HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

John Dahlback Interview

近年のエレクトロニック・ミュージック・シーンを賑わせているスウェーデンの若手アーティストの中でも、その膨大なリリース数と群を抜いた楽曲センスで注目されているミニマル〜エレクトロ・ハウス・シーンのブライテスト・ホープ John Dahlback。家族全員がミュージシャン、従兄弟は Tiga によるアルバム “Sexor” のプロデュースなどを手掛け、John と共に Hug&Pep のプロジェクト名でも活躍する超売れっ子プロデューサー Jasper Dahlback という正真正銘のサラブレッドである彼が、8月26日に伊豆修善寺で行われた Metamorphose に出演するため、初来日を果たした。

今回 HigherFrequency はイベントを翌日に控えた John と東京でフック・アップ。彼の運営する3つのレーベルやプロジェクト名、従兄弟 Jasper との気になる友好関係などについて訊いた。

> Interview : Mark Oxley (HigherFrequency) _ Translation & Introduction : Kei Tajima(HigherFrequency)

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HigherFrequency (HRFQ) : ‘05年まで多くの EP やシングルをリリースされてきましたが、アルバムはリリースされていませんでしたね。しかし、その後 “Man From The Fall” と “Shades of a Shadow” という2作のアルバムを突然リリースされました。これらのアルバムは、それまで録り溜めていた作品をまとめてリリースしたものなのでしょうか?それとも’05年は作曲的に収穫の多い年だったということですか?

John Dahlback : ‘05年はかなり実りの多い年だったよ。ほとんど毎日、昼も夜もスタジオに入って曲を作ってたからね。僕が楽曲作りを始めた ’01年当時に比べると、“Man From The Fall” の楽曲なんかはかなり新しいタイプの音なんだ。だから両方ともその年に作ったんだよ。

HRFQ : 二つのアルバムに収録された楽曲は、各アルバムのために特別に制作したのですか?それとも曲を作ってから、どちらのアルバムに収録するかを決められたのですか?

John Dahlback : 実際に先に作ったのは “Shades of a Shadow” だったんだけど、このアルバムのためにまず16曲作ったんだ。それから “Man From The Fall” のために16曲作ったというわけさ。

HRFQ : 曲が重なることはありませんでしたか?

John Dahlback : いいや、ないよ。

HRFQ : 新しいアルバム “At The Gunshow” について少しお話していただけますか?

John Dahlback : ちょっと激しい感じの音で、僕のレーベル Pickadoll からリリースされるんだけど、“Man From The Fall” の時よりも今の僕の音に近い、昔よりもダークでハードな音という感じかな。

HRFQ : それはどうしてですか?以前からダークな音を作りたいと思っていたんでしょうか?

John Dahlback : いいや、Pickadoll っぽい音ってだけさ。それに、ああいう音は “Man From The Fall” の音より簡単に作れる音なんだ。音の要素も少ないし、かなりシンプルだしね。

HRFQ : あなたは John Dahlback という本名のほか、Hug や Huggotron といったプロデュースをお持ちですが、リリースの際、そういった名前をどのように使い分けているのですか?

John Dahlback : John Dahlback という名前は、最近ではちょっとコマーシャルな方向に向かってるんだけど、ファンキー〜エレクトロ系の音で、Huggotron はもう少しテッキーな感じの楽曲。Hug はミニマルで、Kompakt からしかリリースしないんだ。だから John Dahlback 名義でミックスを頼まれたときは、エレクトロ・ハウス系の音を意識するし、Huggotron であればダークな音を意識してるよ。

HRFQ : あなたの楽曲は Steve Bug の Dessous をはじめとする多くのレーベルからサポートを受けてきました。それにもかかわらず、3つのレーベル(Jackmoves, Pickadoll, Dahlback Records) を始められた理由を教えていただけますか?

