HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Jichael Mackson

一度聞くと忘れようがないアーティスト名のおふさげぶりとは裏腹に、ミュンヘン在住のプロデューサーJichael Mackson こと Boris Steffen は、寡作ながらも1曲1曲非常に完成度の高いトラックを作り出す『孤高の天才』タイプのアーティストだ。Musique Risquee や Liebe*Detail といった実力派レーベルからリリースを重ねるも、自分が納得できるイベントしか出演しないというポリシーを持ち、ギグの回数は地元ヨーロッパでも非常に限られているという。

今回、初となる来日ギグに先立ち、まだまだ謎の多い彼から貴重なインタビューをとることができた。"The Ping of Kop" Jichael Mackson のこだわりをとくとご覧あれ。

Interview & Translation : SENSE (www.sense2009.com)
Introduction : Yuki Murai (HigherFrequency)

triangle

-- あなたの音楽的なバックグラウンドを教えてください。

JM : まず幸運だったのは、僕が子供の頃に通っていた学校が、音楽教育にとても力を入れていたんだ。その後、ギターを弾くようになって、誰かとバンドを組むことも考えたけど、残念ながらふさわしいメンバーが見つからなかった。僕が育ったミュンヘンはロンドンとは違って、至るところにミュージシャンがいるような街ではないからね。だから僕はバンドを組む代わりに、ローランドのドラムマシンR5を買って、自分で打ち込みを始めたんだ。いま振り返ると、バンドをやるメンバーが見つからなかったのは、自分自身の音楽にたどりつく意味で逆に幸運だったのかもしれないね。

-- あなたに大きな影響を与えたミュージシャンはいますか。

JM : 僕は多くの人や物から影響を受けてきたから、答えを絞り込むのは正直難しいけど、Kraftwerkや Basic Channel に強い影響を受けたのは確かだよ。

-- ミュンヘンの音楽シーンはどうですか。

JM : ミュンヘンにもとても面白いクラブはいくつかあるし、日々シーンが成長しているのがよく分かるよ。近い将来、ミュンヘン発の音楽ももっと出てくると思うよ。

-- あなたの日々の音楽活動はどのようなものですか。

JM : 以前は5年間に渡って自宅とは別にスタジオを持っていたんだ。ただ、最近新しいアパートに引っ越してからは、自宅で音楽を作るような生活に戻っている。家で音楽を作るのと、スタジオに入って音楽を作るのでは、ものすごく大きな感覚の違いがある。実は、スタジオに入ることによって、インスピレーションが失われてしまうことがあるのも分かったんだ。家で音楽を作ると、音楽制作と日常生活が一体になるから、よりディープで、プライベートな作品ができるといえるだろうね。次のリリースでも、その変化は聴けると思うよ。

-- あなたは以前 Minilogue の 'AHCK' のリミックスを手がけましたが、他のミュージシャンとのコラボレーションはよくするのですか。

JM : 僕は Minilogue が好きだったから、あのときリミックスをできたのは嬉しかったよ。ただ、僕は自分自身の作品を作るのがやっぱり好きだから、今のところ他のリミックスの予定はないな。といっても、作品やアーティスト次第ではもちろん歓迎だよ。

-- あなたは自身の住むヨーロッパでも限られた本数のライブしかやっていないようですが、それには理由があるのですか。

JM : 僕は13年間にわたって音楽活動をしてきた中で、やはりある程度絞ってプレイする方が自分に向いていると分かった。特に最近あまりライブをやっていなかったのは、1〜2年ぐらい自分をクリエイティブにするための充電期間が欲しかったからなんだ。でも、半年前から活動を本格的に再開したし、新しい作品のリリースにも取り組んでいる所だよ。

-- あなたのライブセットがどのようなものか、教えて下さい。

JM : スタジオでの音楽制作と同様に、僕はライブでも「ハイブリッドなシステム」を取り入れている。「ハイブリッドなシステム」というのは、デジタルとアナログを融合するということ。自宅から車で行けるような所でライブをする場合は、たくさんのハードウェアを持ち込むんだ。もちろん飛行機じゃないと行けない所では、持ち運べる量に限りがあるけど、それでもコンピューターの他に、小さめのドラムマシンやシンセサイザー、それにちょっとした自作の機材なんかも持っていく。持っていく機材にも決まったルールはなくて、毎回少しずつ変えているんだ。

もうひとつ非常に重要なことがあって、それはパーティーのシチュエーションだ。1回ごとのライブで、シチュエーションもテンションも異なる。その違いを自分でコントロールしていかなきゃならないんだ。パーティーの場所やお客さんの反応に、自分自身が驚かされるのも好きだよ。自分がパーティーからたくさんのインプットを得られれば、セットを通してより大きなものをお客さんに返すことができるからね。

-- あなたの今後の予定をお聴かせ下さい。

JM : まず、日本に行くことを本当に楽しみにしているよ。SENSE は素晴らしいパーティーだと聞いてるしね!その後は新しいレコードのリリースを予定しているし、もっともっと美しい音楽を作り続けていきたいな。

End of the interview





SENSE 2009
2009年10月2日-3日 (Sat-Sun) @ 玉川キャンプ村
前売 (09/01-10/02) : ¥6,500   当日 : ¥8,000
駐車場 : ¥1,000 / 1台

LINE UP :
Mungolian Jetset, Jichael Mackson, Kaito aka Hiroshi Watanabe, Koss aka Kuniyuki, Kentaro Iwaki, DJ Wada, Ree.K and more

www.sense2009.com

昨年に引き続き、今年も玉川キャンプ村にて開催が決定した「Sense」。今年はヨーロッパから、圧倒的なその存在感で日本でも熱狂的なファンを持つ北欧の神 Mungolian Jetset と、精神の深淵をのぞき込む音楽表現を続けジャーマンテクノの最高峰に君臨する Jichael Mackson の日本初Liveが決定。 国内アーティストも、Kaito aka Hiroshi Watanabe、Koss aka Kuniyuki、Inner Science、Naohito Uchiyama らが貴重なライブを披露。DJ陣もKentaro Iwaki、DJ Wada、Ree-K、Stereociti など、国内きっての実力派が登場。昨年よりもさらに深みの質と音楽性の幅が広がる内容となっています。 その他、誰でも自由にパフォーマンスできるフリーステージや、若手アーティストによる作品展示、仮装してきた方への特典など、参加する皆さんが思い思いの表現をできるような仕掛けも施しています。 「Sense」は "送り手(アーティスト)" → "受け手(観客)" という一方通行の図式を超えた、参加者ひとりひとりが「表現したいものを表現していく」祭典です。そして、皆さんの表現が積み重なってできた「カオス」こそがパーティーの個性になる、そのような場の創造を目指しています。

Jichael Mackson

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