HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

スペイン随一の人気と実力を誇るテクノ・プロデューサーで、’99年辺りからハード・テクノの名門 Primate や、 Carl Cox の Intec Records、さらには自身と Marco Bailey とで共同運営している Pornographic Recordings などから次々とフロア・ヒット作を放ってきた Cristian Varela。 DJとしても3〜4デックス・スタイルの驚異的なスキルで世界中のフロアを沸かせ続け、’07年の Ibiza DJ Award ではベスト・テクノDJに選ばれたほどの実力を兼ね備えている。そんなテクノ界のトップ・スターが昨年の12月、盟友 Q'Hey 氏との共演を盛り込んだスペシャルな来日プレイを果たす直前に HigherFrequency がインタビューを決行。 Ibiza DJ Award 受賞での感想や、4デックスDJの内容、最近世に出たセルフ・レーベル Pornographic Exclusive についてなどを和やかな趣きで語ってくれた。

Interview : Ryo Tsutsui (HigherFrequency) _ Len Iima (HigherFrequency) _ Introduction : Masanori Matsuo (HigherFrequency)

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HRFQ : 今年 IBIZA DJ AWARD でベストテクノ DJ に輝かれましたが、どのように感じてらっしゃいますか?

Christian Varela : とてもうれしいよ。この賞を獲得したことによって大きな信頼を勝ち取ることができたと思うし、自分自身にも自信を持つことができた。僕にとってとても重要な出来事となったよ。

HRFQ : あなたはこれまで Leandro Gamez や Bando といったスペイン人のアーティストと積極的にコラボレーションEPをリリースされてきていますが、彼らとはプライベートでも旧知の仲なんですか?

Christian Varela : そうだね。彼らは若いころからの友達でたくさんコラボレーションもしてきたし、 DJ でもスペインやヨーロッパでたくさん共演してきた。彼らはいい友達だし、プロデューサーとしても働きやすい相手だよ。

HRFQ : あなたは Bando や Cristian Smith といった人たちとターンテーブル4台を使った4deck セッションをやられているそうですが、一人でプレイされるときとの違いを教えてください。

Christian Varela : 一人でプレイするときはパーソナルなセットになるから自分の好きにプレイするし、時によって大体どういう感じになるのか予想できることもあるけど、誰かと一緒にプレイするとき、例えば毎年イビサでやるんだけど、 Cristian や Chris Liebing とか Carl Cox なんかとプレイするときは一体何が起こるか予測不可能だからそれが面白いね。僕は大好きだよ。

HRFQ : そういうときは普段よりアグレッシブにプレイされたりするんですか?

Christian Varela : アグレッシブというよりはセットにパワーを与えたいと考えているんだ。セットがディープになっていって多少睡眠的になっていくときなんかに、そこにパワーやダイナミズムを与えるのが好きだね。

HRFQ : 4deck セッションのときはマスターミキサーは誰がコントロールするんですか?

Christian Varela : それは常に僕がやっている。僕は14歳のころから一人で 4deck を操っていたから、どのようにサウンドをコントロールすればいいか熟知しているんだ。他の人がプレイしているときにでしゃばらずに相手に時間を与えることも知ってるしね。僕と一緒にプレイする人はみんなメインミキサーを僕に任せてくれるんだ。僕は4deckに関してはよく心得ているからね。

HRFQ : スペイン本国ではハードテクノをプレイされることもありますし、一方ではラジオなどでスムーズなチルアウトセットを披露されていたりもしますね。 DJ がその町やシチュエーションに応じてプレイすることは重要だとお考えですか?

Christian Varela : そうだね。僕も大体テクノをプレイしているけど、例えばスペインだと真ん中より北に行くととにかくハードテクノっていう感じで、南にいくとテクノとかファンキーテクノ、ミニマルだったり、エレクトロなんかもプレイする。普通は小さなクラブの方がミニマルテクノやエレクトロハウスという感じでフェスティバルや大きなクラブだともっとハードテクノよりという感じ、箱や場所、町によって違うんだ。スペインだと一般的にテクノが盛んなんだけどね。

HRFQ : ハードテクノともう少しミニマルよりなものとどちらが好きですか?

