Azari & III Interview

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2011年は、Azari & III が着実にその存在感を強めていった年だったと言っていいだろう。インディ・バンドを中心に取り上げるメディアにも関わらず、NME では “Reckless (With Your Love)” が2011年の年間ベスト・トラックにランクイン。また、DJ Mag の「Best of British 2011」という特集では、Jamie Jones が手掛けた同曲のリミックスが年間ベスト・リミックスの栄誉を授かっている。昨年送り出したファースト・アルバム 『Azari & III』 で、往年のシカゴ・ハウスを思わせる生々しいダンス・サウンドとポップなソングライティングを融合させ、時流を越えた独自の音楽性を確立させていた彼らは、ともすればエアポケットに陥り、どのジャンルのリスナーの耳にも引っかからずに見過ごされてしまう可能性もあったに違いない。しかし、2011年の終わりを迎え、DJ Mag と NME という両極のジャンルを扱うメディアから高い評価を得たことからも分かる通り、むしろ彼らは理想的なクロスオーヴァーを果たす存在へと歩を進めつつあるようだ。

 

今年は更にライヴ・パフォーマンスを重ね、その後はスタジオ入りも考えているという彼ら。昨年の来日公演も熱狂的な興奮が宿った素晴らしいものだっただけに、よりライヴの要素が入る可能性があるという新作がどのようなものになるのか、非常に楽しみである。

 

 

 

 

 

interview : Yoshiharu Kobayashi

――ファースト・アルバムがリリースされてから半年強が経ちましたが、振り返ってみてどうですか? 何か変化はありました?

 

Fritz Helder : 僕のアルバムに対する気持ちは変わらないね。たくさんのポジティヴなフィードバックをもらったことに、今もまだビックリしているくらいなんだ……ファンやメディアがアルバムをサポートし続けてくれて、とても光栄だと思っているよ。

 

 

 

――あなたたちの初期シングルは、日本ではテクノやハウスのシーンからも評価が高かったし、インディ・ロックのリスナーからも歓迎されているところがありました。とてもユニークな立ち位置だと思うのですが、海外での受け入れられ方は、どのような感じなのでしょうか?

 

Dinamo Azari : 最初はインディ・ロック・バンドからの評判がよかったんだ。Friendly Fires とか Broken Social Scene とか、Grizzry Bear とかがサポートしてくれて。エレクトロニック・ミュージックなんだけど、一風変わっているっていうところが気に入られてみたいだね。

 

Fritz Helder : もちろん、それ以外の人たちも僕らのことが大好きなのは知ってるんだけどね!(笑)。

 

 

 

――もちろん(笑)。ただ、自分たちと似たような立ち位置にいるアーティスト、もしくは共感出来るような存在は誰か思い浮かびますか?

 

Dinamo Azari : Erol Alkan とか Crystal Castle とか、それに Soulwax なんかじゃないかな。彼らに対しては、ただ共感してるっていうだけじゃなくて、お互いがやっている音楽や関わっているものに関心を持っているんだ。すごく仲がいい友達同士でもあるしね。

 

Fritz Helder : でも最初は彼らのファンっていう立場だったんだ。それが半年も経たないうちに Friendly Fires とかと知り合いになっちゃって、「おおっと!」っていう感じだよね(笑)。

 

 

 

――なるほどね。では最近は、あなたたちのように、いろんなジャンルの音楽を取り入れて、様々なシーンから愛されているようなアーティストは増えていると思いますか、減っていると思いますか?

 

Alexander III : 80年代はロック・バンドがディスコをやっていて、90年代はインディ・バンドがダンス・ミュージックをやっていたよね。だから、クロスオーヴァーは今だけの話じゃないと思うんだ。ちょうど昨日、Roy Orbison のディスコ・ヴァージョンを聴いたんだけど、すごかったんだよ。聴いたことある? かなり意外な感じだけど、本当によくって。そういったものは、ずっと生まれ続けているんじゃないかな。

 

Dinamo Azari : ただ、その時代のアーティストが、どういったものに影響されて、どういったブレンド具合にするかっていう違いだけでね。

 

Fritz Helder : 基本的にバンドをやっている人間は常に新しいものを探していると思うし、ツアーをしているから新しい出会いもあるよね。そういったことも関係しているのかな。最近の若い子たちは、僕たちがインスピレーションを受けてきたものとは違った何かに影響を受けていることもあるみたいだけどね。

 

Dinamo Azari : そう、僕なんかからすれば、最近のダブステップはジャングルと変わらないって思う部分もあるよ。でも、若い子たちはそれを新しいものとして捉えるんだよね。だから、クロスオーヴァーは増加しているとか減少しているとかではなくて、本当に常にあるものだし、それがどういった形でアウトプットされるかは、アーティスト次第だっていうところがあるんだ。

 

 

 

――クロスオーヴァーという現象は普遍的なものだけど、最近の若い世代のクロスオーヴァー感覚には、昔とも違うものを感じることがあるっていうことですか?

 

Dinamo Azari : 今はインターネットを使えば、情報でも音楽でも簡単に手が入るから、あれもこれも少しずつ取り入れようっていう流れがあるのは事実だよね。そういった違いはあるかもしれない。

 

 

 

――あなたたちの音楽も色んなジャンルのサウンドが融合されたものだと思いますが、それは今話してもらったようなネット時代的な要因よりは、もっと自分たちの音楽的なルーツやバックグラウンドに関係していると感じているのでしょうか?

