HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Carlos Manaca


スペインやポルトガルで盛り上がりを見せるトライバル・ハウスとプログレッシブ・ハウスとの融合をいち早く表現し、妥協を許さないサウンド・セレクションと渋いアーティスト・チョイスで、東京のクラブ・シーンの中でも特に硬派な存在として異彩を放ってきた WOMB のレジデント・パーティー Session。そのレジデントDJ として活躍する Tommy Wada 氏をインタビュアーに迎え、ウエブ業界の"硬派"を自認する(?) HigherFrequency と"Session"がコラボレートしていく"硬派"なインタビュー・シリーズ、それが"Talk SESSION Series"である。

その4回目に登場するのは、ポルトガルより良質なトライバル・トラックをリリースし続ける Magna Recordings の主宰 Carlos Manaca。01年、Chus & Ceballos とのコラボレーション"The Strong Rhythm" (Stereo Productions) が Deep Dish の"Global Underground"に収録されるなど注目を浴び、その後も DJ Vibe らと共にポルトガルのシーンを牽引するベテランDJだ。

> Interview : Tommy Wada (Session) _ Translation : Eri Nishikami

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Tommy Wada (以下TW) : 日本は初めてですよね?

Carlos:そうだね。

TW : 日本のクラブシーンについてどんな事を聞きましたか?

Carlos :いろいろポジティブなことを聞いたけど、例えば、日本人は本当にパーティ好きでかなりの音楽好きでもあるってこととか、いいクラブもいっぱいあるとか聞いたことがあるよ。だから楽しみだね!

TW : 今夜のパーティのコンセプトは"プログレッシブとトライバルの融合"ですがどう思われますか?

Carlos:以前はややハウスよりの音をプレイしていて、今はもっとハードな音をプレイするようになったんだけど、このあたりの音自体はずいぶん前から好きだったから、僕にとってこの質問に答えるのは難しいな。 但し、スペインとかポルトガルとか、僕がよくプレイするところでは、それがどういうサウンドなのかっていうことは、僕自身よりオーディエンスのほうがずっと理解しているんじゃないかな。僕自身はレコードも気分次第で買っているし、今に比べたら少ないレコードでプレイしていた時期もあったけど、これまでもプログレッシブとトライバルのミックスを自然にプレイしてきたと思ってるからね。もちろんクラブによってだけど、やっぱり色んなスタイルの音楽が好きだからって言うのもあって、大抵ゆっくり目に始めて、それからハードな音に移行していって、また戻るって感じのミックスが多いんだ。ファンキーなハウスとか、テクノも一部は好きだし。とにかく、2〜3時間も同じ感じの曲はプレイできないね。それに、最近では「これがプログレッシブだ」なんてことをみんなが言い出してるけど、実際それが何なのかって聞かれるとちゃんと答えられないでしょ。とにかく、決め付けるのはあまり好きじゃないんだよね。よく「最近はトライバル・プログレッシブでエレクトロじゃなくなったな」とか言われるけど、人それぞれの捉え方はあるわけで、僕がハードハウスだって思っているレコードだって、他の人から見たらテクノかもしれないし。だから、「これは何のジャンルだ」って決め付けるのは難しいと思うんだよね。

TW : いろんな国に行かれると思いますが、例えば、ある国ではハード・ハウスと呼ばれているものが、他の国に行くと違うものだってことですよね。

Carlos :そう。ロンドンなんかでは、ハード・ハウスって結構プログレッシブ系だったりするんだ。逆に、軽い感じのヴォーカルが入ったプログレ系ハウスが、彼らにとってのハードハウスらしいんだよね。で、ポルトガルでは、あなた達の好きなハウスがハードハウスって呼ばれてるし。やっぱり国によって違うんだよね。

TW : さっきおっしゃったイギリスのハードハウスって言うのは日本でいう UK ハードハウスなんですよね?

Carlos:そうだね。でも、この辺の音がハードハウスって呼ばれてるって知らなかったからなあ。

TW : Tony de Vitみたいな感じですよね?

Carlos :そうそう。それだよ。最初にロンドンに行ったのが91年か92年くらいだったと思うんだけど、もっとハードなハウスを探してたんだよね。そしたら持ってきてくれたのが、あんな感じの音ばっかりでさ。どこの国にもそれぞれ考え方があるんだよね。

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TW : ヨーロッパ、特にイギリスではエレクトロとかミニマルなものに傾倒しつつあるようですが、ポルトガルではどうですか?

Carlos :僕の周りでも3〜4人かな、完全にエレクトロに行っちゃったDJもいるね。でも前に比べると… なんていうのかな、人に押し付けてるって言うのかな、わかるかな? 「これが流行ってるからこれを聞け!」みたいな感じになっているかもしれないね。エレクトロ好きな人もいれば、嫌いな人もいるでしょ。でも、最近始めたばかりのDJは、トレンドだからってエレクトロに行っちゃう連中も多くて、「この曲で踊れると本当に思うの?」って聞いたら「ん〜、でも、この辺をプレイしないとダメでしょ」なんて言うんだ。「ちょっと待てよ!」って感じだよ。自分がいいと思わないものが、他人に受け入れられるわけは無いと思うんだけどね。まぁ、モデルとかはテクノ好きが多いんじゃない?

