HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

カナダはモントリオール出身、現在はベルリンを拠点に活動するアーティスト Guillaume。ソロプロジェクトである Guillaume & the Coutu Dumonts を始め、Egg、Luci、Chic Miniature といった名義を使い分け、これまでに Musique Risquee、Oslo、Raum… Musik、MUTEK_rec といった数々の人気レーベルから多くの作品をリリースしている。大学ではラテンミュージックを学び、またfunk/jazzバンドでのパーカッション奏者としての経験もある彼。多様なサウンドを融合し、オリジナリティ溢れるその雑食グルーヴは、聴くもの全てをグルーヴの渦に巻き込んでいく。

今回、ageHa で開催される Bunka Vibe にて、ソロの Guillaume & the Coutu Dumonts、またその Guillaume に Ernesto Ferreyra が加わった Chic Miniature として2回のライブを披露する彼に着目し、当パーティー (Real Grooves) にDJ、スタッフとして初回から携わり、アーティストやそのプレイに直に接してきた Hidehiko Takano 氏協力のもとインタビューを決行。先日、日本で発売されたアルバムについてなど、読み応えある内容となっている。


Interview & Translation : Hidehiko Takano
Introduction : Midori Hayakawa (HigherFrequency)

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--あなたの音楽には Latin、Jazz、Funk、House など、とにかくたくさんのジャンルの要素が含まれているように感じるのですが、どのような言葉で評価・カテゴライズされるのが嬉しいですか?ご自身で言い表すとすれば、どのような表現になりますか?

G.C.D (Guillaume & The Coutu Dumonts) : 正直なところ、僕の音楽について語るという意味では僕自身が一番ふさわしくない人間だと思うな。毎日のようにやっていることについて、明確な姿を捉えることは難しいんだ。実際のところ、たくさんの音楽に影響を受けてきたけど、それらに関係無く、僕は自分独自の方法で音楽に取り組みたいんだ。どんなジャンルかということよりも、誰がやっているのか、の方が重要だって考えているよ。

--ソロアーティストとして考えると “Guillaume & The Coutu Dumonts” はとてもユニークで興味深い名義だと思うのですが、なぜこのようなネーミングになったのでしょうか?何か特別な意味があるのですか?

G.C.D : (最後の “s” が無い) Guillaume Coutu Dumont が僕の本名なんだ。Egg とか Luci、Chic Minature といったコラボレーション用の名義に対して、ソロでのプロジェクトでは、バンドみたいな名称の中に自分の名前が隠れているっていうのが面白いかなと思ったんだ。僕は funk にとても影響を受けたけど、なんとなく funk のバンドみたいだし、そういった意味でも面白いんじゃないかと思ってね。

--Ernesto Ferreyra との共同名義である Chic Minature では、お二人でどのように役割分担されているのですか?

G.C.D : 特定の役割分担は無いよ。誰かと一緒に音楽を創る時は、とにかく色んな馬鹿げたことを試しながら遊ぶんだ。お互いの引き出しや経験をたくさん持ち寄って、それを音楽に変換して行くんだよ。

--ソロでの活動とデュオとしての活動で最も大きな違いは何ですか?

G.C.D : とても単純なことなんだけど、ソロの時は孤独だってことだね。何が起きても全ての責任は自分にある。サポートなんて無いからね。だから、デュオとして活動する方が好きなんだ。もともと音楽を始めた頃の僕は、演奏家だったから1人で音楽を創るということは未だに自分にとって違和感を感じることなんだ。

--過去2回の来日を通じて、日本、東京についてどのような印象をお持ちですか?何か特別なエピソードとかありますか?

G.C.D : 日本に行くのは今回で3回目になるのだけれども、東京以外の街に行くのは初めてなんだ。日本はいつも行きたいって思っている国だよ。どこか身近に感じるところもある一方で、とても遠い存在だったりもして、とてもユニークなんだ。思い出、という意味ではバーでビールを飲みながら話すようなネタがいくつもあるけど、インタビューで話すのにふさわしいものはあんまり無いかもなあ・・・ 初めて東京に行った時には体調を崩してしまって、ホテルの部屋で熱を出してたんだ。窓から街を眺めていたよ!!なんとも、哀れな感じでしょ?

