HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Jan Krueger

テクノ激戦区のベルリンにおいて、他に決して埋もれることのないキャラの立ったリリースを打ち出し続けるレーベル Hello?Repeatの主宰として、またPanorama Bar とWatergate という最重要級のクラブ双方でレジデントを務めるDJとして、どちらの顔でもその実力を知られている Jan Krueger。繊細さ、深さ、キャリアと音楽愛からなる幅の広さが同居するDJプレイは、特に自称音楽マニアな層には堪えられない魅力を放っている。

このような書き方をすると音楽偏重な人柄を思わず想像してしまうかもしれないが、今回来日に際し行われたインタビューで見えてきたのは、「レーベルとしてどんな曲をリリースするか」「DJとして何をプレイするか」と同じくらい(もしくはそれ以上?)、パーティー自体を楽しむことにもフォーカスしている姿勢だ。心して - だけどリラックスして、この “読みきれない” 実力派の思考の一端を覗いてほしい。

Interview : Cabaret
Introduction : Yuki Murai (HigherFrequency)

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-- あなたの音楽的変遷を教えてください。最初に買ったレコードかCDは何ですか?また最初にエレクトロニックダンスミュージックに出会ったときのことも教えてください。

J.K (Jan Krueger) : 80年代終りから90年代初頭のヒップホップがすべての始まりかな。当時はスケボーにはまっていていつもヒップホップを聞いていた。A Tribe Called Quest、De La Soul、EPMD なんかが当時のフェイバリットで Jungle Brothers の "Straight Out Of The Jungle" が初めて買ったレコードだったと思う。本当に大好きだったレコードで今でも持ってるよ。エレクトロニックミュージックとの最初の出会いはスケートパークに行く途中で聴いた親友のミックステープだったかな。Casual、Relief Music、Dance Mania なんかのファンキーなシカゴものがミックスされたやつでね。それ以来この手の音楽にのめりこんでいってその親友とレコード屋に行くようになったんだ。残念ながら最初に買ったハウスのレコードは思い出せないけど、多分すごく cheesy なやつだったと思う(笑)

-- あなたのプロフィールには90年代中期からDJ、パーティオーガナイズを始めていたと記載があります。 現在と当時で何が大きく違いますか?また当時の思い出深いエピソードがあれば教えてください。

J.K : 当時と今での一番の違いは単なる趣味から仕事になったことかな。この状況はほんとに喜ばしいことなんだけど、大きな情熱を持ってるって事は当時となにも変わってないんだよね。記憶にあるエピソードといえば、これからもきっと忘れないだろうけど初めて人前でプレイした時のこと。300人くらいの人を前にして全身が震えちゃってね、手もブルブルで全く言うこと聞かないから、針をレコードの真ん中にまずおいて、それからレコードの最初までスピンバックさせなきゃいけないくらいにね。あれはすごかった!

-- あなたのDJからは確かなテクニック、キャリア、また他のDJとは一線を画したレコードセレクションを聞き取ることが出来ます。DJの際にもっとも重要視するのはどの点でしょうか。
そしてもし絶対にDJのときにすること、しないこと等があれば教えてください。

J.K : いつもクラブに遊びに来たクラウドといい時間を過ごすことにフォーカスしているかな。僕は自分のレコードだけをかけるタイプのDJでは無いと思う。僕はいい時間を過ごしたいし、自分が愛するレコードをでかいサウンドシステムで聴きたいし、なによりクラウドが楽しんでるときがいつでもいい時間だと思う。そのためにみんな出かけるんでしょ、楽しむためにね。プレイするときにいつもすることはお酒を飲みすぎること。絶対にしないことは好きじゃない曲をかけること。

-- 前回のあなたの来日は2008年3月でした。日本自体の印象、プレイした印象はいかがでしたか?
またどういった部分が他の国と異なっていましたか?

J.K : なんていったらいいかな。日本が大好きだよ。みんなとても親切でパーティも今まで経験したなかでベストに入るくらい最高だった。ほんと、また行くのが楽しみでしょうがないんだ。

-- 自身のレーベル Hello?Repeat からリリースされる素晴らしい楽曲群とアートワークには常に驚かされます。レーベルのコンセプトは何でしょうか? またシーンの中ではどういった立ち位置にいようと意識されていますか?

