプレイすることになっていたらしいんだ。もちろん即オーケーしたよ。そんな感じでプレイできることになったのさ。Ministry of Sound でね。当時の僕のヒーローと!

HRFQ : それで、うまく行ったんですね。いい夜でしたか?

Tim : うん。すごくいい感じだったよ。Todd より上手かったかもね!ハハ!!

HRFQ : ハハ …

Tim : (皮肉っぽく)ハハハ。

HRFQ : あまりに多いと思うのですが、今までどんなDJからインスピレーションを受けてきたんですか?

Tim : 当時は Todd Terry を良く聴いてたね。神様のような存在だったよ。まさに " Todd the God " って感じ。あとは、Masters at Work や Roger Sanchez 、ほとんどのアメリカ人DJは聴いてたね。Francois K. とか … Larry Levan まではさかのぼらなかったけどね、彼は全然聴かなかったな。あとは Tony Humphries や (Danny) Tenaglia…そんな感じの面々かな。でも、今一番好きなDJは Dave Clarke なんだ。だから前とは少し変わったね。パッションがあって、抜きん出ているDJなら誰でも好きだよ。

年をとると、音楽の好みも変わっていくものなのさ。子供の時は、ラジオで流れてるものなら何でも好きだったよ。地元のアイルランドでね。だから当時は The Bangles や Culture Club 、ZZ Top とか、チャートに入ってるものなら何でも聴いてたよ。

HRFQ : (皮肉っぽく)当時はいい音楽がたくさんありましたからね。

Tim : ハハ!そうだよね。いい音楽ばっかりだった。

HRFQ : 自分も良く覚えていますよ。

Tim : The Bangles の 'Walk Like an Egyptian' とかね。ハハ!でも今はもう全くそういうのは聴かなくなったよ。それに、かなり影響を受けたソウルフルな音楽 … 例えば Masters at Work とかも今ではあまり聴かなくなっちゃったなぁ。今でも大好きなんだけど、あんまり聴かないね。物事は変化するのさ。このまま行くと10年後にはフォーク・ミュージックでも聴いてるかもしれないね。まぁ、それが人生ってものだし。

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HRFQ : そうですね。最近では週単位でものすごい量の作品がリリースされていますが、新しい音楽を聴くのに通常どのくらいの時間を費やされているのですか?

Tim : 結構な時間を使ってると思うよ。たまに良い音楽も送られてくるけど、正直言って、最近いつもベストだと思うレコードは送られてくるものじゃなくて、自分で買ったものだね。それって、他の多くのDJにも同じだと思うよ。さっきもある人と話をしてたんだけど、今ベストだと思える音楽ってほとんどヨーロッパから出てきてるんだよね。特にドイツから。ドイツ人はハウス・ミュージックを救ったと思うんだ。すごいよね。

僕もベルギーの R & S やドイツの Kraftwerk を聴いてたような時代があって、次にアメリカがダンス・ミュージックの中心になって、今はドイツが最もホットな場所になっている。本当に素晴らしい作品をリリースしてると思うよ。Tiefschwarz に Steve Bug、Alter Ego 、Booka Shade や DJ T のいるレーベル Get Physical も好きだし … DJ T の 'Rising' なんて素晴らしいトラックだよね。でもこういうレコードはわざわざレコード・ショップに行かなくちゃ手に入らない。それはどのDJにとっても同じだし、すごくいいことだと思うんだ。シーンの性質がアンダー・グラウンドだった初期のハウス・シーンに戻ったような気がするんだよね。セールス目的のレコードではなくて、健康的なヴァイブとエナジーがシーンに充満してる。だからこれからシーンがいい方向に向かっていくといいと思ってるんだ。

HRFQ : レコードはレコード・ショップで買うことが多いですか?それともオンライン・ショップが多いですか?

Tim : 両方だね。ダウンロードするのが好きだから、オンライン・ショッピングもたくさんするよ。でも、土曜日の午後にレコード・ショップに出かけて、「このレコード、ヤバいぞ」なんて言いながらショッピングして、家に帰って聴いてみるに勝ることはないよね。それが全てなのに、こういうことって最近シーンから消えてしまっていっていると思うんだ。イギリスでは特にね。それは、シーンにたくさんのお金が絡んでるからさ。分かるでしょ?

