HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Dennis Ferrer Interview

11月8日に STUDIO APARTMENT 主宰のレーベル Apt. からニュー・アルバム “The World As I See It” のリリースが予定されているジャマイカ出身のハウス・プロデューサー Dennis Ferrer。大御所 Kerri Chandler にその才能を見出され、その Kerri Chandler や Jerome Sydenham らとのコラボレーションを通して、シーンでの地位を確立していった彼のファースト・アルバムには、'Church Lady' や'Underground is My Home' といったすでに世界中のフロアを沸かせているヒット・トラックが含まれており、ハウス・リスナーの間では大きな話題となっている。

そんなアルバムのリリースを目前に9月に予定されていた来日公演は残念ながら体調不良のためにキャンセルになってしまったものの、来日を楽しみにしていたファンのために、今回特別に Dennis が HigherFrequency メール・インタビューに応え、近況を語ってくれた。

> Interview by Nick Lawrence (HigherFrequency) _ Translation by Kei Tajima (HigherFrequency) & King Street Sounds _ Introduction by Kei Tajima (HigherFrequency)

triangle

HigherFrequency (HRFQ) : はじめまして!インタビューのお時間を頂きありがとうございます。お体の具合はどうですか?

Dennis Ferrer : 今は随分具合が良くなったよ。 どうも有り難う。こういった事が自分の身に起こるまで、どれだけ人生が大事か気がつかないものだね…。

HRFQ : 新しく設立されたレーベル Objectivity では、どのような音楽の展開を考えられているのですか?

Dennis Ferrer : Sfere と似たような方向性になると思うよ。つまり、現在リリースされている他のレコードとは多少違うということ。 他のレーベルとの仕事として作る作品よりも、多少エクスペリメンタルな要素持った作品のフォーラムとなると思う。だからレーベルの名前も ObjeKtivity になったわけさ。

HRFQ : 今後リリースが予定されているニュー・アルバム “World As I See It” からのシングル・カットとして、 ‘Change The World’ 、’Underground In My House’ の2曲が King Street からリリースされていますが、これらの楽曲はアルバム全体のカラーを象徴した楽曲だと言えますか?それともこちらが予測できないような驚きの仕上がりになっているのでしょうか?

Dennis Ferrer : 驚きの仕上がり…どうかな? いつも自分の思うままにやるようにしていて、それが多少他と違うものになればラッキーという感じかな。 様々なジャンルの音を詰めたアルバムなので、驚く人もいるかもしれないね。テッキーな物は結構多いよ。今のシーンとリンクしているかもしれない。

HRFQ : オリジナル作品と制作する際と、Blaze や Reel People をはじめとする人々の楽曲をリミックス際のアプローチの違いを教えてください。

Dennis Ferrer : 僕のアプローチは、アプローチを特にもたないということ。意味が分かるかな?たとえリミックスでも、自分自身の音にするように心がけているのさ。トラックって、オリジナルを作った人だけのものではないと思うんだ。 だから作業する時は「これは僕のトラックだから、格好いい音にしてやる!」って考えるようにしてるのさ。こういうアティテュードでいないと、音作りに妥協することになってしまう。 最終的には自分の手がけた作品で判断されてしまうから、全てを自分自身のものにしないとね。

HRFQ : 現在のニューヨークのシーンについてはどうですか?健全だと思いますか?

Dennis Ferrer : みんな「シーンは変わってしまった」って言うよね。でも、全てのものは変わる運命にあるんだ。同じままでいるものなんて何も無い。良いか悪いかの問題じゃないんだ。ただ「変化した」と言うしか無いんだよ。だから自分たちも変化に付いていく努力をしないと。 確かにシーンは以前よりアンダーグランドになったし、クラブ・シーンは以前と同じでは無い。それにレコードの売り上げは下がっている。でも、これはハウスに限らず音楽業界全体に対して言えることだし、音楽をちょっとした捌け口として欲しがる人々が存在する限り音楽自体は無くならない。だからそれを与える人がいなくてはいけないんだ。

クラブについては、以前までお気に入りの場所がいくつかあったんだけど、今ではどの場所も素晴らしいと思えるようになったよ。雰囲気によるんだよね。 クラブに入った時の印象があまり良くなくて、「今日のギグはダメそうだな…」なんて思っても、それがとても素晴らしい夜になることも多いしね。クラブに行く時に先入観をもっていてはダメだと思う。ある意味、ロットみたいなものだね(笑) クラブについては、以前までお気に入りの場所がいくつかあったんだけど、今ではどの場所も素晴らしいと思えるようになったよ。雰囲気によるんだよね。 クラブに入った時の印象があまり良くなくて、「今日のギグはダメそうだな…」なんて思っても、それがとても素晴らしい夜になることも多いしね。 クラブに行く時に先入観をもっていてはダメだと思う。 ある意味、ロットくじみたいなものだね(笑)

Dennis Ferrer Interview

HRFQ : ‘90年代から音楽を作り続けているのにも関わらず、未だに“アップカミング・プロデューサー”と呼ばれることがありますね。それはネガティヴなことだと思いますか?

