HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Craig Richards

'99年にオープンしたロンドンのスーパー・クラブ Fabric で、オープニングから毎週土曜のメインルーム・レジデントに君臨し続けるUKシーンの巨匠、Craig Richards。さらにディレクターをも務める、いわば今日の "Fabric ブランド" を築き上げた張本人である。'97年、Sasha, Lee Burridge と共にユニット Ttrant を結成し、また Sieg Uber Die Sonne, Silicon Scally, Scsi-9, Soul Capsule 等の楽曲をリリースする同名のレーベルも主宰。以前から画家、写真家、そしてグラフィック・デザイナーとしても活躍していた彼は近年、敏腕プロデューサー/エンジニア/リミキサーとして名高い Howie B と、アートとDJの境界線を曖昧にする、まるで別世界の音響コラボレーションを実現し、現在も様々なプロジェクトを進行している。そんな多忙を極める彼の来日公演が、実に4年ぶりに実現されることとなった。

貴重な来日を間近に控えたこのインタビュー。さすが納得の、極限までに追求された音楽哲学が感じられる、とても興味深い内容となっている。

Interview & Translation : Seiji Hitomi (HITOMI Productions)
Introduction : Midori Hayakawa (HigherFrequency)
In cooperation with RealRockDesign

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-- 実に4年ぶりの来日ですが、あなたが日本に帰ってくるのを心待ちにしていました!その間はどんな感じでした?

C.R (Craig Richards) : この4年間はツアーを減らして、スタジオでより時間を費やした。音楽制作とビジュアルアートのために。ツアーの疲労もかなりたまっていたしね、。やっぱり疲れている時は、クリエイティヴなことをしたり色んなディレクションをするのは本当に難しいから。。制作は、Howie B といくつかのプロジェクトに取り組んだよ。もうすぐ二人のシングルとアルバムもリリース予定だ。Howie のポエトリーと私のイラストが描かれた本がセットでリリースされると思う。"TRUE GRIT"名義で今年の年末頃にはリリースされることを願っているよ。ちょうど今そのLIVE用のリハーサルも重ねているところなんだ。あと、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの講師とも音楽プロジェクトを進めている。William Burroughs と Malcolm Mcclaren と共に手掛けているのは、ロイヤル・アカデミーで開催される "QUIET PLEASE" と、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館で開催される "QUIET PLACE" - シンセと4台のタンテと4台のCDプレイヤーを駆使した、アートとDJの境界線を曖昧にする、まるで別世界の音響コラボレーションなんだ。瞑想的で、鎮静的で、驚異的…複数の折り重なるサウンドがオーディエンスを覚醒と睡眠に追い立てるだろうね。インドとNYでのショーも予定しているよ。こういった経験は、アーティストとしての自分へのトレーニングになり、またクラブ環境における自分のDJや制作、ディレクションに共鳴するんだ。Fabric でのレジデンシーは自分の定位置で、そういったプロジェクトはまた違った神経を使う感じだね。

-- ここ数年、日本のクラブシーンも沢山変化がありましたが、ロンドンのクラブシーンはどうでしょう?例えば、音楽のジャンルやパーティ、クラブなどは?

C.R : ロンドンは常に進化している。イリーガルなスモール・パーティが面白い場所で開かれ、新しいクラブも出来続けている。こういった状況がシーンを活かしている。競争はいいことで、ナイトクラブに行くことは我々ロンドンのカルチャーにおいてとても大きなパートを占めている。選択の幅も広い。変わらず”現場”の音楽はエキサイティングだよ。人々は楽しみを求め出かける。これは止められない自然な状況で、市の警察や政府もサポートしてくれている。私達は本当にラッキーだよ。

-- ここ数年の特筆すべき点として、多くの楽曲リリースやDJがアナログからデジタルへ変化しました。この変化がもたらしたメリット/デメリットを挙げるとすれば?

C.R : 個人的には、この変化にメリットを感じない、。まず私の音楽に対する一番大事なポイントは”音質”だ。便利さよりも質を重視している。私はレコードを30年間プレイし続けている。レコードを愛し、ジャケットを愛し、あのバイナルの感じが好きなんだよ。ツアーにもレコードと針を持ち運ぶ。レコード店も大好きさ。レコードとその回りのもの全てを愛しているんだ。ジャズ、ブルース、レゲエ、ファンク、ディスコ、テクノ、ハウス、、私は色んなジャンルのレコードの熱烈なコレクターだよ。レコードは温かく美しいエネルギーを与えてくれる。けど、これは、私の個人的な意見だけどね。

-- あなたは今もアナログやCD中心のDJスタイルですか?そうであれば、アナログにこだわる理由は何でしょう?

