HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Jaytech

UKの名門プログレッシヴ・ハウス・レーベル Hope Recordings より放った 'Tomorrow' が Dave Seaman の "Renaissance The Masters Part 7" に収録されて話題となったオーストラリア在住のプロデューサー Jaytech。若干20代前半という若さながらも Hussle Black、 Rapid Response、 Vapour、そして自身のレーベル Red Seven などから次々と良作を放ち、多くのトップDJより絶大な指示を受け続けているライジング・スターだ。8月には ageHa のビッグ・スペースで初の来日公演もこなし、日本での新たなファンを獲得することに成功した彼に HigherFequency がインタビューを決行。初の来日公演を終えた日本という国の印象、多大なプロダクション活動でのスタンスなどを柔らかい物腰で語ってくれた。

> Interview : Ryo Tsutsui (HigherFrequency) _ Introduction : Len Iima (HigherFrequency) _ Introduction : Masanori Matsuo (HigherFrequency)

triangle

HigherFrequency (HRFQ) : ageHa でのショウはいかがでしたか?

Jaytech : 最高だったよ。クラウドも最高だったし、 ageHa 自体がすごいね!ビーチがあったり、プールがあったり、あんまり見たことがない感じだったよ。クラウドもよくて、音響、照明もすばらしかったし、リラックスできて、いいプレイを披露できたんじゃないかな?

HRFQ : あなたは日本が一番来たかった国だとおっしゃっていましたが、実際に来てみてなにか面白い体験はされましたか?

Jaytech : まずついた瞬間からカルチャーショックだったね。僕が住んでいる街は40万人しか人がいなくて、そんなに人口密度も高くないから、日本がいったいどのような感じなのか想像がつかなかったんだ。実際来てみて、渋谷周辺しか見て回ってないけど本当に面白いね。みんなが日本はどこよりも5年先をいってるっていう意味がわかったね。未来にきたみたいな感じがするよ。

HRFQ : あなたの音楽はタイトなボトムラインとカラフルなメロディーが特徴的ですが、いままでにどのアーティストに影響を受けましたか?

Jaytech : 僕がダンスミュージックを聴き始めたのが’96年頃で Paul Van Dyk のCDをたくさん買ってたよ。’96年から’02年ごろまではとにかくトランスを聴いてたね。そして’99年に初めてクラブイベントに行ったときにはトランスを作りたいと思ったよ。だけどそこから5年ぐらいは Andy Paige や BT, Hybrid なんかを好きになったんだ。音楽の境界線を越えてゆくようなものを作っているところが魅力だったんだ。僕にとっては Andy Paige の影響が大きいかな。彼はオーストラリアのアーティストで、残念ながら本来得るべき注目を浴びていないといえるかもしれないけど、彼のプロダクションはとにかくすばらしくて、僕もそういうものを作りたいと強く思っているんだ。

HRFQ : あなたの音楽はプログレッシブっぽくもあり、トランスのにおいもありつつも、ハウス的な色彩も色濃くありますね。その辺は作るときに意識されていますか?

Jaytech : 僕は自分の音楽にたくさん感情を盛り込みたいと思っていて、ダンスフロア向けっていうトラックだけを作るのは嫌だって思っているんだ。音楽で物語を語れるようになりたいと思っている。 ちょうど僕がプログレッシブやトランスをたくさん作っている当時に仲がいい友達がいて、毎週金曜日に集まって2人でハウスのレコードを回していたりしたんだけど、そこでハウスに影響を受けたのかもしれないね。それにシドニー、シドニーではハウスが充実していてシドニーで沢山の時間を過ごすうちにハウスの影響を受けたんじゃないかな。

Jaytech

HRFQ : ご自身の Red Seven Records では基本的にご自身の楽曲を中心にリリースされてますが、どのトラックをリリースするかを決めるときのルールは何かありますか?

Jaytech : Red Seven は自分が本当にリリースしたいものを発表する場なんだ。UKの 3 beat というディストリビューターから出ているんだけど、彼らがすべてマネージメントサイドを見てくれているから音楽に集中できている。基本的には Matt Rowan と僕が一緒に出したいものを出す場として使っていたんだけど、Matt 個人のものもリリースしたりしている。つい最近 Matt のためにダブルA面のシングルをリリースしたんだけど、とてもうまくいって、とても喜んでいるし、今年の年末に向けては僕のリリースに、ほかのアーティストの楽曲も入る予定だよ。基本的に1年は僕と Matt の曲だけをリリースして運営していきたかったんだ。準備ができるまでは他のアーティストとサインしたくなかったのさ。他のアーティストとサインしてしっかりとマネージングができなかったり、お金を払えなかったりといった結果は避けたかったからね。だから小さく始めて、でも順調に大きくなってきていると思うよ。

HRFQ : Red Seven Records からはどのような音楽を発信したいと考えていますか??

Jaytech : アンダーグラウンドかな、Red Seven Records の音楽はある程度音楽にうるさい人じゃないと気に入らない音楽だと思うんだよね。例えばオーストラリアのコマーシャルなクラブでは Red Seven の曲はあまり沢山かけられないと思うし。。Red Seven を好きな人はどちらかというとこういったサウンドが理解できる人であってほしいとも思うしね。

HRFQ : あなたの音楽はプログレッシブからトランス、ハウスまで幅広いDJにサポートされてますね。 楽曲を作るときにその辺は意識されていますか?

Jaytech : 昔は意識してたね。でもここ数年プロデュースをやっていて学んだことはただ座って、自分の感覚に正直に作ることが、結局は自分が作れるベストの音楽を作る近道だってことかな。おそらくどのプロデューサーも一度や二度は何か具体的なテイストを狙って楽曲を作ったことがあると思うけど、僕の場合は、結局感覚のままやったほうがいい結果に結びつくんだよね。そうしたほうが自分独自のサウンドが出てきて、人にも気に入ってもらえるのさ。

HRFQ : 今現在、ヨーロッパやここ日本ではミニマル・サウンドがトレンドとなっていますが、それに関してはどう思われますか?

Jaytech : 僕にとってミニマルは作りにくい音楽だね。僕はどんどん音を足していってしまうからね。最初はミニマル・テックなサウンドは好きじゃなかったんだ。ああいうサウンドは得てして退屈に聴こえやすいからね。ただ Jody Wistenoff の最近のミックスではおそらく minimal progressive とでも呼ぶべきサウンドが取り入れられていて、それが僕にとってはインテリジェントで感情があって、何かを感じることができた最初のミニマル・サウンドだったな。つまりダンス・ミュージックに新しいテイストを持ち込むことができていればそれはすばらしいと思うし、僕はいい音楽を聴きたいだけなんだ。

HRFQ : あなたは若くして多くを実現させていると感じますが、あなたにとって次の目標はなんですか?

Jaytech : んー、なんだろ。可能な限り多くの人に自分の音楽を聴いてもらいたいかな。インターネットがあればどんな遠くでもいけるし、どこにでも音楽を届けられる。ここ数年で僕はそういう風にやってくることができたし、ここからはもう少し、旅をすることとインターナショナルにプレイすることにおいてプロフェッショナルになりたいと思っていて、それは楽しみだな。それに楽曲制作でももっとプロフェッショナルになりたいよ。ここまでの自分には結構満足しているけど、例えば Junkie XL とか BT ぐらいの水準まで行きたいと思っているよ。彼らはそのおかげで世界中で映画やコマーシャルに音楽を書くことができるわけだし、僕はそういう風になることにすごく興味があるんだ。

End of the interview

関連記事