Dennis Ferrer : そうだね(笑)。でも、ネガティブだとは思わないよ。僕のレコードを気に入ってくれた人が僕の過去を遡って「このトラックも君のだったのか!」なんてことは多々あるしね。ただ、そういうことでモチベーションが上がったりするんだ。常に自分の作品をよくしようと心がけているし、後ろを振り向かず前を見ていたいと思っている。だから今まで僕のことを知らない人がいたとしても、僕は常に前へ進み続ける。まさに“アップカミング”なプロデューサーというわけさ(笑)

HRFQ : “アップカミング” といえば、今回のアルバムに若干14歳&17歳の兄弟ユニット Martinez brothers をフィーチャーされていますね。ハウス・シーンの若いタレントをサポートするということは、あなたの目標でもあるのでしょうか?

Dennis Ferrer : 初めはそういうつもりじゃなかったんだ。でも、Kerri Chandler は僕に色々な意味でドアを開けてくれた。彼はハングリーでディレクションが必要だった若い僕にポテンシャルを見いだしてくれて、ドアを開けてくれた。でも、その後どうするかは、彼では無く僕に全てかかっていたんだ。 Martines Brothers は偶然 Myspace を通して僕にコンタクトしてきたから、「もしミックスCDを送ってくれたら僕の Shelter でのスポットでDJしても良いよ」って伝えたんだ。ある意味 Kerri が僕にしてくれたことを彼らにしてあげたのさ。彼らは今レコードを作ってるんだ。凄くいい奴らで、まるで僕の甥みたいな感じだけど、彼らが努力をするしかないんだよね。 Kerri が「僕が出来るのはドアを開けることだけ。ドアを通り抜けるのは君だよ」って僕に言ったようにね。

HRFQ : その Kerri Chandler から受けた音楽的な影響とは何だと思いますか?

Dennis Ferrer : 当時はお互いに影響を与えていたと思うよ。フレンドリーな競争のよう名感じで、お互いの上を行こうとしていたから。 競争心っていうのは素晴らしいモチベーションだからね。 当時スタジオでは、「奴がこれをやったのか? だったら俺もドラムをやり直さないと!」って感じだったんだよ(笑)

HRFQ : 現在でも Jerome Sydenham との交流はありますか?

Dennis Ferrer : Jerome もまだファミリーの一員だよ。僕たちのヒストリーは長過ぎるから、関係が変わることは無いよ。 今は彼とそんなに頻繁には会わないけど、でもコンタクトは続けているよ。

HRFQ : レーベルの A&R として楽曲を探す際、またはアーティストとしてコラボレーションする相手を探す際に、決め手となるポイントとは何でしょうか?

Dennis Ferrer : プロダクションのクオリティーだね。具体的に言うと、アレンジとソング・ライティングの才能。ヒットで無くてもいいんだ。レコードを買ってくれる人が、「騙された!」と思わないことが大事。テクノロジーは素晴らしいけど、同時に多くの人を怠け者にしてしまったとも思う。ビートを作って、ベース・ラインを加えることがレコードの全てでは無いはず。作品をタイトにしないと。ソング・ライティング、ストラクチャー、ミックスなど全てを学ばないといけなんだ。 例えば、ハンマーを買ったからと言って、その人が家を建築することができるはずないだろ?(笑)

HRFQ : 最後に、残念ながらキャンセルとなってしまった今回の来日ギグを楽しみにしていた日本のファンにメッセージをお願いします。

Dennis Ferrer : 今回は本当にごめんなさい。人生においては、自分ではコントロール出来ないレベルの力が働いてしまうこともあるものだね。次回日本に行く時は楽しいギグにしたいと思っているよ。皆さんの健康が守られるように祈っています。 お金では健康は買えないからね。 ”One Love and Piece”

End of the interview

関連記事


関連リンク