HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Gildas Interview

「イギリス人はまるで子供のような扱われ方をされてるよね。どの店も午前2時には閉まってしまうから、その時間には寝なくちゃいけないし、それにイギリスではポルノ映画も観に行けないしね。若すぎるから、ポルノ映画は観ちゃいけないって誰かに勝手に決められてるんだ。まるで子供のようだよ」

パリのオフィスから電話でインタビューに応える Kitune のレーベル・チーフ Gildas は、イギリスとフランスの違いを笑いながら話した。

「イギリスってまるで Easyjet (イギリスの安い航空会社)みたいだよね。自分でバーに行って、飲み物を頼んで片付けなきゃならない。そういう現象がイギリスでは増えてきてるんだ。それ以上のサービスが欲しければ、さらにお金を払わなくちゃいけない。全部自分でやらなくちゃいけないのさ。サービスなんて無いに等しいよね」

パリのショップ店員などから受けた横柄な態度がトラウマとなり、毎年およそ20名の日本人観光者が陥っているという、パリ・シンドロームと呼ばれる精神的疾患についての質問をした際、その受け応えとしてこの話題を持ち出してきた Glidas は、そういったショップ店員は、フランス人にも同様に横柄なこと、そしてショップ店員に限らず、ウェイターやタクシー・ドライバーといったサービス業に関わる人も同様に横柄であると話した。

「フランス人は人にサービスするってことが理解出来ないんだ。おとなしくしていればもっとお金が稼げるって分かっているのにね。フランス人はプライドが高いのさ」

このように文化の違いを話しながらも、今回のインタビューでは、彼のレーベルが最近リリースした Kitsune Maison 3 について語ってくれた Gildas。Digitalism、Klaxons、Simian Mobile Disco、Fox N wolf、Gossip といったホットなアーティストの楽曲が収録され、ニュー・レイヴやロック、ダンスといった旬なジャンルの音楽が詰め込まれたこのコンピレーションは、非常に大きな注目を集めており、DJ mag や Telegraph、BBC といったメディアからも喝采を浴びている。

「多くの人はコマーシャルなものを悪いもの、利益を出すことは悪いことと考えているけど、僕の考えはそうじゃないんだ」

「いい音楽をクリエイトし続けていれば、ポップでコマーシャルなことをして、レコードを売ったっていいと思うんだ。フードを被って、洞窟の中でたった5人の前で演奏しているからって才能があるとは言えないのさ」

このように話す彼がポップ、そしてメジャーでありながら、クオリティーの高い音楽を知っているということは、彼が、フランスが生み出した史上最強のユニット Daft Punk をマネージメントしたという事実を知れば、簡単に理解できるはずだろう。まだ無名だった Daft Punk と10年前に出会ってからというもの、現在に至っても Ed Banger のPedro Winter と共にデュオのマネージメントを勤める彼だが、今日に至っては、Kitune にフォーカスを当てて話をしてくれた。



以下は対談形式でのインタビューの模様をお伝えする
(Translation by Kei Tajima : HigherFrequency _ Photo by Munetaka Harada)

Skrufff (Jonty Skrufff) : コンピレーションは “Kitsune Maison (英語に直訳すると Kitsune House)” というタイトルですが、ハウス・ミュージックに関連付けてこういった名前を付けられたのでしょうか?

Gildas : Mason という言葉は、僕たちがレーベルをきちんとしたアーティストのホーム的な存在になるように取り組んでいるという事実に関連しているんだ。最初 Kitsune では、”Kitsune Love” のようなコンピレーション・アルバムのリリースしかしていなかったけど、その次の段階として、僕たちが好きなアーティストの楽曲をライセンスして、収録したアルバム “Kitsune Midnight” をリリースしはじめて、アーティストにもオリジナルの楽曲を書き下ろしてもらえるように頼み始めてね。そうすると CD が徐々に売れ始めて、アナログをリリースするようになったというわけ。そうするうちに、きちんとしたレーベルを始めたら楽しいかもしれないってことになったんだ。僕らには運営していく自信もあったしね。きちんとしたレーベルを持つってことは、バンドを抱えて、アーティストを成長させていくフル・タイムの仕事なんだ。アーティストに「僕たちが君の音楽の権利を持つ代わりに、アーティストとして成長させ、音楽で食べていけるようにしてやる」って約束するようなものなのさ。それって責任のあることだよね。