J.K : コンセプトがあるとすれば僕らが愛する音楽とアートをリリースすることかな。Hello?Repeat は僕らや僕らの友達が自分たちが好きなこと、それからその好きなことで人をハッピーにすることをやるためのプラットフォームなんだ。レコードが500枚売れようが5000枚売れようがあんまり問題じゃなくてみんなが僕らのやってることに共感してくれればハッピーさ。長く続けられるといいよね。

-- 今、音楽産業はデジタルデータの一般化、CD、レコード売り上げの低下など、変化の時を迎えていると言われています。レーベルを運営する上でその流れを感じることはありますか?
またそれに対してどう対処しようと考えていますか。

J.K : もちろん変化には僕らも気づいているよ。でもあんまり心配はしていない。大金を稼ぐためにレーベルを始めたわけじゃないからね。これは僕らの情熱の問題で、僕らがやってることを楽しんでくれる人がいてその人たちが僕らの音楽を買ってくれる、これが続くかぎりやめられないでしょ。

-- ここ最近で注目しているアーティスト/DJはいますか?またどういったところに注目されていますか?

J.K : たくさんいるけど、Zip は特別だね。DJとしてはいつも彼の選曲にびっくりさせられるよ。どこでそんなインクレデブルなレコード見つけてくるんだろうってね。プロダクションに関しても彼はネクストレベルに行ってるね。

-- Hello?Repeat からトラックをリリースしたいトラックメーカーも日本に数多くいます。そんな人にアドバイスをもらえますか?

J.K : うーん、アドバイスは難しいね。ミニマル、ハウス、テクノ、何でもいいんだけどある特定のサウンドを意図したものに Hello?Repeat をしたくはないんだ。レーベルからリリースする音楽をセレクトするときもあくまで僕らが好きなものってのが共通の物差しなんだよ。僕らの顔が自然とほころぶようなっていったらいいかな。ヒットの可能性が判断基準ではないし、ベストのアドバイスは好きなようにやって人の真似をしないことかな。ただ自分の音楽をすること。僕らはいつでもデモを待ってるし、音楽に興味があるんだ。

-- 今後の Hello?Repeat のリリース予定、展望を教えてもらえますか?

J.K : 2009年は僕らにとって静かな年だったね。リリースも Daze Maxim のレコードを一枚出しただけだったし。でも2010はちょっと忙しくなりそうだよ。レーベルの次のリリースは Patrick Specke っていうデュッセルドルフの友達で彼の Desolat のリリースがすごく良かったから2曲作ってもらって、Delano Smith のリミックスを含めてリリースするよ。その次が Daze Maxim のヒプノティックなテクノトラックを収録したリリース。その次が Bruno Pronsato が Benjamin Meyers と共作した曲で Benjamin がベルリンを訪れた際に Bruno のスタジオですごしたマジカル時間でできた "when we last met" っていうほんとにロマンティックなハウストラック。これに Baby Ford のリミックスを収録する予定。あとは Daze がアルバムの制作に取り掛かってて来年前半に完成すればってとこかな。もちろんその後も続々とね。

-- 今まで最もクラブでプレイしたトラックのベスト5と家で聴く曲のベスト5を教えてください。

J.K : 最もプレイしたトラックかどうかはわからないけどここ数年ずっとレコードバックに入ってるレコードだったら

Club :
Problem Kids - I Will Lead (Hollway & Eastwick Mix)
Ricardo Villalobos - Panpot Spliff, Crustation - The Flame (Mood II Swing Rmx)
Losoul - Open Door
DJ Assassin - A Few Amongst The Crowd

Home :
Roxy Music - To Turn You On
Talking Heads - This Must Be The Place
Idris Muhammad - Could Heaven Ever Be Like This
Philip Glass - Facades (Played by London Chamber Orchestra
The Mary Onettes - Void

-- あなたにとってのハウスミュージックとは一言で言うと何ですか?

J.K : LOVE!

-- パーティーを楽しむ秘訣は?

J.K : MAGIC!

-- 約2年ぶりの来日プレイを楽しみにしている日本のファンへメッセージをお願いします。

J.K : Get ready for the panda and please open the wineshop a little bit earlier this time :).
I CAN’T WAIT TO SEE YOU ALL!!!! Much love, yours Jan

End of the interview



Jan Krueger




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