HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

オランダ・アムステルダムを拠点とする話題の新星アーティスト・Lauhaus。新星といっても、それはインターナショナル・シーンでのこと。当地ではすでに10年のキャリアを持ち、盟友 David Labeij とのユニット・Polder として名門レーベル 100% Pure からのリリース歴はもちろん、自身も、シックな趣の中にちょっと癖のあるモダン・ハウスを展開するレーベル・Soweso Records を2009年に設立。着実に信頼とキャリアを積み重ねているアーティストだ。

今回、東京とロンドンにて開催されているパーティー・Fasten Musique Concrete の招聘により、待望の日本初公演を果たした Lauhaus にインタビューを敢行。秋葉原で買ったという小さなペット型ロボットを嬉しそうに披露しつつ、デジタルにこだわった楽曲制作の背景や、6人組のラップトップ・ライブプロジェクト "Amsterdam 661"や、Soweso Records に続いて先日新たにラウンチしたばかりのデジタル・レーベル We Dig. music の話などを、終始フレンドリーな笑顔と共に語ってくれた。

Interview : HigherFrequency
Thanks : Fasten Musique Concrete


triangle



-- 最初の質問ですが、(3月12日の) eleven でのパーティーはいかがでしたか?

Lauhaus : 素晴らしかった!今回が初めての東京ギグだったし、そもそも日本でギグをするのも初めてだったんだけど、すごくいい経験をしたと思うよ。

-- なるほど、初来日だったんですね。

Lauhaus : そう、それにアジア全部でも初めてだね!本当に楽しかったし、嬉しい驚きだよ。お客もみんな盛り上がってたし…。

-- ご自身の音楽的なバックグラウンドについて教えてください。たとえば、子供の頃好きだった音楽ですとか…。

Lauhaus : じゃあ、その話にしようか。最初に買ったレコードは Michael Jackson の 'Bad' だよ! で、それからどんどんエレクトロニック・ミュージックのほうに興味が出てきて、The Prodigy、De la Soul とかを聴いてたよ。De la Soul の1stアルバムは大好きだったね。

-- プロデューサーとしてのキャリアはどのようにスタートしたのでしょうか。

Lauhaus : 最初、10代の頃クラブに遊びに行くようになって、好きなDJもたくさんできて、本当に楽しいなって思えたんだ。そこにインスパイアされて、自分でもDJを始めることにしたんだ。DJのスタートはこんな感じだね。 で、曲作りなんだけど、実は僕の父親が趣味で Amiga っていう古いコンピューターを使って作曲をしていて、僕にも使い方を教えてくれたんだ。シンプルなプログラムを組んで作るようなものだね。だけどその時はまだまだ趣味って感じだったよ。その後、イビサに行ってからもっと曲作りについて真剣に考えるようになって、Cubase を使って作曲をスタートしたんだ。そうやって最初のリリース曲ができたんだ。その時は一週間丸ごとスタジオに篭りっきりで過ごしてたよ。

-- 100% Pure や Remote Area といった名門レーベルからリリースをされていますが、最初、どのようなきっかけがあったのでしょうか?

Lauhaus : 僕は David Labeij と2人でユニット・Polder を組んで曲作りを始めたんだけど、最初はほんの実験段階の頃だったかな。地元もアムステルダムで一緒だし、DJ同士で友達で、お互い気が合う間柄だから毎週のように曲を作ってたんだ。ある日、Studio 80 で、友達の Bart Skils がDJをやってて、David が作った曲をかけてたんだ。そしたら、ちょうど (100% Pure主宰の) 2000 and One が来てて、Bart に 「このトラックは誰の?」 って聞いたんだ。彼が 「そこにいる David が作った曲です!」 って答えて。2000 and One が David のところまで来て、 「君の曲気に入ったよ。リリースしよう!」 って言ったんだ!もう、驚くなんてもんじゃないよね!僕らにとって本当にいい思い出なんだ。

-- 続いて音楽製作についてお聞きします。制作にはどんな機材を使っていますか?

