HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Interview : Naoki Koizumi
Introduction : HigherFrequency


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triangle

-- では、DJとしてのパーティーへの意識は?

S.N : 自分がDJする時間帯によって全然変わるねんけど、たとえばアタマ、ウォームアップをやるときっていうのは、TVの前説とか劇場でも、やっぱりこう、だんだん暖めていく。俺、ウォームアップはすごく大事だと思ってる。ウォームアップがきっちりできないDJはメインのDJになれないと思う位、ウォームアップって大切やと思ってて…。 パーティーって、どの時間帯で入ってくるか判らへんやろ、お客さんって。22時オープンで22時に来ちゃった時って、人も全然いない。だから間延びしちゃうし、飽きてくるわけやんか。そういう人たちが飽きないように、どういうDJをするかっていうのが、すごく考えなきゃいけないと思う。

-- 逆に難しいですよね。人がいない時間帯って。

S.N : 難しい。だからって好きなことできるわけでもないし、自分よがりのDJなんか絶対すべきじゃないし。料理でいう前菜と一緒で、前菜がまずい店なんて、その後コース食べたくないやん(笑)。

-- そうですよね、すでにモチベーション下がってますからね。

S.N : そうそう、それで、メインはぶわぁー!やね、とにかく盛り上げないと。メインで盛り上がらなかったら、その日終わりやねん。メインの時間帯もらえたら、その位の勢いでやんなきゃね。だいたいそんな簡単じゃないよ、メインの時間貰えるのなんて…。一度、ケンイシイさんからも (時間を) いただいたとき、絶対に外したらあかん、外さないことがプロだ、って言われて、ああ、そうだなあって…。それを肝に銘じて、今までやってきました。

で、トリもそうだし… 大事じゃない時間帯なんてないのよ、DJって。やっぱ全部大事やねwトリっていうのは、やっぱり大体皆さん、遊びまくって疲れてきてる。それでも盛り上がってる人もいる中で、「始発でそろそろ帰ろうかな」 って思ってる人達もいてるわけやんか。俺ね、そいつらをどんだけキープできるかっていうのが自分の腕にかかってると思ってるの。それがDJの力量だと思う。

朝になるにつれてお客さんが帰っていくのは仕方ないこと、でもやっぱり、「ずっと聴いときたいな、もっと聴いときたいな」 って…例えば、レストランでいえば、美味しいスイーツとコーヒーが出てきて、「この店って雰囲気いいから、もう一杯コーヒー飲みたいな」 って。そのテーブルと、椅子と、音楽でもう一杯飲みたい、っていうのがすごく大事やと思うねん。

-- ありますよね。

S.N : 食べ終わっても、「ここずっと居てるからには、もう一本ボトル空けないと。居心地がいいから」って。そういうのってあんねんて、いい店って。
自分が5時過ぎ、6時に (DJセットが) 終わって、大勢の人に 「アンコール!アンコール!」 って言われたいやん。お客さんガラガラの中で、アンコールもなくって、「やっと終わったね」 ってスタッフとか言ってる状況とか嫌やん!絶対(笑)

だから俺は、お客さんが減っていくのを見たら変化球つけて、ゆるめにいって、でも心地よく踊れるような音楽をかけようかな、って心がけたりとか。お客さんが何を欲してるか見るよね。

-- 前に、テレビで島田紳助さんとか松ちゃんも、さんまさんも「お客さんがいる限りやり続ける」って言ってて。それじゃないですけども、そうやってずっと長く続くパーティーってあったらいいですよね。

S.N : あったらいいよ実際。アフターアワーズみたいにぶった切るんじゃなくて、クラブの人はしんどいからやめて、ってなるかもしれないけど(笑)、クラブの人たちも 「もうちょっと聴いておきたいな」、バーテンの人達も 「イェー!」 って、「このまま続けましょうよ、こんないいDJ!」 って言う位…っていうのがベストなんじゃないの?朝やるのは健全やん。そういうのやりたいね。スペインとか、そういうの (パーティー) 昼すぎまでやってるからね。クラブの人もスタッフもみんな楽しいから、遊んでる。