Christian Varela : 個人的にはファンキーテクノが好きだし、3,4時間のロングセットをするのが好きだね。テックハウスやミニマルでスタートしてファンキーテクノになっていくという感じ。4,5時間プレイできるときは最後の45分程度は少しハードなものもプレイするかな。

HRFQ : 最近 Amato や 3beat といった大きなディストリビューターが倒産し、ここ日本でも有名なレコード店がクローズを余儀なくされていたりします。こういった現在のシチュエーションにはどのようなご意見をお持ちですか?

Christian Varela : 一方ではとても厳しい状況だと思うね。基本的に大多数のレーベルがヴァイナルを作っているし、僕もそうだけどヴァイナルが好きだしね。今は音楽業界の経済状況が大きく転換しているときだし、今もヴァイナルをやっているレーベルにとっては厳しい状況さ。一方ですでにデジタルダウンロードにマーケットを移しているレーベルにとってはいい状況だともいえるね。こちらはディストリビューションも要らないし、在庫も抱える必要もないしね。トラックを制作して、コンピューターでアップしておけばいいんだから、デジタルだとコストをかなり抑えることが可能だよね。とにかく今世界は変革していて、ぼくらはそれに適応しないといけないわけで、それはいいことでもあると思うし、悪い部分もあると思うかな。

HRFQ : あなたは最近、新しくセルフのレーベルの Pornographic Exclusive をラウンチされましたね。これはオリジナルの Pornographic レーベルとはどのように違うのですか。

Christian Varela : それはみんなが Pornographic をテクノのレーベルとして信頼してくれているなかで、一方では音楽が変遷しているからだね。数年前はそれぞれのスタイルがもっと別々だった。テクノはテクノでハウスはハウスという感じだったけど、今はもっと融合しているよね。テクノとミニマルだったり、エレクトロとハウスだったり、僕はこの変化は一般的にはダンスミュージックをもっと豊かにしていると思うし、いいことだと思うんだ。だから Pornographic Exclusive ではもっとそういったことをやりたいと考えている。ただPornographic で培ってきたテクノのスタイルは壊したくなかったから別名義として Pornographic Exclusive をはじめることにしたんだ。両方とも Marco Bailey と僕でやっているんだよ。

HRFQ : 2008年のあなたのスケジュールを教えてください。またあなたのハウスサイドのプロジェクト Carlos Dulan では何か予定されていますか?

Christian Varela : 最近はCarlos Dulan ではもっとミニマルやエレクトロなスタイルでプレイしていて Christian Varela ではテクノをプレイしている。2008年に関してはいろいろと大変な年になりそうだな。というのはアルバムをリリースする予定となっているんだけど、それはエレクトロニックとは別物のクラシック音楽のアルバムなんだ。作曲、オーケストラレーション、プロデュースを僕が自分でやっていて、少しだけエレクトロニックのリズムが入ったクラシック音楽になる予定だ。コンサートではそれにレーザーや3Dホログラムやコンテンポラリーバレーも加えたものをやる予定で5月からやるんだ。だからDJブッキングとアーティストとしてのコンサートスケジュールの両方をこなさなくてはならないから2008年は忙しい年になりそうだよ。今回のショウは僕にとって初めての試みで、今回のようなクラシカルな音楽を作曲するのは子供のとき以来なんだけど、僕の音楽的な側面も見せたかったんだ。

HRFQ : それでは最後に日本のファンに一言メッセージをお願いします。

Christian Varela : 僕は日本に来ることをすごく楽しんでいるし、日本のみんなとの関係が長く続くことを期待してるよ!

End of the interview

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