HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Caged Baby Interview

「半分エレクトロで、半分ディスコ / パンク・ロック」イギリス、ブライトン出身のユニット Cagedbaby の音をバンドのフロント・マンであり、ユニットのメイン・プロデューサーである Tom Gandey はこう表現する。Pet Shop Boys や Madonna といった80年代の音をこよなく愛するリスナーにとっては、たまらないミクスチャー感が受け、ヨーロッパを筆頭に注目を集めているこの Cagedbaby が、Norman Cook 主宰の Southern Fried Records からリリースしたデビュー・アルバム "Will See You Now"の発売を機に来日、Fujirock Festival '05 の二日目の夜、Red Marquee でギグを行った。

そのライブの直後、満員のクラウドを前にパフォーマンスを披露し、まだ興奮冷めやらぬといった感じの Tom に HigherFrequency がインタビューを敢行。ニュー・アルバムや気になるユニット名の由来などについて話を訊いた。

> Interview : Matt Cotterill (HigherFrequency) _ Translation & Introduction : Kei Tajima (HigherFrequency)

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HigherFreuency (以下HRFQ) : Fuji Rock はどうですか?こうして山の中にいるわけですが…?

Tom Gandey : スゴいの一言だね。かなりヤバい場所だと思うよ。冬にはスノーボードできる場所でプレイできるなんてすごすぎる。そういえば、僕の友達はクリスマスの時期なんかによくここにスノーボードしに来るって言ってたよ。雪の質がすごくいいみたい。

HRFQ : わざわざイギリスから苗場にスノーボードしに来てるんですか?

Tom : まぁ、正確に言うと、ライブで日本に来たついでに、オフをとってここまで滑りに来てるみたいだけどね。

HRFQ : 先程のギグでのリアクションはいかがでしたか?

Tom : そうだね。僕にも、僕のバンドにとってもこれが日本でプレイする初めての機会だったんだ。前回来日したときは、DJセットをしたんだけど、デッキの前に僕が何をプレイしてるのか見つめてるクラウドがたくさんいて妙な感じだったな。イギリスだったらクラブはもっと暗いから、そういう経験ってほとんどないからさ。だから僕にとって日本でプレイすることは、ある意味 "観られに行く"って感覚に近くてね。オーディエンスが常に自分が何をするのかを見守ってるみたいな感じかな。でも、同時に日本のオーディエンスってすごく礼儀正しいと思うよ。

それに、今夜は会場もパンパンだったしね。Towa Tei の後にプレイ出来たから、お客さんがいっぱい残っていてくれてよかったよ。それに、オーディエンスも僕たちの音楽にすごく興味を持ってくれたんだ。だから新しいファンもゲットできたと思うよ。ただ、拍手喝采で迎えられたはいいけど、そのあとすごく静かになってしまったのには驚いたなぁ。でも、クールなオーディエンスだったよ。素晴らしいオーディエンスだった。興味をもってくれたけど、きっと僕たちみたいな音はあまり聴いたことがなかったんだろうね。僕たちの音って、半分エレクトロで、半分ディスコ / パンク・ロック って感じでしょ?あんまりこういう音をやってるバンドっていないからね。

HRFQ : Cagedbaby という名前を選ばれた理由は何ですか?

Tom : ケージの中のホットな女の子って感じかな。ハハ!と言うのは冗談で、実を言うと、Cagedbaby はホットメールのアドレスとして使ってた名前なんだ。その前は Nail Bomb って名前にしてたんだけど、ロンドンの Nail Bomb (釘爆弾) 事件が起こってから、Cagedbaby に変えたのさ。僕のしゃべり方にも関係してるかな。ちょっとドモる癖があってね。ケージの中から一生懸命出ようとしてるみたいでしょ?

HRFQ : 音楽をつくり始めたきっかけについて少し話していただけますか?