Lauhaus : 制作はコンピューターがメインだね。ソフトウェアも色々使ってるけど、一番お気に入りは Cubase かな。プラグインも色々導入してるし、ミキシング専用のサウンドカードも持ってるよ。基本的には大体ソフトウェアで制作してるんだ。あと、サンプルももちろん使うけどね。

-- ハードウェアは使わないのでしょうか?

Lauhaus : うん、ハードウェアは使わないな。ソフトウェアで十分だね。

-- なるほど。ハードウェアの使用にこだわって制作をされてる方も沢山いるので、先ほどのような質問をさせていただきました。

Lauhaus : 確かにハードウェアの好きな人は沢山いるし、僕もハードウェア自体は好きだよ。だから、それ(ハードウェア・シンセサイザー)が全部自分のコンピューターの中に揃ってるっていうのも嬉しかったりするんだ。例えば、UAD の PCカードでヘビーなプラグインを導入して、クラシックなアナログシンセの音を再現したりもできる。今はそういうのにすごくハマってるよ。もっといいプラグインがないか探して、色々ためしてみたりするんだ。

-- とても現代らしい方法だと思います。
すると、DJプレイに使う曲もダウンロードで買ったりするのでしょうか?

Lauhaus : いや、ほとんどはプロモとして送られてきた音源を使ってるね。それもデジタル音源だね。あとは自分のレーベルのリリース前の曲をたくさん使ってるんだ。プレイしてる曲の半分くらいがレーベルの曲だね。

-- ご自身のレーベルというと、Soweso Records ですよね?

Lauhaus : そう、Soweso Records と、あとは We dig. music っていう、新しく設立したばかりのレーベルがあるんだ。'dig.' はデジタルの意味だよ。 We dig. music はデジタル・オンリーで配信するレーベルで、アーティストも新しい人を起用して、Soweso Records と比べるともっとダンスフロア寄りのハウス・サウンドになるね。Soweso Records は、僕が好きなちょっと捻くれた感じのオリジナルな音をリリースしているけど、 We dig. music はDJのため、パーティーのためのものなんだ。

-- We dig. music ではどんなアーティストの曲をリリースするつもりですか?

Lauhaus : ちょうど、第一弾リリースで Marco Nastic の曲をリリースしたところなんだ。Hermannstadt Collective と、Ilario Alicante & UES が担当したリミックスも入ってるよ。この後のリリースは イタリアの Federico Lochi と UGLH の曲とか、UKのリーズ出身の Darius Syrossian と Nyra、イタリアのアーティスト・ LEON の曲のリリースが決まってる。彼らみたいな、ハウス系のプロデューサーの曲を出していこうと思ってるよ。

-- あなたから見て、アムステルダムのダンスミュージック・シーンは今どのような感じでしょうか?

Lauhaus : 結構いい感じだよ。シーンがまた本当に活性化してきていて、若い人たちがたくさん出てきて、パーティーのオーガナイズを始めたり、DJを始めたり、プロデューサーも沢山いるよ。僕はツアーで世界のあちこちに行ってるけど、どこでも「今アムステルダムはどんな感じ?」って聞かれるし、すごくパワーがあると思うね。

-- 注目のアーティストを紹介していただけますでしょうか?

Lauhaus : もちろん自分のところのレーベルのアーティストが一番だよ!(笑) まず、Soweso Records の看板アーティストの Makam に、すごくクールなハウス・グルーヴを作ってる Alexceller。それに、さっきも言ってた Darius Syrossian と Nyra だね。彼らの曲を We dig. music からリリースできて光栄だな。

あとは、Soweso Records からリリースが決まってる Steller (Alexceller & Stasis)、それに William Kouam Djoko だね。彼は thirtyonetwenty っていうデジタル・レーベルからリリースしてるんだけど、今度 Soweso からもリリースするんだ。彼もすごくいいアーティストだよ。

-- 先日、あなたが関わっているプロジェクト "Amsterdam 661" の映像を動画サイトで見たのですが、こちらについてもう少し説明していただけますでしょうか?