John Dahlback : まず初めに立ち上げたのは Dahlback で、これは自分たちの楽曲をリリースする場所が欲しくて従兄弟の Jasper と始めたんだ。それから自分で Pickadoll を始めたのさ。自分のレーベルだから、自分ひとりで何でも決められるからね。この二つがメインのレーベルかな。Jackmoves はレーベルと言うよりプロジェクトのようなものなんだ。

HRFQ : Jackmoves はどんな音をリリースするときに使うんでしょうか?

John Dahlback : このレーベルは僕の友達の David のために作ったレーベルでね。彼と一緒にスタジオで作ったものをリリースしてるんだ。一方で Pickadoll からは僕が一人でスタジオに入って作った音を出してる。自分の好きな音楽をね。

John Dahlback Interview

HRFQ : 従兄弟の Jasper Dahlback をライバル視することはありますか?どちらが多くのヒット曲をリリースできるか、もしくはどちらが多くの楽曲を作れるかということを競い合ったりすることはあるのでしょうか?

John Dahlback : いいや、そうは思わないな。僕がプロデューサーとしての活動を始めた理由は Jasper だったからね。だから僕らの間に競争はないよ。あるのはフレンドリーなヴァイブだけ。同じスタジオで作業してるしね。地下の6つのスタジオが入った大きいスペースがあって、僕とJesper、Joel Mull、Thomas Enora、Supersill の6人で仕事をしてるんだ。だからお互いのスタジオを訪ねていって、意見を言ったり、CDを交換したりしてるのさ。すごくフレンドリーな場所だよ。

HRFQ : あなたの自宅の地下ですか?

John Dahlback : いいや。違う場所にあるんだ。場所は秘密なんだけどね。最近市内で強盗に入られるスタジオが増えていて、だから僕らは町から外れたところにいるんだ。

HRFQ : あなたのお兄さんはポップ・ミュージックのプロデューサーとして活躍されていますね。今までに彼と同じ道をたどることを考えられたことはありますか?

John Dahlback : 実際、今までにもスウェーデンのポップ・シンガー Anna Ternheim とたくさん仕事をしていてね。リミックスをしたんだ。ポップ・ミュージックをリミックスするのは楽しいし、将来的に僕がもし100個のレーベルを運営するのに疲れたら、そっちの方向に進むかもしれないね!

HRFQ : そのプロジェクトはどのくらい成功しているんですか?

John Dahlback : スウェーデンでは結構成功してるよ。世界的ではないけどね。何せ典型的なスウェーデン・ポップなんだ。スウェーデン以外の国ではあまり作られていない音さ。

HRFQ : 昨年 In Groove 誌で行われた読者投票において、Hugg and Pepp の ‘Snabeln’ がベスト・トラックの第6位に、あなた自身がベスト・プロデューサーの第6位に選ばれるなど、たくさんの賞賛を受けましたね。このような結果についてはどう思われますか?驚いていますか?それとも嬉しいですか?

John Dahlback : 賞を受けたことを知らなかったんだ。雑誌側も教えてくれなくてね。僕がたまたま雑誌を読んでいて見つけたんだ。でも、嬉しかったよ。プロデュース業を始めた時、僕はまだ16歳だったんだけど、いっぱい陰口を叩かれたんだ。だから、僕には人の言うことを気に留めない習慣があってね。でもポジティヴな評価なら嬉しいよ。

HRFQ : あなたはまだ年も若く、スウェーデンの出身です。現在のシーンにはあなたと同じ境遇にあるプロデューサーがたくさん出てきていますが、人々があなたの年齢や出身地にフォーカスすることに嫌気を感じたりすることはありますか?

John Dahlback : いいや、かえってポジティヴなことだと思うよ。30歳のドイツ人プロデューサーでいることより、多くの人が興味を持ってくれるからね。アーティストとしては、プラスなことだと思うよ。

HRFQ : Metamorphose でのギグを楽しみにされていますか?

John Dahlback : もちろんさ。アジアに来るのは初めてだからね。日本でのギグも初めてなんだ。

HRFQ : きっと気に入ってくれると思いますよ。今日はありがとうございました!

 

End of the interview

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