HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Ben Sims Interview

昨年末に Christian Smith とのコラボレートの元、2枚組Mix CD「Essential Underground Vol.07」をリリース、その斬新なセンスと超絶的なテクニックで世界中のオーディエンスに衝撃を与えたテクノシーンの雄 Ben Sims。シーンの期待を一身に背負うスーパースターに HigherFrequency の UK コンタクトである Megan Mann がインタビューを敢行。常にトップを走り続けてきた注目のアーティストがその近況を語ってくれた。

> Interview : Megan Mann _ Translation & Introducton : H.Nakamura (HigherFrequency)

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HigherFrequency (HRFQ) : 近況を教えてください。

Ben Sims : ロンドンで幾つかのパーティーを企画したり、週末はDJであちこちを旅したりと、相変らず忙しくしているよ。特に今年は、年明けから色んなアップダウンがあって、いま抱えているディストリビューションの問題では、自分のレーベルの今後の運営について改めて考え直させられることになったんだ(筆者注:彼のレーベルを手がけていたディストリビューターが倒産)。まぁ、全ては起こるべくして起こった事と考えているけどね。それに、ロンドンの Turnmills でスタートしたイベント「Split」もスゴク良い形でキックオフすることが出来たし、全体的には2004年はポジティブな年になるという感触を持っているんだ。

HRFQ : 今度出るニューアルバムはどんな感じになりそうですか?

Ben : 現在進行中ってところかな。実はこの作品、もうかれこれ5年ほど作業しているんだけど、やっとここへ来て形が見えてきたって感じなんだ。まったく何回スクラップにして最初からやり直ししたか分からないくらいだよ(笑)。でも、ようやく年内中にはリリースが実現しそうで(タイトルは Obsessions)、おそらくイギリスの Peacefrog から出る事になりそうなんだ。アルバムの中身についてだけど、ただ単純にストレートなテクノ系のトラックや、みんなが僕に期待をしているような音だけが収まっているようなものではなく、もっと「自分自身」を忠実に反映したものにしたいと思っているんだ。勿論、僕が「ある特定のサウンドを作る人間」としてみんなに認識されていることは知っているし、そういったハードなサウンドも収録するだろうけど、レーベル自体がそもそも幅広い感覚を持っているところでもあるし、今回の作品では定番のハード・グルーブ以外にも色々と試すことになると思うよ。

HRFQ : 最近行ったプレイの中で印象に残ったものは何かありますか?

Ben : 2003年の12月にオーストラリアで小さいツアーを行ったんだけど、その時はクールだったね。去年オーストラリアに行ったのはそれが2回目だったんだけど、幾つかのイベントで Carl Cox をサポートする事になったんだ。特にパースでのイベントは最高で、他にも Cypress Hill、Mickey Finn、Freq Nasty などが出演していて、幅広い層のお客さんもいたし、パーティー自体もレーシングコースみたいに盛り上がっていたから、本当に楽しかった事を覚えているよ。まぁ、最近では僕も色んな場所でプレイをするようになってきたし、イベント一つ一つに関しての記憶が徐々にハッキリしなくなってはいるんだけどね。いずれにしても、過去18ヶ月間はとても充実したDJ活動を行う事が出来たし、今は少し自分の時間を取り戻してリラックスしたいと考えているんだ。

HRFQ : 最近のヨーロッパにおけるダンスミュージック・マーケットの状況についてはどう思いますか?

Ben : MP3 ダウンロードという現実は本当にシリアスで、レコードの売上げも落ち込んできているし、状況はホント厳しいと思う。でも、音楽に対しての興味が薄くなった訳ではないし、いずれは新しいディストリビューションの方法が生み出されて、インディのアーティストやレーベルに対してもキチンとお金が供給されるようになるんじゃないかなと思う。ただ、全世界的に「ボタン一つでOK」みたいな感じにはなってしまうだろうけどね。今は、みんな「どうやって自分の音楽を売っていこうか」と考えている時期なんだろうけど、間違いなく今年中には何らかの答えが出ると思うよ。

HRFQ : 日本のクラウドについてどんな印象を持っていますか?

Ben : 日本はプレイするには最高の場所だね。エネルギッシュかつ熱心で、美しいクラウド達もいるし・・・。これ以上のものは望めないんじゃないかな。だから日本に行くのはとても楽しみなんだ。2004年の9月にはツアーで行く事になると思うよ。

HRFQ : あなたのフェイバリット・アーティストは誰ですか?

Ben : 本当にたくさんのお気に入りがいて、それは毎日変わったりするんだ。今日のところは、Carl Craig、Barry White、それに Arthur Russell と言ったところかな。

HRFQ : お気に入りの12inchを挙げてください。

Ben : 今のお気に入りは、Jeff Mills の「Condor To Mallorca」のケン・イシイ Remix かな。これは超限定のリリースで、テクノ・クラシックを素晴らしい形でリワークしたものなんだ。でも、今までの一番のお気に入りとなると難しいな。僕はいまだにヴァイナル・ジャンキーだし、お気に入りも毎日変わるからね。まぁ、今日のところはJVC Force の「Strong Island」の Blue ミックスかな。このアナログはずっと長い間探していて、最近やっと手にする事が出来たんだ。この曲のオリジナルは、僕が若い頃に聞いていたヒップホップのクラシック・チューンなんだけど、この Blue のミックスの荒削りな感じが大好きでね。いずれにしても、長い間探していたレコードをやっと手にした時の気持ちに勝てるものはないと思うよ。

HRFQ : あなたのキャリアの中でもっとも印象深かった事を教えてください。

Ben : Jeff Mills が僕のデビュー・シングルをプレイしてくれた事を知った時、そして Derrick May がセカンド・シングルをプレイしてくれたと知った時、あと、僕が NY の Limelight でプレイしている時に、Wu Tang Clan の ODB がフロアで踊っているのを見た時かな。

End of the interview

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