最近、人々が音楽をつくるのは、どこかのレーベルと契約を結びたいから。イギリスでは、音を通して何かを伝えようとしたり、本物のアーティストになろうと思って音楽をつくる人が全くいなくなってしまった。みんな、「とりあえずヒットしそうなクラブ・チューンをつくれば、2千万くらい手に入るだろう」とか、そんなことしか考えてないのさ。

そりゃ、確かにアーティストにとってお金が入ることはいいことだと思うよ。ただ、長いスパンで、シーンの寿命のことを考えれば、やっぱり良くないよね。今のシーンはそういうことが長く続いてきた結果、本末転倒になってしまったって感じだし、だから原点に戻らなくてはいけないのさ。

HRFQ : イビザでも頻繁にDJをなさっていますが、今シーズンもプレイされますよね?

Tim : 9月に何回かプレイすることになってるよ。

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HRFQ : イビザはあなたにとってどんな場所ですか?これからのイビザ・シーンはどのような方向に向かっていくと思われますか?

Tim : 最近あまりイビザには関心がないんだ。厳しいようだけど正直に言うと、確かにイビザでは楽しい時間を過ごしたけど、今年はそういう見方でイビザを楽しむことは出来なさそうだな。イビザはいろんなことを現実的に考え直す必要があると思う。イビザの人々はまだ彼らがシーンのトップにいると思ってるんだ。ドリンクの値段はバカ高いし、クラブのエントランスもバカ高い。しかもクラブのサービスは最悪。しっかりと足元を見て考え直さないと、そのうちにシーンが乾ききってしまうよ。

今年イビザに行くのは今までに一度もプレイしたことがない Space でのギグと、Darren (Emerson) とプレイする Pacha のギグと、 Amnesia でのギグがあるから。それだけなんだ。プレイするのはたった3つのギグ。去年は9回、おととしは7回か8回プレイしたからすごくカットしたことになるよね。ブラジルや日本でプレイすると、ものすごいエネルギーや愛、ヴァイブを感じるんだ。イビザよりそういう場所の方が僕には合ってるような気がするよ。もちろん僕とは違う考えを持ったDJもたくさんいるだろうけど、それが僕の個人的な意見かな。

HRFQ : 現在進められているプロジェクトや、レーベル AT Records についてお話していただけますか?

Tim : そうなんだ。最近自分のレーベルをスタートしてね。レーベルのファースト・リリースは既に出ているんだけど、その次のリリースがすぐやって来て、その後にアルバムを出す予定なんだ。今ちょうどアルバムをレコーディングしてるところでね。今回のアルバムにはちょっとバンドっぽい音が入ってるから、今後どうやってまとめていくかまだ分からないんだけど、とにかくやりたいようにやるって感じかな。今はまずアルバムを完成させて、来年にはリリース出来るようにしないとね。とりあえず作品をリリースして、その後どうなるか見てみるって感じかな。

HRFQ : 今日はどのようなセットをプレイされる予定ですか?

Tim : どうだろう … わからないな。新しいレコードもたくさん持ってきたし、古いレコードやクラシックスも何枚か持ってきたよ。でもまずクラウドの状態を見てから考えたいね。今日はロング・セットだし、初めから「よしっ、こうしよう」って考える必要はないと思うんだ。まず、ステージに立ってみてから考える余裕は充分にあると思うし。それに、BT がどんな状態でセットを終わらせるかも見てみないと。もしかしたら彼が 250 bpm でセットを終わらせるかもしれないからね。

HRFQ : 分かりました。最後に日本のファンにメッセージをいただけますでしょうか?

Tim : あぁ〜!?(怒った表情で)というのはジョーク(笑)。 いつもサポートしてくれてありがとう。おかげでまた戻って来れました。今日は僕の誕生日だから、いい夜になるといいな。もし今回 ageHa に来れなかった人も次回はショーを観に来てくれると嬉しいよ。常に新しい音楽を聴く耳を忘れないように … って感じかな。

HRFQ : 有難うございました!お話できて嬉しかったです。今後もご活躍に期待しています!

Tim : ありがとう。グット・ラック!

End of the interview

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