Lauhaus : "Amsterdam 661" は半年に一度くらいやってるプロジェクトで、それぞれファン層の違う6人のアーティストが集まってやっているんだ。メンバーは Kabale und Liebe、Boris Werner、David Labeij、Julien Chaptal、Quazar 、そして僕だね。僕はミックス担当で、他の5人はラップトップをそれぞれ同期させて、(KORG の) ELECTRIBE みたいな感じでグルーヴを作りだすんだ。僕はそれを全部ヘッドフォンで聴きながらミックスする。ときどき 「そっち下げて!」 「そっち上げて!」 って指示したりもするよ。5人が揃って一つのグルーヴを作り上げるんだ。

-- ライブ・プロジェクトなわけですね。ライブの際にはどんなソフトを使っているんですか?

Lauhaus : Ableton を使ってるね。MIDI で全部を繋いでるんだ。

-- 少し話は戻りますが、Soweso Records はどのようにスタートしたのでしょうか?

Lauhaus : We dig. music もそうなんだけど、Soweso Records は Kabale und Liebe と一緒に始めたんだ。ずっと長いことレーベルをやるアイデアはあったんだけど、2年前に Makam の曲を聴いたのがきっかけになって、ハウスのレーベルを作ろうってことになったんだ。彼の音はまさに僕らが探してた音だったんだ。それで彼に連絡をとってみたら、既に他のレーベルからも声がかかってたんだけど、最終的には彼も僕らみたいなレーベルを探してたみたいでね。つまり、ビッグ・パーティー向けのビッグ・チューンをリリースするようなレーベルとはちょっと違うってこと…。それこそが Soweso Records にとって大切な要素なんだよ。

-- あなたはいろいろな国のレーベルやアーティストと一緒に活動されていますが、こういった活動をうまく進めるためのポイントは何ですか?日本のプロデューサー達へのアドバイスをいただければと思います。

Lauhaus : まあ、日本のみんなにとっては言葉の問題っていうのはあると思うけど、ポイントになるのはやっぱりインターネットだよ。Skype とかのチャットを使えば連絡をとるのも簡単だし、ダンス・ミュージックの世界では誰もがそんなことをやってるしね。インターネットを使って声をかければ、みんな喜んで応えてくれる。MySpace や Facebook、Skype を使って、たったの1分でコネクションが作れるんだ。

Daan (Promoter) : リミックスの作業も簡単になったよな。もし気に入らない部分があったら、Skype して、メールでデータを送って、「ちょっと変えてくれないか?」 って言えばいいわけだからね。一昔前なんて、マスターテープを郵送して2ヶ月も待たなきゃいけなかっただろ? (笑) それが今じゃ、南米でリリースすることだってできちゃうからね!

Lauhaus : そう、だから今、ダンス・ミュージックの世界はひとつの共同体になってきていると思うんだ。

-- すばらしいことですよね。 話は変わりますが、音楽以外で最近興味があることは何でしょうか?たとえば、オフの日には何をされていますか?

Lauhaus : そうだなあ…休暇をとって旅行がしたい!(笑) 旅行するのが好きだから、今回こうやって日本に来れたのも嬉しいんだ。あとは映画も好きだし、プレイステーション3 でゲームするのも好きだね。実際、最近はDJの仕事が多いから、オフの日はあんまり外に出ないで家にいて、友達と遊んで、って感じだな。

-- 秋葉原に行ってきたと伺ってますが、ゲームのソフトも買いましたか?

Lauhaus : いや、今回は小さくてクールなロボットを買ったよ!あとはアニメグッズだとかね。日本のカルチャーが好きなんだ。

-- 最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。

Lauhaus : うーん、ちょっと時間もらってもいい?(笑)。
まず、僕をこれからも呼んでほしいな。もっと多くの人に僕の音楽を聴いてほしいしね。金曜の eleven は本当に楽しかったから、是非また来たいと思ってるよ。ありがとう。

-- ありがとうございました。


End of the interview






関連記事


関連リンク