--今回の来日にあたって何か特別なプランはありますか?お客さんにこれを見せたいとか、あるいは、滞在中にこれを試したい、とか?

G.C.D : 勿論、ショーでは新しいものを見せられるよ。常に新しいものを用意しているからね。あとは、さっきも答えたように、東京以外の街、札幌、福岡に初めて行くから、色んなものを見てみたいと思うよ。札幌の Precious Hall については化け物みたいに強力なサウンドシステムだっていう噂を何度も聞いているしね。

--今回の東京公演の会場となる ageHa は日本でも有数の巨大なフロアーと強力なサウンドシステムで知られています。ライブをするにあたって、会場の大きさや構造はパフォーマンスに影響を与えますか?

G.C.D : 全く関係無い、と言いたいところだけど、ちょっと嘘になっちゃうかな。大勢のお客さんの前で滑らかに演奏する自信はようやく付いてきた、というところだね。経験を重ねて、自信が付いてきて、大分変わってきてはいるし、大勢のお客さんの前でも関係無くパフォーマンスが出来るように心がけているよ。

--日本限定で発売されたアルバム “12inches all dressed”(9月16日 Timothy Really より発売)について教えてください。そもそもこのプロジェクトがどのようにしてスタートしたのですか?また、どのような視点で収録曲を選んだのですか?

G.C.D : 数ヶ月前に Timothy Really のメンバーから今回の企画についてコンタクトがあったんだ。じっくり時間をかけて、収録するのにふさわしいトラックを慎重に検討していったよ。いわば “グレイテスト・ヒッツ” みたいなものだから、、、なんてね。 とにかく、ほとんどの収録曲が12inレコードでしか流通していなかったものだから、そういった意味では日本の人たちにとって、自分の作品を身近なものに感じてもらうきっかけとなる一枚に仕上がったんじゃないかな。

--今後の方向性という意味で、何かのジャンルやスタイル、あるいはテクノロジーや機材といった視点で、追究していきたいと思っているものはありますか?

G.C.D : 確かに機材には興味があるけど、別にマニアという訳ではないかな。どんな機材かに関係なく、どこにでも音楽は存在するからね。色々な演奏家と一緒に作品を創るのが好きだから、今後はもっとそういう機会を増やして行くよ。そういった意味で、自分専用のしっかりとしたレコーディングスタジオを作ることが現時点での目標の一つだね。

--ツアーや制作、コラボレーション、リミックスなど、色々とプランがあると思うのですが、今後の活動予定について教えてください。

G.C.D : 普段はヨーロッパをツアーで回っているんだけど、秋にはメキシコ、アメリカ西海岸、来年初頭には南米にも行くよ。制作面では Oslo から8月末に12inがリリースされたばかりで、Circus Company のコンピレーションには3曲(内1曲は Oleg Poliakov とのコラボレーション)収録されるよ。また、Musique Risquee からも12inのリリースが決まっているね。後、日付はまだ確定していないけど、4月頃に Circus Company から新しいアルバムのリリースも予定しているよ。 他にも、僕の双子の兄弟である Gabriel と一緒に別のプロジェクトにも取り掛かっているよ。もっとディープで実験的な作品を創っているんだ。 もちろん、Chic Minature として Ernesto Ferreyra と一緒に曲を創ったりツアーをしたりもするよ。 他にもいくつかのプロジェクト、コラボレーションが予定されているけど、これ以上はシークレットってことで、今は教えられないなあ。

--最後に、HigherFrequency を見ている人たちに何かメッセージをください。

G.C.D : パーティまでもうすぐ!ばっちり準備して、万全の体制で遊びに来てください!!!ありがとう!

End of the interview

Guillaume & The Coutu Dumonts "12 Inches All Dressed" は、
Timothy Really より 9月 16日リリース予定。



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