HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Hexstatic


Ninja Tuneの映像部門を一手に担ってきたStuart Warren Hillとグラフィック・デザイナー、DJとして知られるRobin Brunsonによって1995年に結成されたHexstatic。彼らが97年にCold Cutとのコラボレーションの元に制作された"Timber"は、革新的な発想と技術、痛烈なまでのメッセージ性、そして思わず涙腺を緩めてしまうリリシズムが見事なまでに融合した映像作品の最高傑作として、発表から7年たった今でも多くの人に愛されるエバーグリーン的な作品である。 映像と音楽の融合が声高に叫ばれる今日でこそ、彼らの活動に時代が追いついてきた感があるが、彼らがまだDVDという言葉もそれほど定着していなかった頃からクロス・メディアな作品を制作していたことを考えると、その先見性と実験精神はまさに恐るべきものであると言えよう。

そんな彼らが去る11月末に行われたelectraglide 2004のトップバッターとして出演すべく東京を訪れた。その際にHigherFrequencyがリクエストしたインタビューに、彼らがEmailでレスポンスをくれた。

> Interview & Introduction : H.Nakamura (HigherFrequency) _ Translation : Kei Tajima (HigherFrequency)

HigherFrequency (HRFQ) : エレクトラグライドはいかがでした?

Hexstatic : すごく良かったよ。今年やったギグの中でも上位に入るくらい良かった。日本のファンは最高だね。

HRFQ : 映像という部分で、日本にはどんな印象を持ってらっしゃいますか?

Hexstatic : 映像と音楽をミックスすることにすごく力を入れているアーティストが多いよね。VJシーンはイギリスと同じくらい大きいんじゃないかな。

HRFQ : 最近リリースされた"Master View"はDVDとCDがセットになった2枚組みでリリースされましたよね。どうしてこういった形で作品をリリースしようと思われたのですか?

Hexstatic : 僕らは映像と音楽がミックスした作品をつくっているから、当然DVDはマストになってくる。でもリスナーの中には音楽単体で聴きたい人…例えばI Potとかで聴きたい人もいると思ってCDでもリリースしたんだ。

HRFQ : DVD上のすべての映像が、音楽と上手くシンクロしているのには驚きました。特に鉄腕アトムの映像が使われているリップ・シンクは素晴らしいですね。あんなにすごいシンクロをどうやって実現したのですか?

Hexstatic : 今までもずっとそうやって活動してきたからね。"Timber"をリリースした時や、CDとCD-Romというかたちでリリースした"Rewind"の時なんかは、今回よりも更にきっちりやっていたかもしれない。

HRFQ : "Perfect Bird (Astro Boy Remix)"のビデオについてですが、このプロジェクトを始められるきっかけは何だったのですか?

Hexstatic : もともとは、僕の友達のJason Arberが運営してるPixelsurgeon.comというサイトを通して知ったGuitar Vaderというバンドの曲なんだけど、ちょうどアルバムに原曲とは全く違うかたちのリミックス曲を入れたいと思って、彼らにオファーしたらOKをもらえたんだ。それで、僕たちの日本のレーベルが鉄腕アトムのキャラクターを使ってリミックスしたら面白いかもねって言ってきたんだ。これには驚いたね。だって、彼らはアトムを滅多に他の人間に触らせたりしないんだから。

HRFQ : もしあなた方が'90年代後半から、"Timber"などの作品に見られる革新的なビデオ・クリップを制作されていなかったら、DVJ-X1が世に出回るのはもう少し遅れていたのではないでしょうか。今となってはたくさんの人が映像と音楽の融合に注目していますが、こういった状況は当時から予測できていましたか?

Hexstatic : こういったかたちになるとずっと前から思っていたよ。

HRFQ : DVJ-X1の開発には参加されたのですか?

Hexstatic : アイデアと開発の面に参加したよ。それにテスト使用もした。

HRFQ : 今までに何人かのDJがDVD-X1を使ってプレイしているのを見ましたが、まだほとんどのDJがDVD-X1のベストな可能性を引き出すことに苦労しているようです。DJ向けというよりも、ライブ・アクトやVJ向けの機材だと言っている人もいるようですが、こういった意見に対するあなた方の意見を聞かせて下さい。

Hexstatic : ほとんどの人は十分なオリジナルの映像素材を持っていないから、そういう意味で大変なんじゃないかな。その点、僕たちはラッキーだったね。DVD-X1はまさに理想の機材だよ。他のアーティストたちも将来的には使いこなせるようになるとは思うけどね。

HRFQ : エレクトラグライドでのセット構成を教えてください。

Hexstatic : DVJを2台と、ラップ・トップを2台。4台のターン・テーブルを使ってミックスするような感覚に近いけど、ビデオも操作しなくちゃいけないからね!ライブでは楽曲をカットしてリミックスしてるよ。

HRFQ : 音楽制作は特にこの10年間のソフトウェアの発展と普及によって、より簡単なものになりました。映像制作についてはいかがですか?

Hexstatic : 残念ながら、まだ簡単になったとは言えないね。オーディオの制作みたいに、完全なリアルタイム・ベースでビデオが早く制作できるようにならないかなって願っているんだ。

HRFQ : 映像と音楽の融合に続いて来る、次なるトレンドは何だと思いますか?今回のアルバムにあったような、3Dグラフィックスのビデオでしょうか?

Hexstatic : 世界中のI-Maxシアターでツアーをやりたいんだ。完全にオーディオとビジュアルが融合したショー。まずそれが来るんじゃないかな。

HRFQ : フラッシュ・ビデオのテクノロジーはもっとクリエーター側と見る側の相互性のあるコミュニケーションを考慮してもいいと思います。こういったテクノロジーを使ったプロジェクトに取り組んでいらっしゃいますか?そうでなくでも、興味がありますか?

Hexstatic : 今回のアルバムでは、フラッシュ・アニメのクリエイターとも仕事をしたんだけど、僕はあんまりフラッシュが得意じゃないんだ!

HRFQ : 日本で活躍するVJや映像クリエイターの卵たちにアドバイスをお願いします。

Hexstatic : とにかく、オリジナルでいることだね。

End of the interview

関連記事


関連記事