Tom : 以前までは、ブライトンで漁業をしてる父を手伝ってたんだけど、23歳になった時に、毎日4時半に起きて魚を捕りに行かなきゃいけないっていう仕事にうんざりしてね。一年ほどオーストラリアに旅に出たんだ。そこで、いろんなことを学んで帰ってきて、「さて、どうしようかな?」って考えたというわけ。以前からずっとキーボードはプレイしていて、例えば Kylie Minogue のツアー・バンドとか、いろんなバンドのセッション・プレイヤーとしてプレイしていたんだけど、どのバンドでも大抵ステージの後ろでプレイすることになって、僕がプレイしていても誰にも気付かれないから、だったら自分のバンドをつくってやろうって思ったんだ。

自分で音楽をつくろうと思い始めたのは24歳の時だったね。そしてアルバムを完成させたのは26歳か27歳だったな。ゆっくり時間をかけてつくったんだ。そしてマイアミの WMC に行って、ちょうど Norman (Cook) がプレイしてるときにCDを渡したんだ。そうしたら Southern Fried Records から電話がかかってきて、アルバム・リリースの契約が成立したというわけさ。嬉しいことに、彼らと話をしている間にも、Columbia や EMI 、Virgin といったレコード会社からオファーをもらっていたんだよ。でも Norman のレーベルから出すことに決めたのは、彼がクールな人だったからなんだ。 。

HRFQ : アルバム "Will See You Now" にお伺いしていきたいと思います。素晴らしいアルバムで僕は大好きなんですが、作品のコンセプトについて少しお話していただけますか?

Tom : そうだね。"Will See You Now" ってタイトルは、例えば病院に言った時に 「The Doctor Will See You Now (お医者様がお呼びです) 」って言われるでしょ?僕は、長年いい音楽をつくるために努力してきたから、アルバムを完成させたときの気持ちが、そんな風に言われる気分に近いような感じがしたんだ。それはジャケットの写真にも関係してるんだけど、この写真は全部、僕の友達が1969年に行われた、初のGlastonburyで撮られたものなんだ。彼はプロダクション・チームの一員でね、その年に来場したオーディエンスの写真を撮っていたんだ。その中に、2人の牧師が煙草を吸ってる写真があってね。それをカヴァーに使ったんだけど、イメージは二人の牧師が天国のゲートに立っていて「Cagedbaby 、神様がお呼びです」って言ってくるって感じかな。要するにダジャレさ。

HRFQ : なるほど。面白いジャケットですよね。

Tom : そうなんだ。みんな僕が左の男で、Jimmy (キーボード) が右の男だと思うみたいなんだけどね。でもこれは僕たちじゃないんだ。この人たち…もしかしたらすでに死んじゃってるかもしれないけど、もし生きてるなら、e-mail で「オイ!この写真俺たちだぞ」って言ってきて欲しいなぁ。このジャケットのインスピレーションは、Norman のアルバム "You've Come A Long Way Baby " のジャケットから得た部分が大きかったな。すごい太った男が 'I'm No.1 so why try harder' ってTシャツを着てるやつがあるでしょ?実は、昔あのアルバムを買ったときは、あの太った男が Norman だと思ってたんだ。彼が Radio 1 のDJだった Zoey Ball と結婚するまで、誰も Norman がどんなルックスをしてるかなんて知らなかったしね。

HRFQ : 日本では、あなたの音楽はよく Royksopp や Mylo と比較されることがありますが、どんな音楽に影響されてきましたか?

Tom : Royksopp は大好きだよ。Royksopp も好きだし、Chemical Brothers も大好きだしね。個人的にクラブ・セットもするから、次にプレイする Laurant Garnier もすごく好きだよ。一人でプレイするときはハードなエレクトロ・チューンの上にピアノを重ねたりしてプレイすることもあるし、バンドの時は、もっと "ライブ・バンド" って感じのプレイをするから、影響を受けた音楽の幅はすごく広いよ。INXS や Rocky Horror、Fatboy Slim、Tina Turner、Lionel Richie … 興味のない音楽の方が少ないんじゃないかな。ただ、R&B と Hip Hop はあんまり聴かないね。ああいう姿勢ってあんまり好きじゃないんだ。ハッピーな雰囲気を持った、「何にも心配いらないよ」的な音楽が好きだからね。

HRFQ : 2005年の残りの予定はどんな感じですか?

Tom : 10月にはツアーをやっていて、クリスマスの時期には Bondi Beach とメルボルンで Norman のパーティーがあるから、オーストラリアに行く予定だよ。日本を出た後は、Manumission でプレイするためにイビザに出発して、その後はロンドンのFabric、その後はアイルランド、ローマ、マドリッド…それから北ヨーロッパでツアーをしてって感じかな。その後にさっきのオーストラリアでのギグがあるというわけさ。

HRFQ : 寝る暇もなさそうですね!

Tom : 最近はずっとこんな感じだよ。

HRFQ : トム、今日はお忙しいところ有難うございました。

Tom : 大丈夫だよ。こちらこそ有難う!

End of the interview

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