-- ちょっと先に進めますが、これまで経験した中で最も感動した、または印象的なプレイについてお聞かせください。

S.N : いっぱいあるね。18歳からDJやって、15年で今33 (歳)。1000回くらい (DJ) やってるよな…。すごく記憶に残ってるのはいっぱいあるけど、デカかったなってのは2001年の Mayday と、2002年の WIRE と、毎年の Maniac Beach かな。あとは、マレーシアの Genting Highland っていう1万2千人の野外レイヴとか、去年の北京の9千人の野外フェスとか、そういうのが残ってるよね。あれだけの人間を目の前にするってのは、理屈じゃなくて感動。逆にビビるよね。もちろんクラブでもすごく盛り上がってるし、Module の Phenomana とか、小箱でやるのもすごい好きで、この前の "LOST" だってすげえ感動したし…。でも、やっぱ規模がデカくなっていく程、そんだけのデカい人数の思惑とか、その日の機嫌とかをコントロールしてるわけやんか。それは快感やね。まさしく「快感」ていう言葉やね。

-- パワーありますもんね。増えれば増えるほど…

S.N : だってさ、普通に考えて、一万人の目の前に一人立つっていうことだけでもしんどくない?(笑)

-- 無理ですね…。

S.N : まだ俺はDJっていう行為があって、レコード見てたり、(他に) 集中するもんがあるけど、普通に一万人の目の前に立って注目されるって行動だけでも、ほんま普通考えられへんで。

-- 恐ろしいですよね。立てるかもしれませんけど、何もできないでしょうね。

S.N : いや、もう立てて15秒くらいで (笑)。逃げるし、まず (他の) 人誘うやろ、3人くらい…。「一緒にあがろうよ、あがれへん?」 って…。もしヘタなことして誰かに殺されたら、どうすんねん。しょうもないプレイして。1対1万人ですよ。

-- 考えたくないですね…。じゃあ、ちょっと話は変わりますが、制作活動について。すごく根本的な話からなんですが、影響を受けたアーティストを…。複数でも、音楽以外でも構いません。

S.N : えっと、これはもう何人もいるんだけど…。やっぱり日本人でいえば卓球さんだよね。電気グルーヴがどうだとか、卓球さんの個人がどうだとかっていうつもりはないけど、あの人が日本に作ってきたものってすごいと思う。あの人は体験してるからね。海外で自分が体感したものを持ってきてるから、説得力があるよね。

-- 裏づけがあると。

S.N : そう。Youtube とか TV で観たものをやってるんじゃなくて、肌で体感したものを持って帰ってきてる人はデカいよ。だからこそ説得力があって、広めることもできたし、そういうものに対しての感動とか、それを伝えたときの感動とか…。
それだけやん、実は。 「根付かせる」 って。企業とかと違って、そこになんの利益もないのよ。ただ自分がイギリスやドイツで体感したものをこっちにもってくるっていう、その情熱だけだからね。卓球さんには、情熱っていうのがいかにでかいかっていうのを教わった人かもしれない。もちろん音楽面も含めてね。俺は説得力のある人間をすごく尊敬するから。卓球さんは説得力あるよね、だからこそここまで根付いたんだと思うし。

-- ご自身の制作活動、音楽を作っていく上で影響を受けたのは?

S.N : やっぱ Josh Wink かな。やっぱ俺、派手なの好きだし…。高校時代にイギリスのユーロビート的なカルチャーとか体験してきたから。当時、自分が好きだったのはアシッド・ハウスがどうとか関係なく、Josh Winkの 'Higher state of Consciousness' が出た時ってのはびっくりしたね。高校3年かそれくらいやったのかな…もうびっくりした。だって、イギリスのチャートに入ってんねんで、あれが。あんな…インストやん?いわゆる。Underworld の 'Rez' も好きだったけど、 'Higher state of Consciousness' のほうが早く知ったから、度肝抜かれたよね。あとやっぱ、Prodigy の 'Out of Space' って曲。そっからそういうのが好きになって。Josh Wink はそっからずーっと好きだね。あの人ってテクノでもあり、テックハウスでもあり、アシッドでもありっていう…なんかすごく幅広い感じで。

俺がイギリスに居てたときは、John Digweed とか Paul Oakenfold が全然まだプログレッシブな感じじゃなくて、ハウスとかやってた時代のDJがすごく好きで…だから、そういう幅広いDJの人ってやっぱ面白いよね。そういう意味ではUKのDJの影響を受けてるかもしれない。

-- 他には誰かいますか?

S.N : Laurent Garnier もDJですごい好きだし…。テクノ以外だったら、甲本ヒロト。ブルーハーツの。俺、あの人日本人で一番かっこいいと思う。生き様というか。パンクの部分もあるし、自由奔放なとこ…。自分とは全然タイプが違うし、あの人の影響かどうかわかんないけど、ロックをつきぬける、ロック、パンクしか好きじゃねえ、みたいな…筋だよね。筋通ってる人間は大体好きかも。生き様だね。自分を貫いてる、芯がはっきり見えてる人ってかっこいいよね。

-- なるほど。
では次なんですが、自身のレーベル PLUS RECORDS に関して…。これまで多くのトラックをリリースされていますが、リリースするポイントとして、どのような点に注意していますか?楽曲に対して条件などありますか?