今になってメディアも騒ぎ始めているけど、僕たちは自分たちのテイストにすごく自信があってね。今シーンで名を上げている Wolfmother や Hot Chip、Digitalism の楽曲も、僕たちの初期のコンピレーションで扱っていたんだ。ある意味、メジャー・ヒットするアーティストを見定めていたってことだよね

Skrufff : リリースするレコードを決めているのはあなた一人ですか?

Gildas: そう、僕一人だよ。

Skrufff : どうやって選んでいるのでしょうか?

Gildas : いろいろな基準はあるけど、まずアーティストが好きで、そのアーティストの曲が好きってことだね。まぁそれは当たり前だけど、その他にもいろいろ理由はあるんだ。例えは、”Kitsune Meson 3” のコンセプトは、もう少しコマーシャルな楽曲のセレクションをすること。特定の人にとって“コマーシャル”という言葉の聞こえはあまり良くないみたいけど、僕はそう思わないんだ。ヴォーカルの入っているような、もっとポップな楽曲を集めたかった。きちんとした楽曲を探したってわけさ。

Skrufff : 現在でも Daft Punk と一緒に楽曲を作られているんですか?

Gildas : Daft Punk とはかれこれ10年以上一緒に仕事をしていて、その関係は今でも続いてるよ。僕はパリにある彼らのプロダクション会社で仕事をしていて、毎日そこで働いてるんだ。一方 Kitsune はサイド・プロジェクトで、完全に僕のレーベルと呼べるものかな。

Skrufff : Daft Punk のマネージャー Pedro Winter が Stylus Magazine で Kitsune と Ed Banger の違いについて 「似た音楽をリリースしているとは思えない。Ed Banger では若くてフレッシュなフランスのアーティストをプッシュしていて、Kitsune は大きなクラブにお金を出して、レコードをたくさん売っている」とかなりキツいコメントをしていましたが、ずばり、お二人はライバルなのでしょうか?

Gildas : さっき言ってたのはそういうことなんだ。有名になることは悪いことで、お金儲けするのは良くないって思う人はいるのさ。でも、僕はそういうスタンスじゃないんだ。全くね。いい音楽をクリエイトし続けていれば、ポップでコマーシャルなことをして、レコードを売ったっていいと思うんだ。フードを被って、洞窟の中でたった5人の前で演奏しているからって才能があるとは言えないのさ。ただ Ed Banger だって本当にインディーとは言えないよね。だって彼らには Justice がいるじゃないか(笑)。彼らのファンだって決して少なくないはずだよ。

Skrufff : Pedro とは今でも友達なんですか?

Gildas : もちろんさ。今でも一緒に Daft Punk の仕事をしてるよ。もちろんすべてにおいて意見が一致するわけじゃないけどね。Ed Banger と Kitsune は異なった見解を持つレーベルなんだ。傍から見れば結構面白いと思うんだよね。Pedro はアーティストや流行を発掘して発達させることに集中していて、その一方で僕はコンピレーションや単発のレコードに力を入れているんだ。

Gildas Interview

Skrufff : 今フランスは特にクリエイティヴな時期を迎えていると思われますか?