C.R : 今も変わらずほとんどレコードを中心にプレイしてるよ。少しだけCDも。ツアー用に沢山の古いレコードをCDにコピーもしてあるよ。最近のCDプレイヤーはかなり質も良くなっているよね。基本的にレコードがベストなフォーマットだ。やっぱり音の鳴りが違うから。

-- あなたと言えば、やはりロンドンのレジェンダリー・クラブ Fabric を想像する方も多いと思いますが、Fabricは今年ちょうど10周年を迎えますよね。その間、あなたがレジデントDJ兼ミュージック・ディレクターを続けてきた中で、音楽的コンセプトや成功の秘訣などがあれば教えてください。

C.R : そうだね、Fabric が誕生し私がレジデントを始めてからもうすぐ10年になる。この間、少しのツアーを除いてほとんど毎週土曜の夜にプレイし続けてきた。Fabric オープン時から、音楽的コンセプトの設定からディレクション、自分がいつ何を回し、誰をゲストに呼ぶか、など全てを任されてきたんだ。サウンドシステムにもこだわり続けてきた。Fabric の成功は、アンダーグラウンド・ダンスミュージックの発展にも確かに寄与していると思う。ただ、成功への本当の鍵は計画的にあったものではない。

Craig Richards

-- 世界のトップDJやアーティスト達が Fabric には沢山出演していますが、彼等を毎週土曜の Fabric にブッキングする際のポイントは何でしょう?また、その競演したDJやアーティストがあなたに与えた影響はありますか?

C.R : ブッキングには Fabric を運営している人々の熱意が象徴されていると思う。我々はクラブに対してとても情熱的に取り組んでいるからね。最大限の信念と音楽への愛情をもっていつも進めている。あと、常に新たな才能の発掘や起用を心掛けているよ。確かに多くのアーティストからいい影響をもらっている。長年、沢山の素晴らしいDJやアーティスト達と共演してこれて自分は本当にラッキーだよ。DJとしての姿勢やパーソナリティ、そして勇気、フロア/クラウドに対する(曲の)かけ方。DJとは(私自身のように)型にはまったステレオタイプを嫌う傾向にあり、音楽への愛がエネルギーを生むものだってことをね。その愛情が全ての基本になっているんだ。もし具体的に名前を挙げるとするならば、Ricardo Villalobos、Andrew Weatherall、Spencer Kincy、Octave one、Anthony Rother、Green Velvet…まだまだいるけど、ここで書ききれないよ。(笑)

-- 今後のあなたの計画や展望について教えてください。音楽分野以外にもアートやファッション方面でも何かあれば。

C.R : 将来への具体的な計画はないけど、今まで進んで来た道を突き進んでいくつもりだ。しいて言うなら、より楽曲をリリースしたり自分のペイントをより世に出していくことかな。常に学び、絶えず奮い立たせることはこれからも変わらないと思う。

-- 世界最前線のあなたのDJプレイを本当に楽しみにしています。最後に日本のファンにメッセージをお願いします!

C.R : 東京で再びプレイすることが待ちきれないよ!過去に日本を訪れた経験全てがアメージングだったから。オーディエンスは温かく感受性豊かで、理解と知識があるよね。DJにとって、そんな素晴らしいオーディエンスのいる環境で回せることはこの上ない喜びだから。

End of the interview




HITOMI Productions & RealRockDesign proudly present "DANCESHIP"
2009年6月13日 (Sat) @ UNIT _ 23:30〜
Door : Y 4,000 _ Adv : Y 3,000 _ W/F : Y 3,500

【UNIT】 -DANCESHIP02-
DJ :
Craig Richards (Fabric / UK)
Tech Booty Funk (Redbox)
Ryo Tsutsui (Weekend Warriorz, Eden)

VJ : RealRockDesign, Spike-Bloom

【SALOON】 -Primitive Sound Camp 02-
DJ :
Ita vs. 料理 (Side B, Primitive)
Premier a.k.a Kon vs. Pg (Primitive, Bon)
Aki vs. Shingo (Primitive, PsyAeen)
Shomi vs. Timo (ELEkTROch7, Tokyo Galaxy)



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