S.N : 今は 「お、いいな」 って普通に思ったら出す。で、基本、アジア人を出したいなと思ってる。それは俺の役割であるし、俺ができることだし、俺しか出来ないことかもしれない。だから、ジャケットとかタイトルも決めてもらうし、俺はその人たちの役に立てればいいかなって思ってるだけで。プロデュースしてるつもりはなくて…それはいいのかどうかわからないけど、でも、俺、何ていうのかな…人にそういうふうにやるのが好きだし、そういうことやりたいのは 「みんなもこう出来んねんで」 ってことを言いたいのかもしれない。これで勉強してくれたらいいなって。

アジアって、レーベルの数にしても、まだヨーロッパとかに比べてすごく規模が小さいから、だからこういうことを俺がポンポンやっていって、みんなもやり始めて、「じゃあ出してよ」 「リミックスしてよ」 って、そういうのをみんな、みんながやり合ったらおもろいんちゃうかなって、それがきっかけ。そういう風に思ってもらうきっかけになってるだけちゃうかな?

Plus は、今年からは音的にもまとめていきたいなと思うけど、レーベルなんていくらやってもいつか潰れるし…。でも残っていけるのって、楽しくやれることやと思うから。で、数年経てばそれがカラーも出るし。今からちまちまカラーつけてやるよりも、今はアジアってダンスミュージックにおいてはまだまだ発展途上なんだから、みんなで仲良く楽しく、大きく大きく広めていくことがまずは大事なんじゃないかなって。アジアで固まって。それでも、ヨーロッパ人も色々送ってくるけどね。アルゼンチンとか南米からも、世界中から送られてくるけど…。ヨーロッパ人のリリースに対しては基本、全然思い入れがなくて(笑) 「そんなに出したいなら出したるわ」 みたいな感じだけど、アジア人に対しては 「俺こういう事やってるから、こういうことやりなよ」 ってきっかけになってる意味が大きいかな。

-- 最近ではデジタルでアジア人アーティストのコンピレーションをリリースされる予定だとか…。その辺りも含め、最近のリリース/今年予定しているリリース/またプッシュしたいアーティストなどをお聞かせください。

S.N : プッシュしたいアーティストは山ほどいるわ。Plus から出してるアーティストは皆プッシュしたい。(曲は) めっちゃ送られてくるから、どれも大切だし…。ただ、アジアン・コンピレーションはすごい意味があると思ってる。俺は、日本人はアジアのリーダーだと思ってるし…あつかましくも。引っ張っていける人が引っ張っていけばいいと思う。それで中国がアジアのリーダーになったら、中国の人が引っ張っていけばいい。今は東京だし、日本だから、俺はそういう風にアジア人をまとめて、みんなが仲良くなれる環境を - 冒頭にも話したけど、アジアはアジアでまとまったほうが面白いもん、絶対に。

-- その 「まとめる」 っていうところで、最近では日本人オンリーの、インディー系ダンスレーベルをまとめたサイトを世界に発信するプロジェクトを、もう実際に行っているんですよね?

S.N : いろんなサイトがあるけど、俺は日本のサイトって日本人が二番煎じだなって思うところがあるのよ。そういう意味でも、日本人がメインとなる、もちろん対外国人相手だから英語で、 「日本人ってこういうカルチャーがあるんだぜ」 っていうのを見せたいなと思って。

日本って、すごいアーティスト、本当かっこいいアーティストとかすごく居てんねんけど、全然海外では評価されない、評価されないというよりも、(逆に) 海外では知られてるけど日本では知られてなかったり、日本では知られてるけど海外では知られてなかったりって…。要はプロモーション下手っていうか。日本人の性格上、謙虚なところもあってそういう事をしないんだろうけど、そうやっててもいいのかなっていう疑問もあるし、世界に出たいなって思ってもやり方がわからない人もいるだろうし、広告下手なのかなと思って。そういう意味で、海外に出すのが一番簡単なのってやっぱりインターネットだから。

俺、日本って面白いなって思う。日本人だから日本のアイデンティティすごく持ってるし、日本人として世界で頑張っていきたいと思うし。だって、日本って上はヨーロッパとかアメリカしかないんだから。だから、もっと世界でもガンガンいけるはずなんだけど、行き方がわからないとか。日本人のアイデンティティとして世界と普通に肩を並べたいって。それはサッカーでも一緒だし、どんな企業でも一緒だと思うねんけど…。肩を並べたいよね、同じ人間なんだから。 そういう意味で、海外に向けた日本人のレーベルとか、いろんなアーティストをこっちが発信できるような英語のサイトを作りたいなって。

-- 内容は決まってるんですか?

