DJ KYOKO Interview

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おそらく、毎週末のクラブ・スケジュールのチェックに余念がない人であれば、彼女の名前を見たことがない人はいないだろう。その華奢でキュートなルックスとは裏腹に、年間150本ものパーティーに出演を果たしている DJ KYOKO。昨年は敢えてリリース活動を控え、現場での DJ に専念していたという彼女だが、このたび1年強ぶりとなるミックス・アルバム 『PAPER TRAIL OF NIGHTS』 を送り出した。

 

「紙に収めた夜の記録」とでも訳せるタイトル通り、本作にはツアー写真のコラージュやファンとの Q&A などが掲載された16ページのブックレットが付属している。こんなところからも、クラブの現場やそこで出会うファンに対する彼女の思いが感じ取れるはずだ。また、これまでのミックス CD と同様に、今現在の自分の DJ を反映させた内容になっているという本作は、彼女らしいスタイリッシュで華やかな雰囲気はそのままに、よりディスコ / ハウス的なアプローチへと傾倒。元々は日本におけるエレクトロ隆盛の勢いに乗って頭角を現した DJ KYOKO らしく、随所にインディ的なセンスも感じるものの、それも彼女の個性の一つとして楽しむことが出来る。

 

それにしても、「DJ 一筋」というストイックな印象の強い彼女だが、実際、本人の姿勢はもっとナチュラルで気負いがない。以下の対話を読むと、むしろ、ただ純粋に DJ をすることやクラブに行くことの楽しさを謳歌しているような部分が感じられるだろう。そして、それは、堅苦しくストイックなタイプの DJ には決して持ち得ない、彼女ならではのチャームなのかもしれない。

 

 

 

 

 

interview : Yoshiharu Kobayashi

――前回のミックス CD をリリースしてから1年強ぶりの新作となりますが、まずはこの1年くらいの間の活動を振り返ってもらってもいいですか?

 

DJ KYOKO : ミックス CD のツアーの時だけ DJ をやれるのは不本意だったんで、(ミックス CD を出さずに DJ を)続けてやるっていうことが、 実は去年のテーマだったんです。それは結構出来たかなと思いますね、ありがたいことに。ここ3年間くらいは、大きく本数は変わらずに継続出来てたかなと。

 

 

 

――去年はミックス CD を出さずに DJ に専念してましたけど、逆にその前は 『XXX』 というミックス CD シリーズを短いスパンで4枚出しましたよね。

 

DJ KYOKO : あのシリーズで元々やりたかったことは、1年で4枚出す、っていうことだったんです。っていうのも、大体3ヶ月で(自分が DJ で使う)曲がフルに変わるから、年間4枚ミックス CD を出すっていうのが、理想として思い描いていたことだったので。ただ、現実的に、CDを作る作業とかプロモーションとかのこともあって、4枚出すのに1年半掛かっちゃったんですけど。でも、それが自分の中でも最速だった感じもしてるし。

 

 

 

――考えてみると、3ヶ月に一回ミックス CD 出す人っていないですよね。

 

DJ KYOKO : それがやってみたかったんですよ(笑)。どんな感じかな~と思って。DJ って曲を作る人と違って、(ミックス CD を)作ろうと思ったら作れるところもあると思うんで。

 

 

 

――前にインタビューさせてもらった時は、その時その時の自分の現場での DJ を反映させたミックス CD を作りたいと言ってましたけど、その点については、今回のミックス CD 『PAPER TRAIL OF NIGHTS』 でも変わりませんか?

 

DJ KYOKO : そうですね。それ以外の作り方があんまりわかっていないのかもしれないですけど、そこのコンセプトは変わらないです。それに、ずっとそうなんですけど、ミックス CD だけで終わりとは考えていないんで。やっぱり、聴いて(現場に)来て欲しいと思っちゃう。クラブで観るのがベストな環境だと思いますから。だから、極力、今(現場で)かけているのに近いものを出して、来てもらって、っていう。でも、全部はその CD の曲じゃないから、「こういうのもあるんだ」って感じてもらえるのがベストですね。ミックス CD は、それの足掛かり的なものになればいいんじゃないかな、っていう気持ちは結構あります。

 

 

 

――なるほど。今の話を聞いていてもそうですけど、やっぱり昔から現場主義的なところが強いですよね。そのこだわりってどこから生まれているんだと思いますか?