 

Starving Yet Full : そもそもアルバムを作っていたときは、どういったリスナーに聴いてもらえるかっていうのは、まったく予想出来ていなかったんだ。僕らがどういう風にアルバムを作ったかっていうと、毎週二回スタジオに集まって、「どういうビートを使おうか?」とか、そういうことを話し合いながら作っていったんだよ。

 

Dinamo Azari : 本当に、ごく自然に作っていった感じなんだよね。

 

 

 

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――なるほど。ただ、アルバムは自然に作ったとは言え、強いこだわりを感じる部分もあります。たとえば、今回のアルバムはサンプリングを一つしか使っていませんよね?

 

Dinamo Azari : サンプリングが一個だけだって気付いたんだ? どの曲だと思ったの?

 

 

 

――“Infinity” のシンセ・リフじゃないんですか?

 

Dinamo Azari : あの「テレレレレ~レ~」っていうフレーズだろ? きみがサンプルだと思ったやつは、原曲を基に僕らが演奏しているんだ。でも、アルバムに入っているサンプリングが一つだけだっていうのは正しいよ。実は、“Reckless (With Your Love)” の 「Check it!」っていう掛け声がサンプリングなんだよね。

 

 

 

――ああっ、そうなんですね。でも、っていうことは、やはりサンプルはあまり使いたくないっていうこだわりがあるんですか?

 

Dinamo Azari : うん、基本的にサンプルはあまり使わない主義だね。っていうのも、僕らは4人で集まって実験する中から生まれてくる音を重視したいからなんだ。それに、最近はみんな、人間味の大切さに再び気付き始めたっていうのがあるんじゃないかな。この頃、オールド・スクールなサウンドが見直されているのは、そういうところもあると思うよ。僕らが大事にしているリアルタイムのプレイにも、人間味が詰まっているしね。

 

Fritz Helder : 実際、プログラミングしているところを何時間も見続けるのって退屈だし、そんなこと出来ないよね。だから、みんなで集まってクリエイトするっていうのが大事なんだよ。

 

Alexander III : 実際問題、サンプルを使うと莫大なお金が掛かるし(笑)。裁判問題になっちゃったりすると困るしさ。そこまでは手を広げられなかったんだよ。

 

 

 

――それはかなり赤裸々な理由ですね(笑)。でも実際、あなたたちがメロディも非常に大切にしているのは、今話してもらったような人間味を重視していることと関係があると思いますか?

 

Dinamo Azari : その通りだね。メロディは人間味を出すのに、とても重要な役割を果たしていると思う。それに僕らは、メロディだけじゃなくて音作りにおいても人間味のあるものを目指しているよ。そういう音こそが人間の五感をくすぐるはずだからね。あの音を聴くと思い出が蘇ってくるとか、この音を聴くと微かな臭いが漂ってくるような気がするとか……つまり、僕らはエモーションを喚起する音楽、気持ちを揺さぶる何かを作りたいっていうことさ。

 

 

 

 

 

 

――わかりました。じゃあ、自分たちにとって、2011年で最も素晴らしかった出来事と、最もガッカリした出来事を挙げるとすれば、何になりますか?

 

Fritz Helder : 最高だったのは WOMB でのショーだね! “Reckless (With You Love)” を演奏しようって時だったんだけど、最前列のお客さんが自分に「check it」っていう部分を言わせてくれって頼んできたんだよ……つまり、Dinamo と Alixander がトラックの音を出そうとしている時に、こっちではちょっとしたヴォーカル・バトルがあったっていうわけ(笑)。もちろん、他のお客さんもみんなクレイジーだったしね! 僕らは日本が大好きなんだ。どのショーも本当に素晴らしかった。あんなにたくさんの Azari & III のファンが一緒に歌ってくれたなんて信じられなかったよ! で、2011年で一番残念だったのは、僕らが訪れた素晴らしい土地を十分に堪能することが出来なかったことだね。僕らのスケジュールときたら、いつも「到着したぞ。さあ、次に出発しよう」っていう感じだから(笑)。

 

 

 

――では、2012年はどんな年にしたいと思っています?

 

Fritz Helder : 2012年はもっとたくさんのライヴやフェス出演をして、僕らのライヴ・ショーを更に高いレヴェルに持っていきたいね。それにスタジオにも入るつもりさ!

 

 

 

――次のアルバムはどんな風にしたいという青写真は既にあるんですか?

 

Fritz Helder : 個人的にはベースをもっと入れたいかな(とベースを弾く仕草をする)。

 

 

 

――ダブステップみたいに?

 

Fritz Helder : いや、冗談だよ(笑)。

 

Dinamo Azari : まだ次がどういう風になるかは全く見当がつかないな。でも今はライヴ・ツアーをしているから、次に確実に入ってくるのは、ライヴ・ミュージシャンとしての要素だろうね。

 

Fritz Helder : うん、ライヴ・パフォーマンスをもっと意識した曲っていうのが出てくるんじゃないかな。

 

 

 

――じゃあ、最後に一つだけ訊かせて欲しいんですが、最近は Drake が SBTRKT の曲をリミックスしたり、Beyonce が Major Lazor の曲をサンプリングしたりと、メインストリームとアンダーグラウンドなクラブ・シーンがフラットな関係になっている部分があると思うんです。それは、あなたたちとってエキサイティングなことですか? それとも、自分たちとは全く関係のないこと?

 

Dinamo Azari : まあ、ちょっと変な感じだよね。今はインターネットの影響で、サブカルチャー自体がなくなりつつあると思うんだ。ネットで検索すれば何でも簡単に出てくるから、見つけにくいものなんてないし。実際、メインストリームとアンダーグラウンドの境界線はきわどいものになりつつあると思うよ。

 

Fritz Helder : じゃあ、Madonna から僕らに連絡が来る日も近いな(笑)。

 

 

 

 

 

end of interview

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