S.N : ポッドキャストやったり、レーベル紹介だったり、日本のカルチャーの面白い部分っていうのを見せていきたいなって。

-- 最近は日本人アーティストがアナログ・デジタル含め、海外からリリースする機会も増えてますが、今の日本と海外のシーンの差について、また日本人アーティストとしての今後の姿勢をお聞かせください。

S.N : さっきも言ったけど、やっぱりプロモーション下手なんだよね。それだけに尽きると思う。それはもちろんコミュニケーション能力でもあんねんけど、外国人に対して引いてるのか…もちろん語学で、喋れないからどう接したらいいのかわからないかもだし。 この前DJ友達と飲んでて色々話しててんけど、なんで日本人ってこんなに外国人食わすのに必死なのかなって。毎週外国人呼んで、外国人がステータスになっちゃってて、で、外国人にすごくお金を渡して、外国人にすごくいいホテル…自分達も泊まったことないようなホテルに泊まらせて。本来だったら、自分達のみで売り上げあげられたらさ、自分達もそのホテル泊まれるわけやん (笑)。自分たちも、ビジネスクラスで海外行けるわけやんか、そんだけ金払うんだったらね…。

わかんないよ?高いお金払って来る人達っていうのは、DJが凄くよい人もいるからさ。でも俺、日本人も全然劣ってないと思うし…たださっきは、ミニマルがあんまり似合ってないって言っただけで。あとはやっぱりアティチュードだね。アイデンティティ・アティチュードっていうのかな…。俺、「日本人なめんなよ!」 っていう気持ちですごくやってんねんで、世界で。お前らは背高くて男前で、スタイルもいいし、ちょっと色づいとるけど (笑)、俺ら、背低くてサルみたいな顔してて、手足短くて…でも、はっきり言って負けへんで、って気持ちでやってるから (笑)。全然ひるむことないし、みんな自信持ってやればいい。トラックだってかっこいいし。

たまに黒人のめっちゃデカい、マッチョな奴から 「お前のファンなんだよ」 って言われるし(笑)、白人もそうだし、俺みたいな、ちっちゃい33のおっさんが…(笑)。でもそれってアイデンティティやん、自分の。 自分のスタイルでもあるし。そういうことっていうのはやっぱり出していかないと。いつまでも年上に気を使うとか…もちろん、尊敬とか礼儀ってのは絶対必要やけど、いつまでも気遣って、年上の前じゃこれはできないな、ビッグマウスになっちゃいけないな、とか…年功序列的な文化がデカいから、そうしてしまうのもあんねんけど、でも俺は、海外でリリースしてる人達ってすごいと思うし、海外でDJする人達ってすごいと思うし。そういう自信を持った人達が固まれば、もっと新しいパワーも生まれるだろうしさ。 「日本人ってすごいんだぜ」 っていうのをもっと知ったほうがいい。

巷の話によると、「日本人は日本人を全然支えない」 みたい。俺もそう感じるところもあるねんけど。レコードとかでも、日本人の名前で出したら売れないけど、名前を伏せてたら売れる…みたいな、すごく恐ろしい現象もあるらしくて。バブルのとき、戦後復興のときもそうやねんけど、まとまるパワー、まとまった時のパワーってすごいデカいと思う。で、みんなで手つなげって言ってるわけじゃなくて、同じ目標、志を持った人間がその国にいるっていうさ、その動きってやっぱすごいのよ。中国って何がすごいかっていうと、中国に居てる人たちも頑張ってるねんけど、文化大革命の時に世界中に中国人が逃げたわけやんか。だから、どの国に行っても中国人って居てるわけ。今、中国がすごい国になって、文化大革命を体験した人たちの子供とかが、アメリカの大学、イギリスの大学、ドイツの大学…いろんな大学に行ったような人達が中国に戻ってんねん。そして、中国って国を変えていこうって。すごいパワーやん。だから中国ってすごいのよ。いろんなカルチャーが混ざり合いはじめてるわけよ。だから面白い。そういう意味でも、今、日本に何が必要なのかと言うと… 90年頃に、卓球さんとか、ケンイシイさんとか、第一世代で頑張ってる人達がその当時体験したものをこっちに持って帰ってきて、そして広めていく、新しいことを根付かせていく、って…それじゃないかな?今、またその時期、新たな再生の時代やと思ってる。

