HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Swayzak Interview

ロンドンを拠点に活動するJames TaylorとDavid "Broon" Brownによるミニマル・ハウス系ユニットSwayzak。90年代の中期から活動する彼らは、ハウス・テクノと言ったジャンル的なボーダーラインを、パスポートも持たずに自由に行き来する事を許された、数少ないアーティストの一つとしてその名前を知られている。1998年にリリースした "Snowboarding In Argentina"、そして2000年にリリースした"Himawari"と時を追うごとにその自由なベクトルを進化させ、続く2002年にリリースした"Dirty Dancing"では、女性ボーカリスト:クレア デートリッヒの不思議な響き持つ歌声をフィーチャーするなど、ますますその感性の幅を押し広げてきた。

今年の8月末には待望のニューアルバム" Loops From The Bergerie"を引っさげて、Metamorphoseの!K7ステージへ出演するため再来日。知性と感性が融合したステージングで多くのファンを魅了してくれたばかりである。そんな彼らにHigherFrequencyがインタビューを実施。今回のアルバムのコンセプトなどについて話を聞いた。

> Interview : Laura Brown (Arctokyo) / Translation & Introduction : H.Nakamura (HigherFrequency)

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HigherFrequency (HRFQ) : 今回の来日では、メタモルフォーゼの!K7ステージに出演する予定ですよね。どんな気分ですか?

Swayzak : とても楽しみにしているよ。

HRFQ : !K7レーベルと付き合うようになったきっかけは?

Swayzak : ベルリンの!K7で働いていた知り合いが、僕らの音楽にスゴク興味を持ってくれて、「絶対に!K7と一緒にやるべきだ」ってずっと言い続けていたんだ。で、彼らに音を送ったら気に入ってくれて、それで契約をする事になったというわけ。そいつは今ではSonar Kollektivで働いているんだけど、当時は僕らの熱烈なファンだったんだ。

HRFQ : あなた達のライブセットのセットアップですが、確か以前Traktorを使われたことがありますよね。今はどんなニューテクノロジーを使っているのですか?

Swayzak : 今はAbletonのLiveとAKA MPC-2000、それにRichard Davisというヴォーカリスト、Mackieのミキサー、アウトボードのエフェクターなんかを使っているかな。出来る限りベーシックなセットアップにしているんだけど、ライブに関しては以前よりずっと組み立てがしっかりするようになったよ。

HRFQ : Brunはロンドンに住んでいて、Jaemsは南仏に住んでいますよね。いつもどうやってコラボレートしているんですか?インターネット経由でファイルを送り合ったりしているんですか?

Swayzak : (Brun) いや、僕がフランスへ出かけていって、そこに1ヶ月くらい滞在してアルバムの楽曲を書いたんだ。で、その後ロンドンへ戻って、最終的な作業やプロデュースワークを行ったのさ。あまりファイルを行ったり来たりさせるのは好きじゃないし、ラフなアイデアを交換するには良いんだろうけど、曲を書く時には決して良いやり方じゃないからね。

HRFQ : 一番たくさんプレイしている場所はどこですか?あと、どこの反応が一番良かったですか?

Swayzak : 多分ドイツだろうね。あと、今回のアルバムに関しては、フランスの反応が良かったかな。実際にレコードもたくさん売れたみたいだし、ライブもしょっちゅうやっているし。

HRFQ : 今回のアルバムのタイトル"Loops From the Bergerie"は、セルジュ・ゲンスブールの映画"Les Loups la Bergerier"にちなんで付けられたそうですね。そのタイトルにしたのは、やはり60年代のサントラから多くの影響を受けたからですか?

Swayzak : いや、単純にレコーディングを行った場所がBergerieと呼ばれているところだったからさ。で、インターネットで検索したら、この映画のタイトルが引っかかって。なかなか良い関連付けだなと思ったから、このタイトルにする事にしたんだ。あと、ちょっとした言葉遊びもあったかな。Bergerieにサンプルとドラムループを持っていって、そこでアルバムを作って戻ってきた…って感じでね。それにセルジュからの影響も少しあったし。でも、なかなか入手するのが難しくて、実際にこの映画を見たことはないんだ。誰か持っていたらコピーを送って欲しいな (笑)。

HRFQ : アルバムには生楽器がいくつかフィーチャーされていますが、それをやる事でアルバムのサウンドにどのような新しい要素がもたらされましたか?