 

DJ KYOKO : 楽しいからですね。うん、そんな感じです(笑)。

 

 

 

――例えば、家に籠ってのトラック制作よりも現場の DJ の方が楽しいポイントって何だと思います?

 

DJ KYOKO : 私が一番楽しいこと、一番やりたいことは、やっぱり DJ で。もちろん家でやるのも楽しいんですけど、お客さんがいると家で想像しているのと、ちょっと反応が違うし、場所に拠っても反応が違う。ハマる時もあったりハマらない時もあったり。家で一人でやってたら、個人的には全部ハマるじゃないですか(笑)。その違いが、現場の面白いところかなと思いますね。

 

 

 

――今回のミックス CD には16ページものブックレットが付いていて、そこにはツアーの写真がたくさん散りばめられていますよね。そういったところからも現場への思いは感じますし、また現場から自分自身が影響を受けている部分もあるんじゃないかと思うんですけど、そのあたりはどうですか?

 

DJ KYOKO : うん、やる場所が増えたりとか、何回も呼んでもらって顔見知りのイベント・クルーがいたりとか、そういうことでアップデートされている自分の部分はあると思います。それがあって今になっているのは、もちろんあるから。(DJ としてと言うより、)人としてすごい反映されているかなと思いますね。

 

 

 

――今回みたいにブックレットを付けて、ツアー写真もたくさん載せて、っていうのは自分から出したアイデアだったんですか?

 

DJ KYOKO : そうですね。ブックレットを付けて出したいっていうのがあったから、タイトルも 『PAPER TRAIL OF NIGHTS』 (紙に収めた夜の記録)になったんです。ただ、写真が全部使い切れなかったから、勿体ないなっていうのはあったんですけど。すごい数があったんですよ。(誰かから自分の写真が)「入ってない」って言われるとへこむ(笑)。早速、昨日言われたんですけど、すみませんでしたって(笑)。ツアーの写真っていう意識でいたから、地方の写真が多いんです。でも、やっぱり全部載せれなかったのは悲しいっていうか、勿体ないっていうか……。

 

 

 

――でも全部載せたら、ものすごいページ数になってしまうわけですよね? 

 

DJ KYOKO : そうなんですよ(笑)。でも、そのうちやってみたいな、コラージュして。zine (*ファンジン、ミニコミ的な冊子のこと)みたいな。あ~、それも面白そう! パーティー・フォト・ジン。うん、具体的に考えておきます。

 

 

 

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――じゃあ、今回のミックス CD の音楽的な部分のテーマを訊かせてください。

 

DJ KYOKO : 選曲を始めるのがリリースから数ヶ月前になっちゃうんですけど、ここ数ヶ月は自分の中でだいぶ90’s ハウスがブームなんです。Todd Terry とか好きですし。それは結構出てるかなと思いますね。それと、前からそうなんですけど、ネタものとかも好きで。今回に関しては、(Pierre’s Pfantasy Club の)“Mystery Girl (Set Me Free)” とかがそうですね。

 

 

 

――そんな風に自分の中でハウス・ブームになったきっかけって、何か思い浮かびますか?

 

DJ KYOKO : 去年の春くらいからハウスのトラックで私にズバッと来るのが結構あって。それから去年一年通して自分の中で流行ってて、珍しく私がいまだにかけ続けている Oliver $ が出て。あれから、それを軸にしていってる感じがしますね。それに、元々ハウスやディスコはすごい好きで、初めてミックスの練習をした曲もハウスだし、1時間半から2時間くらいやる DJ の時でも、自分のルールでは結構ハウス寄りな感じでやってるんですよ。それは何をかけててもそういう感じ。もちろん、ハウスの人からしたら全然違うかもしれないんですけど(笑)、自分の気持ちとしてはそうですね。

 

 

 

――前回インタビューさせてもらった時は、自分でミックスを作る上でのガイドラインとして、全体を通してのストーリーを考えていると教えてくれましたが、それは今回もありますか?