-- 内容は違えど一緒ですよね。

S.N : いいものは絶対自国のために持って返ってくるべきだし、それを広めるっていうのも海外に行けた人の務めだしさ。特別にピックアップされて行けたんだからさ、その人の責任感っていうのがね。日本が好きなんだったら、日本を変えていこうぜって。終わりはないんだから。俺達が死ぬまで、クラブの完成形ってずっとないと思う。だから、ずっと頑張んなきゃいけない。ずっと努力しとかなあかん。みんな、ずっと一緒に頑張っていけたらなって思うし、必要以上には仲良くしなくてもいいけど、日本を変えるんだっていうモチベーション、それを共有できたときって、お客さんもみんなクラブのことを好きで、また新たなものが出来上がってくると。漠然としてるけど、どこかそれを信じてる。

-- 新しい目標もできますよね。

S.N : 自分のことばっかりじゃなくて…って、俺は思うな。上の人達ってみんなそういう事言ってきたから。自分のことばかりじゃなくて、シーンを見てたから。自分のレコードが海外で出たとかどうのこうの、自分自分自分、じゃなくて、自分ももちろんシーンもそうだし、自分が付随している全体を見sて、その上で自分達がどうあるべきかってことを考えないと、この文化ってすごくチープなものだったんだな、って終わってしまうかもしれない。

-- なるほど…。今の質問で終わりにしたい位、いい感じだったんですけど (笑)、ちょっと話が逸れまして…。先ほども「日本人はコミュニケーション下手だ」って話がありましたけど、Shinさんは facebook や MySpace、Twitter 等、インターネットの活動を結構されてますよね。そういったソーシャル・サイトの音楽的な可能性についてはどう思われますか?

S.N : 俺ね、はっきり言うけど、俺の海外の仕事って、全てここからよ。どうやったかはあえて言わないけど、自分はほぼ MySpace から世界が広がった。一時、MAYDAY 行ってたとかもあるねんけど、そういうのじゃなしに自分の楽曲とかを聴いて、Shin Nishimura を呼びたい、知り合いたいって、向こうから追いかけてきてくれるようになったのは、MySpace から。それだけ言っておくよ。MySpace が無かったら、スペインに行けたりとかもしてないだろうし、Dubfire の SCI+TEC からも出せてないだろうし…これはもう、MySpace ありきというか。

今は Twitter や facebook は相変わらずすごく人多いけど。俺、facebook が今一番好きかな…。一回 facebook やったとき、意味わかんなくてやめたけど、最近またやりだしたら、もっと色んな国の人と出会ってるよ。5月のマルタでのブッキングも facebook からだったし。そういう意味では、やりかた次第で海外とつながる可能性がすごく含まれてる。もちろん、自分の場合、語学が他人よりはできるというのはあるかもしれないけど、それさえできれば…英語さえ喋れれば、いけんねんって。DJもできて、トラックも作れたら、あとは何が必要かって、それさえ勉強すればいいねん。もじもじ日本で、レコード出ても相手にされないって言ってても、別に日本で相手にされなくてもいいから、その代わり英語喋って、海外行ったらナンボでもあなた達の需要ありますよって。なんで支えてもらえない日本にそんなに固執してるの?って思うよね。言葉だけ喋れれば世界中に友達ができて、日本じゃなくてもDJで食っていける可能性ってのは広がるのに。

-- じゃあ、ソーシャルサイトだけっていうよりは、語学力があった上でのってことですね?

S.N : それは最低条件かもしれない。世界を考えるならね。世界とつながれるものは、世界とつながったらいいねん。そういう風に利用してったらいいねん。っていうか、それが理由で作られたものだと思うし…向こう発の SNS って。日本人同士なら mixi で充分だと思います。

-- では、最後の質問です…。第一子、ご誕生おめでとうございます!お子さんが生まれたことで、環境の変化や楽曲制作/音楽活動への変化はありますか?

S.N : 活動はめちゃめちゃ変化あるね。とにかく、子供生まれるので大変やもん。その大変話はおいといて…(笑)。子供が生まれて、自分の時間が持てるのがすごく限られてんねん。限られた中で費やす時間だから、すごく時間を大切にしてるね。それは例えば、しょうもない曲作ったらめっちゃ嫌やもん。なんで俺こんな曲に体力使った?って。なんでこんなことに時間費やしたんやろうって、すごくショックになる。それくらいかな、変わったのって。

-- では、以上で。ありがとうございました。

S.N : こちらこそありがとう。



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