Swayzak : たくさんの面白い音楽的才能をもたらしてくれたよ。それに前よりもずっと色んな実験をする事も出来たしね。今回のレコーディングでは、生のドラム、パーカッション、ベース、ギター、ボーカル、それにキーボードやシンセなんかをフィーチャーしたんだ。その分、サンプルを使うケースは随分少なかったから、とても面白かったね。生楽器が入ったことで、もっと成熟した感覚をアルバムに加える事が出来たんじゃないかな。まぁ、それもそのはず。僕らはみんな肉体的にも成熟しているんだからね(笑)。

HRFQ : 音楽制作はどんな感じでスタートするのですか?例えば、今回のアルバムの制作には何かコンセプトを持って望んだりしましたか?

Swayzak : 今回のアルバムでは、僕もJamesもKennyもたくさんのループを用意していたんだ。で、それを全部つなぎ合わせて行ったって感じ。あと、一緒に仕事をしたい思う人のリストも作って、ここに居るRichard "Paul" Davisも含めて何人かのミュージシャンに歌ったり演奏したりしてもらったんだ。でもコンセプトという面では、それほど大したものはなくて、単に「ロンドンを飛び出して、フランスの田舎でいい時間を過ごす」って感じのものだったかな。最後はロンドンに戻ってたくさんの作業を行ったけど、殆どの表現的な部分はフランスで仕上げられたわけだし、そのコンセプト自体はうまくワークしたと思うよ。ロンドンではこういった感じのことが出来るような時間がなかなかないし、実際にスタジオ代も馬鹿にならないからね。

HRFQ : HRFQ : ボーカル録りは全部フランスで?

Swayzak : うん、ボーカルは全部フランスでレコーディングしたんだ。みんなに来てもらってね。Paul、ドラマーのFrancesco Brini、それにClaire Dietrict、Matilde Mallan、Carl Finlow…。あと、評論家のGeza Schonやエグゼクティブ・プロデューサーのRoger 23もね。

HRFQ : これからの予定について教えてもらって良いですか?一番プライオリティを置いているプロジェクトは何ですか?

Swayzak : 金を払ってもらう事かな(笑)。アルバムのプロモーション・ツアーをちょっとやって、出来ればヨーロッパが冬になった頃には南米でツアーしていたいね。あと、オーストラリアも。今後4〜5ヶ月の予定はそんな感じかな。で、その後ツアーから戻って、静養しながら次のアルバムのことを考え始める予定。願わくば、早くそうしたいね。

HRFQ : 7月にはイギリスでi-tuneストアが始まりましたが、一方で同じ頃に、3MVディストリビューションの倒産によって、イギリスの2つの主要レーベル、Adam FreelandのMarine ParadeとReactも倒産してしまいましたよね。この二つの出来事は、何か関連している部分があると思いますか?

Swayzak : ある意味でi-tuneの登場は良いことだと思うよ。興味をなくしてしまった人達に、新たな興味を与えたわけだからね。CDのクオリティって本当に落ちてしまったでしょ?今アルバムを買っても、本当に良い曲はその中のせいぜい2曲くらいだしからね。その点、i-tuneでは、アルバムを全部買う必要は無い。勿論、僕らやRichard Davisも、クオリティの高いアルバムを作ろうと努力はしているけど、多くの人はそんな事は余り気にしちゃいなくて、ただヒット曲が欲しいと思っているはずだからね。

HRFQ : 最近、面白いなと思った新しいレーベルは何かありますか?

Swayzak : ベルギーのEskimo Recordsが面白いね。あと、Tigersushiもスゴク良いし、80年代のイタロ・ディスコなんかも結構聞いている。それから、ベルリンのGet Physical。それ以外にもいいレーベルがどんどん出てきていると思うよ。でも、レコードレーベルとして一貫性を持つって言うのは、なかなか大変な事なんじゃないかな。

HRFQ : インスピレーションを感じさせるようなアーティストは?

Swayzak : うちのボーカリストのRichard Davisが来年KEO から出すアルバムは、とてもホットだと思うよ。あと、Mathew Jonson、Konrad Black、Mocky、Abe Duque、Dexter、Lopazz、Pintronix…。この辺りはみんなスゴク良いね。

HRFQ : 日本のファンに何かメッセージをお願いします。

Swayzak : 日本に来てプレイできるのはとても素晴らしい事で、すごく名誉に感じているよ。出来ればもっとたくさん来日して、みんなを楽しませることが出来るといいね。

End of the interview

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