 

DJ KYOKO : 今回も自分の中ではストーリー的な流れはあるんですけど、前に作ったミックスみたいに、タイトルから連想させる一晩みたいなのは、そんな意識してなかったかな。前みたいに、カップルが途中で喧嘩して、また仲直りして、みたいなのは。そっか、この前はそんなことまでしゃべってたんだ(笑)。でも、今回も曲の流れで一晩のストーリーを作っているところはありますね。どんなストーリーかは、想像してください(笑)。でも、最終的には毎回、いい朝みたいな感じで終わりたいですね。私はハッピー・エンドが好きなんで。

 

 

 

――確かに今回のミックスも、ハッピーな感じ、楽しい感じで終わっていますよね。

 

DJ KYOKO : ありがとうございます。寂しい感じで終わるのも味があるとは思うんですけど、ウキウキ終わって、「また行こう!」ってなった方がいいですよね、うん。

 

 

 

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――そこには KYOKO さんのクラブ観、DJ 観みたいなものが出てる気がしますね。じゃあ、自分にとって理想の DJ もしくはパーティーの在り方を挙げるとすると?

 

DJ KYOKO : ずっと理想に思ってるのは Erol Alkan。(Erol が主催していた)Trash みたいなパーティーはずっと憧れかなと思います。新しい曲があって、バンドがあって、っていう感じが。新しいものをすぐにかけれる環境を作るのって難しい気がしちゃいますけど、それが出来るのがいいなって。あれが理想形かな。

 

あと日本人だったら……これはずっとこっそり言ってるんですけど(笑)、Nori さんとか井上薫さんとかすごい好きです。いつか(本人に)ばれたら恥ずかしいなと思って、ドキドキしてるんですけど(笑)。二人の魅力としては、やっぱり曲をかけてて説得力があるっていうのが大きくて。やっぱり、インディかけたら仲(真史)さんとか Kink さんとかが説得力があるし、ロックにしても大貫(憲章)さんがかけてたら説得力があるなとか、そういうのは憧れますよね。若いと出せない感じっていうか。

 

 

 

――確かに。じゃあ、KYOKO さんはDJ 一本っていうイメージが強いですけど、それ以外で何かやってみたいことはありますか?

 

DJ KYOKO : とりあえず、さっき言っていたフォト・ジンを(笑)。ぼちぼちね、色々とマイペースにやれたらいいですね。

 

 

 

――ただ、マイペースでやりたいことを続けていくのって、やってる方からすると決して簡単なことではなかったりしませんか?

 

DJ KYOKO : マイペースに自分を急かしてる感じでやれれば(笑)。でも、あんまり大変とは思ってないかも。

 

 

 

――例えば、マイペースに自分の好きな DJ をやっていくだけよりも、トラックを作って名前を売ったりする方が活動をする上で楽だったりするかもしれないですし。

 

DJ KYOKO : 作らないことにこだわりを持ってる、っていうわけでもないんですよね。作ってもいいと思う……っていうか、たまに作りたいとも思ったりするし(笑)。あんまりこだわって DJ しかしてないわけじゃなくて。でも、この間、Jesse Rose にも言われて、「曲作らないの?」って。「ほぼちゃんとしたリリースはしてないよ」って言ったら、「それはすごいね。じゃあ、なんで DJ を仕事に出来るようになったの?」って言われて、「いや~、わかんないな」みたいになって(笑)。(自分のオリジナル・トラックは)あった方がわかりやすいし、いいと思います。

 

 

 

――わかりました。じゃあ、最後の質問ですけど、DJ KYOKO としての最終的なゴールは何かと言われれば、どう応えますか?

 

DJ KYOKO : ブースで死ぬこと、かな? お婆ちゃんになるまで DJ を続けて。

 

 

 

――ロック・スターみたいでかっこいいじゃないですか(笑)。

 

DJ KYOKO : でも、考えてみると、すごい迷惑ですよね(笑)。クラブ的にはやめてくださいって感じで。それで、「あのクラブでは KYOKO の霊が出る」って噂になるっていう。うん、それもありかな(笑)。

 

 

 

 

 

end of interview

 

 

 

 

 

リリース情報

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DJ KYOKO - 『PAPER TRAIL OF NIGHTS』 (2012)
品番 : PCCA.03518
レーベル : Pony Canyon
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