HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Jesse Rose

「僕は新しいジャンルを生み出すのが好きなんだ。僕たちはテック・ハウスが流行る前からテック・ハウスをやっていたしね。ただ僕たちがブリストルに住んでいたから誰も気づかなかっただけさ。今僕はハイフィー・ハウスにハマってる。僕がマジかって?どうだろうね?」

ロンドン出身、現在ベルリンに住む "Fidget House"(彼の長年の師匠により作られた造語)の先駆者、Jesse Rose は言葉の力というものを強く認識している。しかし、彼は英語の隠語で女性器を意味する "Big Jesse" と呼ばれることに対し非常に冷静な態度を示しており、最後にそのあだ名で呼ばれた際にも怒りを覚えなかったという。

「まぁ、たしかにここ1年で僕は少し太ったよね。でも別にそれは自分のおばあちゃんに 『Jesse、ちょっと太ったね』 って言われてる程度のものだから、別に相手を殴ろうとも思わないよ。」

さらに彼は何度もDJブースに来ては酷いリクエストする人々にも冷静さを保つことにしているという。

「まだキャリアが浅かった頃、'Gina G' をかけろって言って来た女の子に 「やだ」 って言ったら、フロアで飛び蹴りを食らったんだ。そんなこともあって早い段階でそういう人たちへの対処法は身につけたね。だから最近では曲をリクエストされたら、『レコードも持ってるし、かけてあげるよ』 って言うんだ。大抵みんなシラフじゃないから、自分がリクエストしたことも覚えてないからね。それでも自分がリクエストしたことを覚えてる人には 『もうリクエストされた曲はかけたんだけど、もしかしたらトイレに行ってたんじゃない?』 って言うのさ。このやり方で絶対に切り抜けられるんだよ。」

14歳に彼の地元であるブリストルでDJキャリアをスタートさせ、現在30代の彼は Mia のデビューアルバムをプロデュースしたことでも有名である。その一方、ベルリンの Panorama Bar では毎月のレジデントの座を維持し続け、現在でも Switch とは共に活動を行っているという。そんな彼は近日リミックス・アルバムのリリースを予定、彼のもう一つの名前である Content 名義で前代未聞のDJプレイ用のコンピレーション・アルバムのツアーを行い、さらには彼のデビュー・アルバムである "What Do You Do If You Don't" が近日発売された。

Interview & Introduction : Jonty Skrufff (Skrufff.com)
Translation : Shogo Yuzen

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Skrufff (Jonty Skrufff) : まずはリリースされたソロ・アルバムについて聞きたいんだけど、このアルバムを今までリリースしなかった理由はどうして?

Jesse Rose : 僕のお母さんが 「おいしいシチューを作りたければ、絶対に焦っちゃだめ」 って言ってたのと同じかな。

Skrufff : "What Do You Do If You Don't" (もしやらないなら、何をする?)ってすごく変わったタイトルだけど、どういう意味合いなの?

Jesse Rose : ある日 Dave Taylor (Switch) が僕に言ったんだ、"What do you if you don't make this album?" (もしアルバムを作らないなら、一体何をやるんだ?)ってね。もしこのアルバムを作っていなかったら、僕はもっとシングルを作り続けていただろうね。でもシングルを作るっていうことはフロア向けの音楽を作らなくちゃいけないってことなんだ。でもアルバムっていうのはもっと広がりがある。歌ものだって作れるし、もっとディープな作品を作ることもできる。さらにアーティストとして成長する時間を与えてくれるものなんだ。

Skrufff : 大体1曲作るのにどれぐらい時間をかける?(決まった機材は使ってる?)

Jesse Rose : 曲によって全然違うね。僕の音楽を聞いた時に、僕は制作において決まった方程式は使っていないってことに気づいてくれていると嬉しいな。アーティストによってはコンプレッサーの設定を決めて、そのセッティングしか使わない人もいるけど僕は毎回曲を作るときもリミックスをする時も全てゼロの状態から始めるんだ。
だから15年間曲を作り続けてもまだそれを楽しいと感じるんだろうね。

Skrufff : 君のバイオグラフィーは 「普通のクラバーには Jesse Rose によって生み出されるハイブリッド・ハウスを何と呼んでいいかわからないかも知れない」 という一行から始まるけど、自分の音楽を説明しろって言われたらなんて言う?

Jesse Rose : ライムをひと絞りした変なタンゴ・ハウスかな?

Jesse Rose

Skrufff : 音楽を作っていてスランプに陥ったこと、もしくは自分の才能を疑ったことってある?

Jesse Rose : もちろんそれはあるよ。でもそういう時はすぐに自分のやってることを変えるんだ。もしクラブ向けの曲を作ってたら、ディープでムーディーな曲を作ってみたり、全く別のものを作り始めたりね。Logic に感謝だよ。

Skrufff : 君のスタイルを真似している他のプロデューサーに関してはどう思ってる?

Jesse Rose : 全く気にしてないね。僕自身曲作りを始めたばかりの頃に Juan Atkins を真似てデトロイト・テクノを作ったり、Derrick Carter を真似してハウスを作ったりしてたからね。僕の曲を勝手に8小節もサンプリングして、自分のデモだって言ったりしない限り僕は全然気にしないよ。

Skrufff : ベルリンに住み始めて数年がたつけど、ベルリンの音楽シーンやクラブシーンは数年前と比べてどう変わったと思う?

Jesse Rose : この質問に関しては一冊本が書けるぐらいだよ。いや、もしかしたら続編まで書いちゃうぐらいかも!他の街もそうだけど、物事は常に変化していってるよ。ニューヨークもその一例だよ。今のニューヨークを見て、80年代や90年代にはあそこに世界トップクラスのクラブがあったなんて想像もつかないよね。僕の意見を言うとベルリンは今でもハウスやテクノに関してはクラブシーンの中心にあると思う。だけど、色々物事が変わるからね。昔、クラブは毎年場所を移したりしてたんだ。その頃はいつもみんなが新しい場所の噂をしていたから活気があったんだよ。今ではクラブはもっと落ち着いてしまった。それでも今まで通り最高の夜を提供してくれるけどね。

Skrufff : もしロンドンに飽きてしまってベルリンに移住しようと考えている人がいたらどんなアドバイスをする?

Jesse Rose : サン・フランシスコに引っ越せって言うね。

Skrufff : ロンドンに戻ろうと思ったことはある?今でもロンドンで何が起こっているかには注意を払ってるの?

Jesse Rose : 今でも仕事のためや友達に会うために頻繁にロンドンには行くんだ。僕はロンドナーで、これからもずっとそうだよ。もしこれからロンドンに戻ることがたった一度も無かったとしてもね。だけど、ロンドンに引っ越しして戻ろうっていう気は全くないね。世界のことなんて気にせずに夜中にベルリンの街を歩くのが好きなんだ。音楽で言えば、UKを中心に世界中から曲が届くんだ。ここにはいろんなジャンルを織り交ぜてプレイする友達も多いから "Funky" なものなんかも知ることが出来るよ。

End of the interview


Jesse Rose のニュー・アルバム "What Do You Do If You Don't" は Dubsided から発売中。



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