TW : あと、セレブも。

Carlos :そうそう。でも、僕自身は、これ以上エレクトロが大きくなって、他の音楽の息を詰まらせることが無いように願ってるんだ。 もちろんエレクトロに対してもリスペクトは持ってるし、エレクトロ好きな人は結構多いのは知っているよ。ただ、僕が気に入らないのは、トレンドだからって押し付けがましくなってるところ。全ての音楽にチャンスがあるべきだと思うし、エレクトロ好きって、一人か二人のDJしか聞かないって人が多かったりするんだよね。とにかく、僕自身はエレクトロ・ムーブメントも、「エレクトロが最新で他はもう古いんだ」っていうイメージにも反対さ。まぁ、僕もDJを20年くらいやってるから、エレクトロがそんなに新鮮に感じないっていうのもあるかもね。だってあの辺りの音って、15年も前にかけてた音とそっくりでしょ。今、同じレコードかけてもなにも変わらないと思うよ。

TW : ところで、ポルトガルとスペインってやっぱりシーンに違いはありますか?

Carlos : あるね。スペインでハウスのムーブメントが始まったのって、だいたい6年位前だったと思うんだけど、ポルトガルでは12年くらい前のことで、それぞれ違ったサイクルにあるんだよね。国としてはスペインの人口は4500万人、ポルトガルは1000万人でポルトガルのほうが断然小さいわけなんだけど、ハウス・シーンに関しては、スペインのほうが5〜6年遅れてる感じかな。でも今ではスペインにもDJを招聘すれば超満員になっちゃうような大きなクラブもあるし、スペインの方がシーン自体は良いかも。あそこは有名DJをブッキング゙しなくても、レジデンスだけで盛り上がってると言うし。だから、シーン的にはスペインのほうがいいと思うよ。

TW : ご自身で持っているレーベル Magna のコンセプトは?

Carlos : 実は Magna と Magnetica レーベルの2つを持ってるんだ。Magnetica の方はハウス、ヴォーカルものなどをリリースするためのレーベルで、Magna でリリースできないようなトラックを発表している。実は、Villanova って言うアーティストの曲を契約した時、その曲がヴォーカルものだったから、Manga レーベルでは出せなかったんだよね。で、新しいレーベル作っちゃえってことで、Magnetica を作ってそこからリリースしたというわけ。好評だったよ。

Magna の方は、既にあまりにも色々な種類のものをリリースしちゃったから、コンセプトを語るのは難しいね。Paul Jays の "Spiritual Battery" っていうトラック(Magna 3)をリリースしたけど、この作品は一番良く売れたね。でも、Magna 4 "Kashmira"は、また全然違ったトラックだったりして…。とにかく、パートナーの Paul と僕が気に入るトラックで、僕らのコンセプトに合ってるものであることが一番なんだ。

TW : Paul Jays ですか?

Carlos :そう。ただ、Paul Jaysって名前はもう使いたくないらしくて、今は Paulo Rocha って名前でやってるんだけどね。とにかく、先ずは二人ともトラックを聞いて、僕がクラブでかけてみて、二人が気に入るトラックで無いとダメ。だからと言ってトライバルである必要もない。新しいエレクトロニカ系のトラックもあるし、例えば、僕自身のトラックでも、全くパーカッションを入れていない曲もあるからね。

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TW : セットにはまればってことですよね?

Carlos : まずは好きだってことと、どれ位伸びそうかってことかな。色々気に入るトラックが多いから、本当にリリースするのかどうかを良く考え直さないといけないことも多いよ。気に入ったトラックなら大抵上手く行くんだけど、やっぱりビジネスだからリスクを負わないといけないこともあるからね。まずは気に入ること。そして、上手く行って、更に伸びるっていう3つのファクターが重要ってことかな。もちろん間違うことだってあるけど、これまでその方法でやってきたし、これからも良いトラックをたくさんリリースしたいと思ってるね。

TW : 音楽のダウンロードは今の時代無視できないものだと思いますが、あなたのレーベルはどう考えていますか?

Carlos :ちょうど1カ月前に、ウェブからダウンロードできるようにはしたんだよ。この一ヶ月で400くらいダウンロードがあったかな。良い感じでしょ。僕たちのトラックをプレイしたい人には、出来る限り公正なオプションはあった方がいいと思ってるんだ。Magna の最初の頃にリリースされたトラックなんて、今じゃなかなか手にはいらないでしょ。それに在庫切れのトラックの5枚ほどあるし。そういうのが欲しいって言う人が結構いるんだ。 インターネットではフリーダウンロードが出来るものもたくさんあるけど、$1.50 払えば違法じゃないし、CDと同じくらいの音質の320 kbps でダウンロードできるのに、128kbps のMP3をダウンロードしようとは思わないんじゃないかな? 僕は少なくともそう信じてるし、最終的に気に入って買ってくれると思ってるよ。あと Beatort から1ヵ月半ほど前にオファーがあって、ここはトラックを売るには絶好のサイトだと思ってるからやってるんだ。 ただ、結局何枚売れたかって分からないんだよ。レコード屋に100枚売れば100枚分の支払いはあるけど、Beatport の売上管理のシステムは、ちょっと…って感じだから…。ただ、イギリスの Juno Records でも販売してて、ここはログインすると売上が分かるシステムになってるんだ。Beatport より良いシステムだと思うよ。Beatportでは「10枚売れました」って詳細が送られてくるまでわからないからね。しかもそれがあってるかどうかわからないし。

TW : ありがとうございました。

End of the interview


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