Gildas : いいや、そうは思わないな。僕はフランスからは常にクリエイティヴな音楽が生まれて来ていると思ってるよ。2年前、FACT magazine でフランスの音楽シーンが盛り上がっているという内容の特集を読んだんだ。その記事には、新しいフランスの音楽革命について、それからフランスの新しいサウンドについて書いてあったんだ。それに、去年の4月にも、また雑誌で新しいフランスの音楽についての特集を見かけたしね。フランスでは、常にいい音楽がプロデュースされ続けてると思うんだ。ただそれがメディアで露出するかしないかだけなのさ。流行って廻るものだと思うんだ。イギリスでは特にね。6〜7年前、イギリスではブリットポップが流行っていて、それにメジャー・レーベルも飛びついたよね?それと同じさ。ただ、フランスでは常にいいプロデューサーが活躍していると思うよ。

Skrufff : なぜフランスではイギリスやドイツのようにメイン・ストリームのクラブが発達しなかったのでしょうか?

Gildas : 残念だけど、フランスのパリを除いた都市…例えばモンペリエやトゥールーズ、ナントには、リーズやリヴァプールまたはフランクフルトやミュンヘンにあるような、大きくてきちんとしたクラブが無いのが事実なんだよね。理由は分からないけど。

Skrufff : Kitsune の音楽はフランス国内より、国外で受けが良いと思われますか?

Gildas : 僕らのビジネスの 95% は国外で成り立っているんだ。国内でもパリ以外ではほとんどレコードも売れてないよ。

Skrufff : ミニマルのレコードをリリースする予定は無いですよね?

Gildas : いいや、ミニマルは好きじゃないんだ。理解できないし、一度も面白いと思ったことが無い。でもそれは個人の好き嫌いの問題だからね。シーン自体に反対する気はないよ。さっきも言った通り、流行の廻りだと思うんだ。イギリスではミニマルの人気が大きくなり続けているみたいだよ。もちろん僕たちも好きなトラックもあるけど…ミニマルに関してはそれだけかな。

Skrufff : 最近のレビューで Switch が「ヒップ・ハウスをシーンに呼び戻す」と話していましたが、ヒップ・ハウスは新しいトレンドになると思われますか?また、ニュー・レイヴはどうですか?

Gildas : ニュー・レイヴは、今になって KLF みたいな ‘90年代の音楽を聴き始めた14〜15歳くらいの子供たちで作られている流行だと思うんだ。いいと思うよ。きちんとしたシーンだとは思うけど、今後どうなるかは分からないな。Klaxons はすごく面白いバンドだと思うけどね。楽曲に UK パンクや UK ハッピー・ハードコアをミックスしたりして、スタイルもすごく新しいと思う。でも同時に彼らはポップだし、きちんとした歌が入っているから売れるんだと思うしね。

Skrufff : 今までコンピレーションに収録したバンドの中で、次の Daft Punk と呼べるようなバンドはいますか?

Gildas : 昔と比べてマーケットも複雑になっているし、状況も全く違うからね。Klaxsons はビッグになると思うけど、もしかしたら大きな人気が出るのはイギリスだけかもしれないね。

Skrufff : Digitalism はどうですか?

Gildas : う〜ん、そうだね。人気が出たらもちろん嬉しいさ!今度彼らがリリースするアルバムが Daft Punk のようにメジャーに通用する素質を持っているかどうかを確認しなきゃならないけど。’One More Time’ はいろいろな要素が合わさってのヒット作品なんだ。それに、当時と今では事情が違うからね。物事の動きが早すぎるから、バンドを育てる時間も少ないんだ。だからかなり難しいよ。

ただ、もちろん彼らにはブレイクして欲しいさ。Chemical Brothers や Basement Jaxx といったバンドが大ヒットしてから、かなり時間も経っているしね。各国のフェスティヴァルも新しいエレクトロニック系のバンドを欲しているんだ。その点でも Digitalism が成功する可能性は高いだろうね。エレクトロニック・ステージに新しいバンドの名前を加えたいフェスティヴァルは山ほどあるんだ。実際彼らはレコードを数枚出しただけなのに、既に大きなフェスティヴァルでプレイしているしね。昔じゃそんなことは考えられなかったと思うよ。

Kitsune Maison 3 は好評発売中


End of the interview

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